第2話 東大部
ホームルーム活動、俺のクラスに彼女はいなかった。(俺のクラスは2組で担任は中尾と書かれていた)残念極まりない。てっきりここから同じクラスのしかも席が隣で、はじめましてから始まり午後には親しくなり部活動見学を一緒に回ってなどを予定していたのに。(すべて自分の妄想である)やはり現実はそうあまくない。そんなことを考えていると前のほうからプリントが回ってきた。(ちなみに俺の席は真ん中左の一番後ろだで窓際の一番端の次にいい席だろう。控えめに言って最高だ)
「部活動か」
そういえばまだどの部活に入部するか決めてなかった。適当に私生活が優先できる緩い部活にでも入ろう。部活で自分の時間がつぶされるのはどうしても避けたいからな。
「あとで飯田誘って回ってみるか」
一応うちのクラス担任について言及しておくと新卒2年目の英語教師で年も近いので話は通じそうだ。
入学式の後の予定について一通り説明が終わり部活動見学の時間になった。配布されたプリント類をカバンに詰めていると
「おーい奏ー」
ホームルームが始まる前にも聞いた声
「おお飯田か早かったな」
「掲示板に活動場所掲載されてるから見に行こうぜ」
掲示板か。そういえば確かクラス分けの紙が貼ってあった横にあったな。
「飯田はどの部活に入るかもう決めたのか?」
歩きながら話す。
「え?バスケ一択じゃねえの?」
俺は小学校3年の時からバスケをやっていた。自分の世代の中ではベテランのほうに数えられるだろう。(まあ大会で優勝したことなど一度もないのだが)
「んー小学校からずっとバスケやってるからな。高校からはなんか違うことやりたいな、なんて思ってるんだけど」
「まじか。てっきり高校でもバスケやるのかと思ってたわ」
確かにそれも考えた。しかし、
「俺は高校生活を謳歌すると決めたんだ。そんな縛られてやる部活なんてやってる暇などないんですわ」
「なんじゃそらw」
そんなくだらないことをしゃべっていると掲示板の前についた。
「ええと、バスケ部は、な、土日もあるのかハードだな」
「だから言ったろ土日も学校にきてられんわ。せっかくの青春が削られる」
「いいや逆に青春って感じがするね。仲間とともに本気で部活に取り組むってそれこそ青春じゃないか」
(なるほど。確かにそういう考え方もあるな。青春といっても人それぞれか)
「ところでおまえはどの部活にするんだ?」
この高校にはどんな部活があるんだ?
テニス、サッカー、野球、バレー。有名どころの部活は大体そろっているな。文化部は、吹奏楽、美術、放送。まあほかの高校と代り映えしないな。
「んー、パッとしないな見て回るしかないか…」
「じゃ、回ってみようぜ奏」
(しかたない)
重い足を動かそうとしたその時だった。ものすごい輝きとオーラを放つ物体。
「天使だ…」
俺と飯田の声が重なった。
そう誰であろう入学式の彼女だ。まじかで見ると直視できない。いや、もったいない俺は直視するぞ。まあ当然じっと見ていると向こうも気づく。するとにっこり笑ってきた。
「かわええ…」
可愛すぎる。なんだあの生き物は。見ているだけでありとあらゆる不安やストレスが解消される。思考ができない。頭の中をすべて彼女に占領される。
ぼーっとしていると彼女が歩き出した。俺たちと同じく掲示板を見ていたのだから部活動見学だろう。声をかけたい。しかし変な奴だと思われるかもしれない。この可愛さだ。今まで近寄ってきた男は星の数ほどいるだろう。そのうちの一人だと思われるかもしれない。
そんなことを考えているといきなり、
「お、おれ、あの子をバスケ部のマネージャーに誘ってみるわすまん!」
「なっ、おい!」
「あとは一人で頑張ってくれー!」
そういって飯田は天使のもとへと消えていった。さすがといったところか。そういう行動力だけは尊敬する。
「ああ、あいつも自ら星の中の一人になったか」
まあ俺も言えた立場じゃないけど。しっかし可愛すぎる。容姿に全ステータスを振ってもあの子にはかなわないだろう。本当はあの子と一緒に部活動見学をしたい。しかしあの子を見ると思考が停止して体が動かなくなり話しかけることができない。あの子と一緒に行動できるようになるまでは相当な時間が必要なようだ。
「仕方ない一人で回るか」
桜城高校の校舎は五つの棟と体育館、武道場からなっている。まずは一番北側の理科棟から回ろうと思ったがワックスがけのため立ち入りができなかった。まあここでは何も部活動は会ってなさそうだったのでいいのだが。
次に一つ南にある社会科棟。ここは一階に家庭科室。二階に美術室、最上階の三階には書道、茶道室があった。二階で美術部。三階で書道部、茶道部が活動していた。美術部には少し興味があった。コンクールが年に6回あると聞くまでは。
次に教室棟。ここでは吹奏楽が少人数のグループに分かれて練習をしていた。
「確か音楽室はあったはずだよな、なんでこんなところで練習してるんだ?」
後で聞いてみると人数が多すぎて音楽室に入りきらないらしい。人数が多いのはまじで嫌なので却下。
「次はこの教室棟の横にある学習室棟か」
一階、学習室と購買部。なるほどここに購買部があるのか一年の教室からめちゃくちゃ近いな。しっかしアニメとかに出てくる購買部に比べるとめちゃくちゃ小さいな。昼休みは大混雑間違いなしだろう。昼は近寄らないようにしよう。
二階はパソコンルームと音楽室かここでは吹奏楽合唱部が活動している。スリッパの色を見るに三年生か。なるほど主力の生徒がここで練習してほか、いわゆる二軍の生徒が教室棟で練習しているのか。
やはりこの部活は人気なようで新入生がわんさかあふれかえっている。
三階。ここでは放送部と…
「東大部…?」
俺は高校生活を謳歌できるか 小鳥遊 奏 @hizensan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺は高校生活を謳歌できるかの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます