涙
涙
不意に悲しくなって、涙が溢れて止まらなくなって水たまりができました。しばらくして自転車のおじさんが鬱陶しそうにその水たまりをタイヤで跳ね飛ばした。
ふたつ、徐々に悲しくなってきて次は池ができました。あまり綺麗な池ではなかったので、学校帰りの学生が飲んだ空き缶をポイと投げ捨てるような池でした。
みっつ、もう心にぽっかり穴が開いてそこから涙が常に出しっぱなしの状態になりました。それは緩やかに坂を下り、川となって海に流れ出して。それがなんだか少し安心したのです。たとえタイヤで跳ね飛ばされて、ゴミを捨てられたとしても、僕の涙が、どこかの誰かのなかに戻っていく。そう思えたのです。
次の涙のひとつが最後のひとつになってアスファルトに落ちたら消えて無くなりますように。
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