第13話 ダラダラと
「面白かった……です……」
「だねぇ」
ファーストフード店で、昼食を取りながら、私と春人は先ほど見ていた映画を論評していた。
「二段覚醒……ってありですか……?」
「賛否両論みたいね」
本人は気にしてないらしいけど。
「烏丸先生の本を……読んでおいでで……?」
「今更過ぎない?」
「とは申せども……」
「まぁそうね」
確認も必要か。
「概ねね」
「面白いですよね……」
「否定はしないよ」
チューとコーラを飲む。
お兄ちゃんの感性はあれども、アレは確かに確固たる一つの世界を持っている……とでも述べられるのか?
どうなんだ?
「女の子と……波旬の覚醒は……萌える……」
「ついでに燃えるわよね~」
「です……」
「楽しめたなら良かった」
「ありがとう……ございます……」
「何処から出た言葉?」
「その……僕を……エスコートしてくれて……」
「然程じゃないけどね」
たしかに春人は、そこら辺の経験値が薄そうではある。
「映画なんて余裕余裕」
「そうでしょうか……?」
「隣にいるのが春人ならね」
「えと……光栄です……?」
「こっちこそ」
クスッ。
笑ってしまった。
「じゃあ次はゲーセンね」
「ゲームは……あまり……」
「写真撮ろうよ。記録に残さないと勿体ないって」
「えと……然程の者では……」
「あるから言ってんの」
「ですか……?」
です。
ガチでやばたんだ。
「超イケ。本気になるレベル」
「恐縮です……」
イソイソと。
「なんでそんなに自信ないの?」
「男らしくが久しぶりなモノで」
「あー……」
なる。
「女装するとどんな感じになるん?」
「…………」
画像データを見せられた。
スマホで。
「わーお……」
絶句。
ゴスロリの美少女が映っていた。
金髪碧眼。
目の前のイケメンとの共通項はそれだけ。
マジで別人に見える。
そして私の記憶に再認がヒットした。
「もしかしてパパ活とかしてない?」
「してますけど……?」
「超だよね」
卒業休みの凜ちゃんとのデート。
親父に絡まれたゴスロリ美少女の記憶。
画像データと一致した。
あの時の乙女か。
少し長い前髪を、愛らしいヘアピンで留めている女の子。
「なるほどね」
斯く斯く然々。
「あ……それで……」
「そういうことね」
確かに可愛いけども!
「パパ活は辞めて」
「そのう……無理です……」
「何故に?」
「性癖で……」
うわお。
予想外のフルスイング。
「処女じゃないの?」
「処女です……」
援交はしていないらしい。
男の娘って需要あるのかな?
少し考える。
フライドポテトをはむり。
「なにか?」
「女装は……レゾンデートルなので……」
「パパ活とは関係なくない?」
「そのう……」
何かを言いたいらしい。
結局何も言われなかったけど。
ま、後は本人ばかりなり……か。
別に保護者でもないしね。
勿体ないのはお互い様ってことで一つ。
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