第12話 家族に打ち明ける
大きな病院での発達検査、診断名がはっきりとし次は親族にその事をきちんと説明しなくてはいけない。
主人の実家も私の実家も比較的近く、今までの様子を見てるし、特に自分の親には何となく自閉症じゃないか……という不安はすでに話しをしていた。
なので、自分の方の親は「やっぱり……」という反応だった。
出来ることはなんでも協力すると言ってくれた。
主人の方の両親は、「可愛そうに…」を繰り返し、「治らないのか」と何度も聞いてきた。
自閉症は、障がい。
生まれた時から脳機能のどこかに問題があるわけで…原因もはっきりとはまだ解明されておらず、治るということはない。
「病気」とは違う。
でも、できるだけ早い時期からの適切な支援を受けることで随分と先の成長は変わってくる。
そのためには、専門の知識、支援の経験がある人達の力が絶対に必要だ。
この子のために、早く支援をしてもらわなくては……
私の住んでいる地域は、どこに行けば支援をしてもらえるんだろう。
センターでの教室は半年以上先になる。
出産までの日、そして教室が始まるまでの間は 診断されたものの何の手立ても分からずただ毎日を必死に過ごしていた。
お腹も大きくなり、動きの活発になってきた多動の次男を外で遊ばせることは不可能で たまに親の所に連れていき遊んでもらうという日々だった。
また、義母から会う度に言われる「可愛そう」という言葉は 遠巻きに 私を責めているのではないか……という感じにだんだん聞こえてきた。
この子は可愛そうな子ではない。
なんでそんなふうに可愛そうだと言うの?
哀れに思われることほど辛いことは無かった。
可愛そうだと決めつけてほしくなかった。
こんな事もあった。
ある時、義父母がアイスをおみやげに買って遊びに来てくれた。
息子が喜んでスプーンを取りに台所へ行き、引き出しを開けてスプーンを取り出す。。
この行動を見て言った義母の言葉は
「バカじゃないんだね…」だった。
昔の人だ。裏表もなく、悪気もないし深い意味も本人には無いのだろう。でも……。
バカじゃない!心の中で言っていた。
泣きそうになった。
でもその時私は 何も言えなかった。
そして、思った。
どんなに説明しても、こういう理解しか出来ない人が世の中にはたくさんいるんだろうな……と。
最初に味わった残念な思いだった。
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