物語のタネ

みなさん、どうやって物語を書き始めますか?


創作の初期衝動には「創作で飯が食いたい」「創作してないと死んでしまう」など色々とありますが、物語を書くにあたって物語のタネは大きく「キャラクター」「ストーリー」「シチュエーション」の三つだと思ってます。

 というわけで、今回は自分がどうやって書き始めるかをそれぞれについて書いていこうと思います。




 まずはキャラクターから。

 実はこの創作手順、ほとんどありません。

 なぜでしょう?

 たぶん、人に興味がないから?

 人間観察は好きなんですけどね。

 仕草とか、言動とか、細かいところにその人の性格が垣間見れてそこは興味の対象なのですが、それでその人そのものに興味を持つかといえば別問題なのです。

 いや、それ以上に創作手順自体に相性の悪さがあるのだと思います。


 こんな性格の人がおりまして、こんな性格の人と知り合いで……じゃあ、こんな人・こんな事件が現れたらどんな物語が展開されるのだろう?


 これがキャラクターをタネにした創作手順になります。

 ここから始まると先が見通せません。

 物語がどう転がるのか判らないのです。

 TRPGのキャラクターメイクとおんなじです。

 書き手自身がそれを楽しみにしているのならばいいのでしょうが、今の自分にはすごく居心地が悪いのです。

 昔は「キャラクターが勝手に動き出す」ことを楽しんでいたこともありますが、思った展開と違う展開に転がっていき、最後にはにっちもさっちも行かなくなって投げ出すを繰り返した苦い過去があるのです。

 いわゆるエタるというやつですね。

 「物語は盆栽や庭園のようなもの」「物語は完結してこそ作品」だと思っているので、それらの物語は何度も完結させるべく剪定に挑戦するのですが、キャラクターをタネに芽吹かせた物語は完結まで辿りつきません。

 完結させるにはグランドデザインが必要ですが、キャラクターがグランドデザインにあっていないと結末へ向かって動いてくれないのでしょう。


「俺はそっちへはいきたくない!」


 と、自己主張するのでしょうね。




 ストーリーから。

 グランドデザインがあってそこに最適なキャラクターを配置する創作手法です。

 主に歴史もの恋愛ものを創作するときに使うタネです。

 歴史ものは登場人物と概要が決まっています。

 史実を扱うわけですからね。

 そこに創作エッセンスである登場人物のキャラクター性や味付けとなるエピソードなどを加えて調理するのです。

 キャラクターをタネにするのは好きではありませんが


「こんな人生を歩む人はきっとこんな性格だったんじゃないだろうか?」


 なんて考えるのは好きなんですよ。


 恋愛ものはストーリーを先に考えないと人物が生まれません。

 キャラクターを先に作ったとして、勝手に動き出された日には下手すると恋愛に発展しなかったりするんですよね。

 恋愛ものはまずどんな結末にしたいかを決めてそこにいたるエピソードを配置したら、その状況にいたり、そしてその解決にどんな決断をする人物なのかを考えて、登場人物を配置する最初のシチュエーションを考える。

 というのが、自分の創作手順です。


 投稿作:Child blue(チャイルドブルー) https://kakuyomu.jp/works/1177354054884338856 はストーリーのタネから生まれた作品です。

 子供の寝物語に創作した小説ですが、


「少年が女の子泣かせてしまう。謝らなきゃいけないのに異世界に召喚されてしまった。元の世界に戻って女の子に謝るために異世界の救世主になる冒険をする」


 というタネから創作が始められてます。

 異世界を救うような男の子がなぜ女の子を泣かせることになるのか?

 異世界を救うような男の子は女の子を泣かせるような悪い子なのか?

 なぜ異世界を救うのが少年なのか?

 みたいな疑問を一つ一つ解決するためにキャラクターが生み出され、エピソードが肉付けされ作品になっていったのです。




 最後にシチュエーションから。

 妄想ってワンシーン、ワンエピソードであることが多いでしょ?

 そのワンシーン・ワンエピソードを書きたいがためにそこに至るストーリーを考えるのがこの創作手法です。

 投稿作:ミクロンダンジョン 近未来非合法冒険活劇 少女救出篇 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884577191 では、


「十分の一に縮小された主人公たちが原寸大の町をさまよったり原寸大の生き物と戦う」


 というシチュエーションをタネに創作を開始して、

 どんな人物ならそんなサバイバルを生き抜けるのか?

 なぜ十分の一サイズになるのか?

 を考えました。

 そして、最後に

 どうなったら物語としてENDマークがつけられるのか?

 と考えた結果が、あの終わり方です。

 トゥルーエンドが謎に包まれた敵組織との対決にあるのは理解していますが、それは彼らの物語ではないと思っての判断です。


 あと書きながら気づいたんですが、恋愛ものの創作はいくつものシチュエーションのタネをストーリーに当てはめていると考えられなくもないですね。


 ということで今回はここまで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る