第16話 環境の変化

三男を無事出産し、しばらく実家に戻る日が来る。

入院している間、次男は病院に来させないようにしていた。

私を見たら泣いて帰らなくなっては大変だと思ってそうしていた。


実家の母や妹たちは、長男次男を預かり世話をしてくれていて、その間の事は毎日報告してくれていた。

でも、1番不思議だったのは、次男がお兄ちゃんと実家に預けられたその日から全く私のことを恋しがって泣いたり探したりしていなかったということ。。

たまにさがしているのかな……と思うような部屋をあちこちウロウロすることはあったらしいが……食べる時も、寝る時も……特に何にもぐずることは無く毎日過ごしていたということ。。

誰も困らせる訳ではなく、とてもいい子にしているわけなので、それはそれでホッとしていたんだけど…


あれ、案外この子は順応性があるのかな。。

心配し過ぎだったってことかな。。

私が居なくも泣かずに頑張ってくれたんだな。。お兄ちゃんも一緒にいたし。。

まぁ、とりあえず実家の母たちが困るようなことはなくて良かった。。


でも私が約1週間ぶりに次男の前に現れたら……一体どんな反応するのかな?

きっとびっくりするよね。喜ぶよね~

その時に泣いちゃうかもね。。


そんなことを家族で話しながらの退院だった。

そして 三男を連れて主人の運転で実家に戻る。


いざ、次男との対面!


次男は私を見て一瞬びっくりした表情をした。

そして、笑いながら隣の部屋へとっとこ走って行ってしまった。。


照れてるのかなぁ?

そんなことを家族と言いながら次男の所へいき、新しい家族の三男を紹介した。

するとジーッと三男のことを見つめ、またどこかへ行ってしまった。


びっくりしたんだね。。


確かにびっくりしていた。

だけど、このびっくりというのは 私が想像している以上の衝撃だったようで その日から落ち着かなくなり、私を見ては泣き、夜もなかなか寝付かず泣き…

三男の授乳や世話どころではなくなってしまった。

次男に手がかかってしまうので母が三男の世話をよくみてくれていた。


身体が2つ欲しい。。本気でそう思った。


次男は夜になると寝ては少ししてまた起きて泣き…またウトウト寝て泣く…を繰り返し、そのうち食事も食べなくなってしまった。

どんどん痩せていき、さすがに主人も実家に来た時に次男を見て驚く。


このままだと、私も産後で体力も尽き…次男も餓死するんじゃないのか…三男の世話が…と色々と限界がきてしまい、検査を受けに行った時の市内の療育センターに電話を入れた。

主治医の先生にみてもらいたい。。

本当は、予約して何ヶ月も待たないといけないことはよくわかってた。

でも、緊急にどうしても…と事情を話したら次の日に時間をとってくれることになった。


だいたいのことは電話で話していた。

次の日、約束の時間に次男を抱いて病院へ行き主治医の先生に会う。

深刻な顔をしていた私たちに先生は、次男を見てすぐ 「あぁ、こっちをチラッと見てるよ〜(笑)大丈夫。お腹がすいたらそのうち食べ始めるよ。心配ないよ。」

と明るく言われた。


今、次男はパニックを起こしている状態だということ。

急にお母さんが居なくなり、帰ってきたと思ったら知らない赤ちゃんを連れている。

それは次男にとっては環境が大きく大きく変わる出来事で、全く予期していなかったこと。

次男はとても環境の変化に弱いということが分かった。

先生は、「その事がこの度分かったから良かったと思ったらいいよ。次から環境が変わるような事がある時には事前にしっかりと次男に分かるような仕方で前もって伝えるようすることが大切。言葉だけでなく、写真や絵など見て分かるものを使って伝えて少しでも変化に対応出来るよう準備することが必要ですね。」


と言われた。

説明はしていたつもりだけど、結局わかっては居なかった。

私が居ない事も順応出来てるように見えてただけで、本当ははとても不安で驚いていたんだ。。


環境の変化に対応出来なかったからパニックになっていたんだな。


改めて自閉症の大変さに気づかされた。

そして次男は その次の日から何事も無かったように食事をとり始めた。


全く想定外の退院後の日々となった。





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