僕のアパートの庭には二匹の猫が住み着いている。生意気にもまた、外にどすんと置かれた洗濯機の上にふてぶてしく寝てやがる。出窓から黒い影と白い影がくりくりと揺れるから分かっているんだ。

 猫は嫌いだ。可愛らしいのは認めるが、こっちが近くに行くとそっぽ向くのにこっちが全く興味ないときに限って擦り寄ってくる。なんなんだよ一体。そもそも僕は猫アレルギーだからまぁ触ることさえダメなんだけどね。

 もっといけないのは、僕が好きな子がお前らの大ファンということた。とってもたちが悪い。僕がどんだけ面白いことを言ったって、途中でお前らが出てくるだけで終了。挙げ句の果てには「なんの話だっけ?」なんて言われる始末。これは僕の話がつまらないんじゃない、お前らが悪いのだ。

 猫は嫌いだ。まぁしかし可愛いのは認めよう。悲しいことがあって窓辺に座っていたらそっと白いのと黒いのが寄ってきた。「ざまあみなさい、普段私たちに優しくしないからよ」と言わんばかりの目でこっちを見てきた。やっぱり嫌いだ、生意気なやつらめ。だけどもし今生まれ変わるなら猫になりたいと、生意気にも思っている。そうすればあの子を笑わすことができるのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る