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人に拒否されるのが怖い、と感じるようになった。
他人に嫌われるのは誰だって嫌だろう。
しかし私は、少しでも不快な気分にさせることすら怯えるようになっていった。
自分の行動のせいで嫌な気持ちになったらどうしよう、と思うと何も出来ず、学校でひとことも話さなかったこともしばしば。
大人しく座っていれば周りに迷惑はかけない。
教室に入ってから口を開かずどこへも行かず、休み時間になったら机に突っ伏して寝て、
私はずっとひとりぼっちだった。
そんな生活が変わったのは高校3年生になってからだった。
6年間女子校とはいえ、恋愛したい盛りの女子達。そんな中で性的な経験をした子はいちばん注目を浴びるのである。
学年が上がる前に経験を済ませた私も、その中のひとりだった。
クラスで権力を握る、明るいグループの子達が私を取り囲み、輝いた顔でこちらを見てくるのだ。
特に私は、ハジメテが彼氏などではなくネットで出会った人だったので、余計に興味を集めた。
なぜそんな人にハジメテを捧げたのかと言うと、本当に好きな人とする時に痛さばっかりだと、その人に不快な思いをさせてしまうのではないか、と思ったのだ。変に痛がって気を使わせてしまうよりも、お互いが気持ち良くなれる方がいいと思った。
そのあとすぐに彼氏ができ、クラスメイトは頻繁に私を取り囲むようになった。
彼氏との甘い話や、ベッドの中での話など、色んなことを聞かれた。
私は隠す意味もないのでほとんどを話した。
なによりもクラスの子が私の話を聞きたがっている、ということが嬉しかった。
援交しているらしい、などの噂が立つこともあったが、特に気にしなかった。
例え悪いことであっても私のことを話している、意識している、ということに満足感があった。
今まで自分がいるのかいないのかわからない透明人間のように感じていた分、人に認識されているということで生きていることを実感できたのである。
ジンセイ。 null @Parantica_sita58
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