第11話友人に報告

「お付き合い、始めたのよ」


 そう言うと、友人は口をぽっかりと開けて一言、


「マジ?」


 と聞き返してきた。


「嘘じゃないわ。先日、デートして食事の終わりにお付き合いしましょうって言ったの」

「おお……あの愛奈がついに……」

「これで作品に愛が込められると思わない?」

「ん~作品のために付き合ってるんならまだまだかなぁ。本当のその人のことが好きになったら恋愛で良い作品ができるかもね。愛奈って愛をテーマにしたものを作るくせに、ほとんどの作品で愛が感じられないんだもの。良いやつは本当に良いんだけどねぇ」


 そう、愛奈が今まで作ってきた作品は絵であれ小説であれ、すべてが愛をテーマにしたものだった。なぜ愛なのかというと、おそらく親の愛情を知らないせいだからだ。無意識に愛を求めていたのだろう。

 ちなみに、友人曰く最高だったのは兄弟愛をテーマにした漫画だった。愛十に似せて作ったキャラが一番評判良かった。対して最悪だったのは恋愛ものだ。小説、漫画、アクセサリーなどなど、色々と試してみたがどれもダメ。その結果が「愛奈の作品には愛がないよね」だったのだ。


「ともあれ、作品に良い影響が出ると良いね」

「うん。あ、もうこんな時間。これから隼人さんと美術館に行くのよ」

「あらお熱い。じゃあ名残惜しいけど今日は解散ね。また遊びましょう!」


 ベンチから立ち上がってそれぞれ別の方向へ歩き出す。次に会う時は彼女に「すごく良い!」と言わせられるような作品を見せたいものだ。

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