第3話 押しかけ相棒


「まずは持ち物確認と情報整理だな……」


 さっきから動きづらいな、このローブ脱ごう。杖と一緒に腕輪のクローゼットに戻しとくか。

 …………。


「なんか出し入れがおそいな。前からこんなだったか?」

 いや、前からってなんだよ。こんな便利収納日本になかったよ。


 記憶は基本的に日本人だったころのままだけど、あれか? 外見も変わっているし、色々神様がいじったのか? 

 

「考えるのやめよう……」

 とりあえず保留案件だ。さっき受け入れようと納得したばっかりだし。

 もう二度三度受け入れるのも一緒だろう。  

 どんとこい不可解事象。



 さて、手元のガイドブックは腕輪のインターフェイス部分も兼ねているらしい。

 AIでも入っているのか、質問すれば該当する情報がページに浮かび上がってくる。


「hey sheri!」

 最近のスマホはみんな疑似AIを搭載している。そういえば俺のスマホどこいったのかな、所持品とかなくなってたしな。


「私はsheriではありません。会話モードで呼ぶ時はシキとお呼びください」

「あ、はい」


 ページが光ると同時に凜とした女性の声が聞こえてきた。人工知能どころか、人格入ってたよ!

「私は神界より貸与された形而上形而下存在保存機能を持つ補助AIで――」


 なにか訳わからないことを言い出した。


「hey shiki 。一行で説明して」

「私は無制限に物の収納と情報の記録ができる人格をもった神界の道具、ストレージです」

 つまり人格のあるマジックボックスだな。よし、優秀。


 で、さらに色々聞いた結果、シキは人格はあるけれど、基本的にあらかじめインストールされた情報しか知らない事がわかった。つまり俺の持ち物の行き先は知らないらしい。そして――


「え? 24時間ライフログとり続けるって?」

 そして非情に便利な事に、俺が見聞きした情報は常時記録し、聞けば教えてくれるらしい。なにその羞恥プレイ。


「ご安心ください。記録媒体に対し、私は命じられた時のみアクセスします。平常時は外部の情報を遮断しております」

「そうか、ならいいけど」

 少し安心した。プライバシーが守られているなら良いんだ。


「会話が不要な時は呼ばずに要件だけをストレージ本体にお伝えください。それでは一度下がらせていただきます」

そう告げるとガイドブックのページは光らなくなった。






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