応援コメント

ラヴェルへの追記としての本文」への応援コメント


  • 編集済

    project:Y L部様

     初めまして。自主企画「詩とは何か、教えて下さいな。」主催のもざどみれーると申します。この度は当企画にご参加下さいまして、誠にありがとうございました。

     早速、『ラヴェル追記 ─ 死せる言葉による死者への呼びかけ』を読ませて頂きました。
     まず、まるで宙ぶらりんのものに足をガシッと掴まれているかのような、何とも言えない独特な世界観がとても魅力的ですね。それでいて「抽象的存在を現実的存在とする方法についての寓話」としての流れはキチッとしており、短いながらも非常に中身の濃い作品だなと感じます。

    「現実は現実からしか現れないという呪いはあなたや他の人にも成立しているのです」

     僕は曲がりなりの、そして素人の物書きですが、自分の中でこの「呪い」が成立している瞬間は何も書くことができません。そして、何かを書いたらその存在を他人の「ラヴェルに書き加え」て初めて作品として認識してもらうことができます。これは詩に限らず芸術全般に言える重要なプロセスであり、大切なご指摘だと思います。

     次に、

    「扉の向こうで死んだ者であり、あの部屋の中で死んだ者であり、この箱の中で死んだ者。そして、それを知っている者」

     という「私」の台詞に、不思議な美しさを感じました。聖書の詩編に出てきそうな、深みのある感触を覚えます。「あなたは私を見た」という最後の台詞にも同様のことが言えますね。非常に静謐な余韻が残る表現だと思いました。

     結末の一文に老婆とその同居人が再び登場しますが、彼らが「扉」をどう感じたのかにも興味が沸きます。突然の出来事に驚いたのか、それとも……。ここは、色々な解釈によってそれぞれの読者の中でイメージの膨らむ箇所かもしれませんね。

     最後に。
     僕の理解力が作品に追い付いておらず、ひょっとしたらトンチンカンな感想になっているかも知れません(苦笑)。しかし、総じて非常に歯応えのある作品で、とても楽しませて頂きました。詩とは何か、芸術とは何かといった考察に新たな手を差し伸べて下さったことに対し、心から感謝申し上げます。


     project:Y L部様にとって、これからのカクヨムライフも素晴らしいものとなりますように。

     この度は、ご参加下さいまして誠にありがとうございました!

    作者からの返信

    もざどみれーる様

    初めまして。丁寧なコメントありがとうございます。
    書きたかったことが伝わっているようで嬉しいです。

    詩/物語/芸術の概念的な存在の比喩として「私」の物語を書くことで、それが現実に表れる過程を描くことを試みました。大げさに言えばイデアの部分の表れ方を記述することで洞窟を観測する試みです。未読者というのは「老婆」か「同居人」であり、レビューして下さった方(レビューされずとも感想を抱いた方)は「成人女性」というように読めるように意図しています。

    「私」の物語を読み感想を下さり、大変ありがとうございました。