朝霧高原夕景

きし あきら

朝霧高原夕景

 くだりの道はひとびとを海ぞいまで運ぶ。合歓の木木はいま睡っている。

 尾花燃えたて。黄金こがねのお粉をちらちらさせて。

 なびけよ、夕かぜのしるし、あさぎりの、大地のうぶ毛よ。


 景色のかなたから、いたわりはくる。

 山山のふちは牛どもの背にかくれる。

 牛どもの背は三角のいえにかくれる。

 いたわりは暗む眼子まなこにおりてくる。


 垂れよ、尾よ花よ。黄金のお粉は、かるくも重い。

 そうして閉じよ。数数むすうの眼子がそうするごとく。

 うるめよ、くだる草草。くだりゆくきょう、あさぎりのきょう。

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朝霧高原夕景 きし あきら @hypast

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