第15話 出産と次男の取り扱い説明書

三男の出産が近くなった頃、入院の間の事を実家の親に長男と次男を預けるため色々と打ち合わせをしなくてはいけなかった。

主人は夜が遅いので、入院の間は近くに住んでいる私の実家にお世話になる。


次男の出産で長男だけを預かってもらうのとは訳が違い…たくさんの事を伝えなくてはいけない。

ほとんど次男のことになるが…

言わば「次男の取り扱い説明書」のようなものをノートにあらかじめ書いておいて、それを見せながら説明していった。


絶対に無くしてはいけないお気に入りの人形。。

ご飯には 毎回決まったふりかけをかけて食べる。。


何かを伝えようとする時のしぐさ…

泣き止まなくなった時の対応…

寝る時の決まり事…


親も次男を預かることをちゃんと見守れるか 不安に思っているので、なるべく少しでも困らないよう詳細に書いて説明しておいた。

とりあえずその点は準備万端。。


でも1番、親と困っていたのは 次男が私を探した時。

赤ちゃんが生まれること、病院に行くことは話はしているがちゃんとわかってはいない。

私が居ないと気づき泣き始めたらどうしたら良いだろう。。

病院に連れていき、私がベッドに寝ている姿を見せるのが1番わかるのではないだろうか…


いやいや、病院で私を見たら 離れたくないと泣き叫び、もっと大変になってしまうかもしれない…


生まれてずっと毎日一緒に居て一緒に寝ていた私が居なくなった時の次男の事を想像すると とても心配で不安で仕方なかった。

…長男だって寂しいだろうに もし弟がそんな大騒ぎしてしまう毎日になったら、大丈夫だろうか。。


全く想像がつかなかった。


…陣痛は明け方にやってきた。

私は、長男と次男が寝ている間に病院へ向かうことになってしまった。

2人は 起きてから主人が実家に連れて行く。


この子達がいつものように朝を向かえ、目を覚ました時…

私はもう居ない…。


陣痛の痛みと、スヤスヤと何も知らず寝ている2人の寝顔が思い出され複雑な気持ちとで いざ出産となった。


頑張れ私! 頑張れ息子たち!




……そして…私の1番心配していたことと 現実は…少し違っていたのだった。。








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