第7話 サスペンス
「ドロップアイテムか。とりあえず拾っておこう」
なにげに初戦闘の戦利品だ。ちょっとテンションが上がる。
ちなみに生き物を殺すことにためらいは無い。趣味の狩猟がそういうものだからだ。
俺がこんな山中にいるのもソロハンティングを楽しんでいたからにほかならない。
「そう考えたら装備一式が消えたのは痛かった……」
ライフル銃で狙撃無双する、というのもウェブ小説では定番だ。
まあ狩猟歴の浅い俺が持っていたのはライフルではなくて散弾銃だったけど。それでも銃火器は頼りになると思う。
「とにかく、エンジョイ山田だ。そこからなじみの銃砲店に行こう」
ふたたび目的地に向かって歩き始める。
林を抜け、竹林を回り込み、山を下りて行くと沢に沿った車道に出ることができた。何度も車で通った道だ。
舗装された道路と知っている風景による安心感で足取りはどんどん軽くなる。
ほどなく川の対岸にわたる橋が見えてきた。
――!?
遠足気分はそこまでだった。五ディジィほど先にある、橋の欄干代わりの白いガードレールには見間違えようのない血が、こすれるようについてた。
反射的に道横の藪に飛び込んであたりを警戒する。
「シキ、起きてくれ」
「はい」
「お前、索敵はできるか?」
「できます。リブロス様ができる程度に」
よし、これは心強い。
「じゃあ俺がいいというまで頼む」
「承知いたしました」
これまでの地球ではありえない巨大セミが居た時点で理解しておくべきだった。
ここはダンジョン。狩猟とは次元の違う危険がそこいらに転がっているんだ。
街のダンジョン区域は今頃阿鼻叫喚かも知れない。
「今の所気配はありません」
シキの声を聞きつつ前進を始める。
正直気配が無いからといって安心できないけれど、いつまでもこうしてはいられない。
そしてなにより、あのガードレールについた血のこすれた先が”上”である点だ。
何か、いや、誰かがガードレールにぶつかり、持ち上がり、川に落ちた。
「嫌なものみつけたなぁ」
思い出したくもないけど数年前、狩猟中に死体をみつけた時以来の嫌さだ。
あたりを警戒しながら橋を通り過ぎ、血のりのついたガードレールの真下をのぞき込む。
大きな岩の上でうつ伏せに倒れていたのは、自分と同じく金髪で耳の長いエルフだった。
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