第2話 意外な相手

 「先輩、私と付き合ってください!」

 「え・・・ど、どういう状況・・・って、えぇ・・・ 」

 涼太はとても困惑していた。だが、それも無理はない。今涼太は見知らぬ年下女子生徒に告白を受けている。知り合いならまだしも、知らない人物からいきなり告白されるという状況を、誰が瞬時に飲み込めるだろうか。

 「ん?・・・・・・っ!」

しばらくの沈黙の後、少女は何かに気がついたように再度その力強い決意のこもったキレイな瞳で涼太を見つめ、そして

 「先輩、私と付き合ってください!!」   

 「って、別にきこえなかった訳じゃないから!」

 「違うんですか?」

 「違うよっ!」 

 「じゃあ・・・答えを頂いても・・・その・・・いいですか?」  

 そう言って、少女はさっきまでとは打って変わって、頬を紅色に染めながらもじもじと自信無さげに涼太に尋ねた

 「いや、答えとかの前に俺はまだ君の名前も知らないし・・・」

 涼太のその言葉を聞いた瞬間、少女は思い出したように腰に手を、そして目一杯胸を張って

 「私立藍恋学園一年生、鬼島彩夏きじま さいかです!よろしくお願いします、先輩!」

 「よ、よろしく」

 「それでは先輩、お返事を・・・」

 「え、えっと」

涼太は、一連の出来事に戸惑いを隠せないながらも少女の名前よりももっと重要な、最も重要といってもいいようなことを聞いてないことに気がついた。

 「その、彩夏さん?最後に一つ聞いていいかな?」

 「・・・?なんですか?」

 「俺にその、惚れた理由って何なの?」

 「そんなことですか、理由は簡単ですよ。」

 涼太は緊張しながらも彩夏の次の言葉を待った。

 「一週間前に先輩が女の子を助けたじゃないですか?その時の先輩がとても男らしくて、その・・・好きになっちゃいました!」

 「一週間前か・・・」

涼太は自分の中で彩夏の言う一週間前の事件に該当するであろう記憶を思いかえした。

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