第2話 [黒髪の少年]奪還


【アフロ国エチオピア州 アジス・アベバ】


夕暮れの街を歩く女の後ろ姿を見ながら、ロン毛で髭面の男が呟いた。


「まったくいい女だな、なぁミク」


酒臭い息を吐き出しながら、 [ユーロ国]、[北米ア]、[ジャポネ]で4つの博士号を持つ32歳独身男。


ドクター”イアン・マッスル”


ノーベル賞候補となる14個の発明と発見の実績を持ち、各国特殊機関からスカウ

トされるも現在は幾分、、人間味のある、そしてギャラも他より、「0」が

一つ、多かった理由からブール国家連合、通称”ブーレ” 特殊部隊 [No99] の

主管を任される男、、階級は [中佐]。


「ドク、ホ○じゃなかったんですね」


とっ、、低いトーンで問いかける。”ミク・三ツ沢”

短髪で、一見、可愛い男の子に見えるが、長身細身の18歳女、胸の貧乳はトレード

マークと言い張るも、毎日牛乳2ℓ飲がルーチンワーク。

ブール国連学校、通称 ”ブー学” 飛び級で学士号を持つ、[No99]の隊員兼

[ブー学 No99 エチオピア州分校] の数学新任教師、階級は[少尉]。


「ふん、ミッ、ミっミクくーん、それは、隊員どもの総意的、

な意見な、、感じかな!?」

「そうです」


「 どっ、、どこらへんが? ボクのどこら辺が、ホッ、ホ○のニュアンスを

感じるのだろうか?」


「チッ、」


とっ、、舌打ちする、バズーカ砲を背中に担ぎ、ペロペロキャンディーを右手に持

つ、ド派手な=色見本の表=みたいな衣装がキュートでキャッアイのサングラスが

不気味に光る、見た目は、10歳くらいの女子、階級は『軍曹』


[POP]


と、、その横に、ガムをクチャクチャ噛みながら、エアーモニターで目標を

検索する、野球帽をかぶった同じくらいの歳の男子。階級は同じく『軍曹』


[ペイジ]


怪訝な表情で、ミクがドクター”イアン・マッスル”に問いかけた。


「ドク、この子達は、何者ですか?」


「ホッホ、我ら[ブーレ]の最強のスイーパーさ、強ぇーぞ、そいつら」


不機嫌そうなガキ二人を、横目で見下ろすミクの目は笑っていない。

目標の、、いい女が、路地の角を曲がる、、尻のラインがくっきりわかる。

「赤のワンピースが、嫌いな男はいないでしょう?」などと全身のオーラで語る女。


「ユーロの[Mi11]のエージェント、あんな格好で、仕事できるんですか?」


ドクターイアン・マッスルが「いい女」と呼ぶいい女は

ユーロ国、秘密情報局 [Mi11]のエージェント、人呼んで


『悪魔の残り香を嗅げるのは死人のみ』



[フィーツ・エルダス] [Mi11]の中央アフロ方面情報部主査長。


 「ペイジ、フィーツ・エルダスは直接ドンパチはやらねぇ、周りに『Mi11』の兵隊がいるはずだ!!」


 無愛想な男の子 ペイジ は ガムをクチャクチャさせながら、"エアータブレット"

を無音で操作する。


 イアン・マッスル は耳タブに仕込まれた、コンタクトレンズモニター

[I,s(アイズ )] のスイッチを入れた。


 すでに、右目下方に人工衛星から送られる衛星写真が鮮明に写り

フィーツ・エルダス は赤い点、そして青い点で記されるのが兵隊だ。

ミクは、大声で叫びそうになりながらも、小声で囁いた。


「ドク、、すごい数ですね、120人!? 獲物は、たった一人の

少年ですよね!?」

 「そんだけ、、バケモンって事じゃねえのか!?、、いいか、てめえら、、

情報によると神経ガスを体から発するらしいからなマスク外すんじゃねえぜ!

てめえの命は、、てめえで守れ。」


4人は、透明のビニール袋をすっぽりと頭から被った、、瞬間、 音もなく顔に張

り付き、違和感のない素顔となった。 

ナノマシンで造られた現段階で [ブーレ] 特殊部隊 だけが使用する"エアーマスク"

