第13話
「降伏の印ではなかったようだ」
パーシバルはそう言って甲板の上に置いた椅子から立ち上がった。
年かさの将校らしき男がパーシバルに近づく。
「どうした? ヘンリク」
ヘンリクと呼ばれた将校はパーシバルに耳打ちする。
「ベルリーネ大佐は如何なさいます?」
「まだ生きてるのか……」
「ハイ。先ほどテレフォノで連絡が。マレクの牢獄にいるそうです。マレクの連中が街を白く塗ったのは観光の為だとか何とか……」
「今さら、どうでも良い情報だ」
「ですがベルリーネは総統のお気に入りですよ」
「奴は危険だ。生かしておいては総統のためにならん。マレク人と命運を共にしてもらう」
「ハッ」
パーシバルは懐中時計を取り出した。
ちょうど針は正午を指したとこだった。
懐中時計の盤面を覆うガラスのカバーに雨のしずくがはねた。
パーシバルは時計を仕舞うとテレフォノを使って艦隊に呼びかけた。
(総員! 間もなく砲撃である! 私の合図で一斉に攻撃せよ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます