第19話 部活の有意義さ
「是非に」
とのことで、チラシを貰った。
部活勧誘期間。
体育館では、毎年恒例で、それぞれ部活の紹介やらデモンストレーションやらが行なわれている…………らしい。
「春光かぁ」
図書室で、ボケーッと、校舎を見ていた。
部活も、入るのは良いんだけど、
「自分のしたい事ね」
特に思いつかなかったり。
――何をすれば良いのか?
――むしろ何をすべきか?
勉強するだけが取り柄の私でした。
お兄ちゃんは自営業やってるし、凜ちゃんは先生やってるし。
青春ってんなら、こちらだろう。
でも勉強だけ……も味気ないよね。
それは……多分……きっと……。
「どう思う?」
とは春人へ。
「帰宅部も……青春ではないですか……?」
その発想は無かった。
なんか帰宅部って能無しが能無しを能うために存在する様な……ある種で私の様な境遇を浮き彫りにする活動に思えてならない。
「春人は入部とかするの?」
「手芸部には興味があります」
「あー、それっぽい」
男の娘だしね。
ロリータファッションとか似合う美少年。
「陽子さんは……?」
「文芸部……も今更だし」
本を読みたいなら図書室がある。
文章書くにもパソコンいるし。
スマホでも書ける時代だけどさ。
「では……?」
「帰宅部?」
「可愛らしい格好なら……マネージャーもありじゃないですか……?」
「余計な慕情はいらないかな」
スポーツマンと恋愛する気は無い。
チラシを一枚。
「ミス研ね」
文芸部と何が違う?
読む本かな?
スマホをカシカシ。
『オススメの部活とかある?』
凜ちゃんにライン。
『無理に入らなくても宜しいのでは?』
『凜ちゃんの顧問は?』
『さすがにありませんね』
新米教師は仕事を覚えるのが仕事ではあろう。
というか凜ちゃんが顧問をすると、女子生徒が殺到しかねない。
『好きだと思えることをやれば良いんですよ』
ご尤も。
相も変わらずの雰囲気イケメンめ。
御尊顔も麗しゅうござんすけど。
「手芸部ね」
「興味が……?」
「どっちかってーと春人の方に」
「照れる……」
「そりゃようござんして」
髪で顔を隠しているので、本当に照れているのか。
……よくわからない。
「勉強部とかないのかしら?」
「本末転倒……ってそのことですよね……」
理解はする。
「部活……ね」
「幽霊部員でも……いいんじゃないのかな……?」
「文化系ならそうかもね」
「陽子さんは……可愛いし……」
「他の人に言わないでね」
「僕も……言われたく……ありません……」
でしょうね。
「運動部は却下として」
「文化部……?」
「それよね」
色々とありまして。
チラシを並べる。
「サブカル研かぁ」
まぁ私はオタクだ。
三つ子の魂。
住み心地は良かれども。
もう一押し……何かが欲しかったり。
「殊更帰宅部だからって斬首刑になるわけじゃないか……」
「だったら……問題すぎです……」
「考える時間も必要ね」
部活動見学もするべきか?
「南無八幡大菩薩」
「戦うの……?」
「青春と」
見えない敵は何時だって自分の中に。
「お兄ちゃん……か」
小さな声で。
ポソリ。
呟いた。
「夢の有る人が羨ましい」
「夢が無いので……?」
「勉強くらいしか取り柄が無い物で」
「男装とか……」
「絶対無理」
それは断言できる。
「まずは……燕尾服を着るところから……」
「男装の麗人?」
「ダンスの男子パートを覚えると……女子にもモテモテ……」
「やな未来」
じゃあ何やるかって話でもあるけど。
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