である。


 フィーツ・エルダスは人混みの広場の噴水に、内股に仕込んでいた

"ライター式の手榴弾"を投げ込む。


 <ドカーーン>噴水から派手な爆発が起こり、水が跳ね上がり、

慌てふためく道ゆく市民。


 ものの数秒で広場はフィーツ・エルダスと[黒髪の少年]の2人きりになった。


 「坊や、、お姉さんと、美味しいものでも食べにいかない?」


 浅黒い肌、長い金色の髪を後ろできっちりと纏めたフィーツ・エルダスは

メタルのサングラスを外しながら、明るいグリーンの瞳でその少年を見下ろす。

 [黒髪の少年]は、長い前髪の隙間から上目遣いで見返す。ちょっと猫背でだらり

と垂らした両の手。


 遠くで、、”教会の鐘”の音が響いた。~ーその瞬間、、、「黒髪の少年」

は頭上を見上げ、口を大きく広げた。


 息を大きく吸い込み、、首は伸びきり、、爪先立ち、、夕焼け空に食いつく

程の圧を、、体から、、放出させた、、と思ったその瞬間。


 「放たれた水蒸気にも似たガス!?」風景が蜃気楼のように揺れる。


 とっさにペイジ が噛んでいたガムを膨らます、、

ドンドンドン膨らんだガム風船、無愛想なPOPがまた舌打ちをしながら、

イアンとミクを『巨大ガム風船』の中に蹴り込んだ。


 「イテッ、!!」「いたいwww」


 二人は、『巨大ガム風船』の表面をすり抜ける、POPも大股でくぐり抜ける。

蜃気楼はどんどん空間を飲み込み、広場を囲んでいた[Mi11]の隊員はマスクを装着しながら、もがき苦しんでいる。


 ある者は、マスクをとり内蔵物を吐くもの、、目を剥いてビルの屋上から飛び降り

るもの、100人を超える隊員がもがき苦しむ姿態。


 見通しの良い広場に、人が嫌いな~<人の腐る匂い>~が充満する、、

この世の地獄と言っても言葉足らずな情景。


 「ドク、これはどいう事ですか!! みんな、あんな、苦しんる。。」

震えながら ミク が叫ぶ、、、でかいガム風船の中で。


 「いやいやいや、何が何だか、あのガスは、毛穴からも体内に侵入するって事か!? ペイジ!!映像は[ブーレ本部]に送ってるだろな、、」

[イアン・マッスル] は [ペイジ] の軽く小突きながら言った。


 「しかし、あの女は、何故無事なんだ? あんな美味しそうな生足でよーー

ナノテクのスーツか、なんかか!?」

「ユーロの技術力じゃ、まだそこまで用意できないはずですよドク、しかし、平然としてますね、痛っ!!」


 ミク・三ツ沢は、『巨大ガム風船』の内側から指を突き刺して弄んでたので、

ペイジにつま先蹴りされた。

 ちなみに、この『巨大ガム風船』は、天才少年 ペイジ くん作、正真正銘

[ナノマシン・ガムシールド]

ガスを通さず、ミサイルをするりとかわし、レーザーを跳ね返す、ブール星

最先端兵器 [ブーレ] オリジナルである。


 さて、、[黒髪の少年]はいよいよ、断末魔の咆哮にも似た呻きをあげている、

今にも果てそうな勢いだ。


 相変わらず、一人平然とピンヒールを履いて仁王立っている

フィーツ・エルダス。


 「ビンビン来るわねぇ~♫ あなたの神経ガスは、過去の記憶から、

心の奥底から、、体の毛穴から続々と締め上げてくるわね、、これは、

普通のいい子ちゃんで育てられたお子様には荷が重イワ」


 [黒髪の少年] に近づくフィーツ・エルダスはピアスに仕込んだ無線で

[Mi11] 本部に連絡をとる。


 「こちら、エルダス隊、[目標] 予想以上の出来栄えです、これから確保

しますが、現場の隊員は皆使いものになりません、至急1個中隊の出動要請いた

します。」


 外気データをエアーモニターで確認していた ペイジ からの合図で [巨大ガム

風船] バリアーから抜け出したイアン・マッスル 隊は[黒髪の少年]と

フィーツ・エルダスの元へ駆け出した。


 「ペイジ!!索敵、POPは遠距離射撃隊の妨害、、ミクは俺の護衛、

、目標[黒髪の少年]を, あの女より先に確保するぞ~」


 POP は イアン・マッスル の指示に従い、背中の『ドデカイ”バズーカー砲”』

を素早く抜いた、砲弾5連装、遠距離レーザーライフルも装備された POP 専用の

ハイブリット・バズーカー砲だ。

 ミク・三ツ沢は腰に巻いた”ナノ・ドローンベルト”を素早く外し、右手に持つ。


 後ろ向きで走るPOPの足は速い、チビなのに速い事に、、ムッとしたミクも

長い足で加速する。


 フィーツ・エルダスはショルダーバックから、銃を出す、麻酔銃のようだ

イアン・マッスルは腰から"レーザーポインター"を [黒髪の少年]の右肩に当てた。


 その赤く光る”レーザーポインター”に気づいたフィーツ・エルダスは、またもや

内股から”ライター式の手榴弾”を、、後ろを振り返りもせず投げ上げた。


  イアン・マッスル隊へ飛んでくる手榴弾に、慌てる事なく、ミク・三ツ沢 は

”ナノ・ドローンベルト”を鞭のようにしならせる。


 手榴弾に当たる瞬間、鞭の先がワニの口のように開き、手榴弾を飲み込んだ。


 「バム!!」わずかな閃光。

飲み込まれた手榴弾が、"ナノ・ドローンベルト"の中で小さく爆発したが

大きな衝撃もなく4人は駆け続ける。


 「POP!! あの女にブチかませっv」


 イアン・マッスル が叫ぶ。POP は後ろ走りしながらも、驚くほどの身体能力で

バク宙しながら

”ハイブリットバズーカー砲”から 砲弾を吐き出す「ドーン!!」


フィーツ・エルダスも振り向きざま、左耳の鎖のイヤリングを左手で抜き去り、

瞬間振り下ろした!!、

イヤリングは光の鞭のようにしなり、バズーカーの砲弾もろとも、POPのバズーカ

ー砲の筒先を叩き斬る。


 瞬きもせずイアン・マッスル隊の4人はバズーカーの破片を避ける。


  イアン・マッスル は [黒髪の少年] の肩にもう一度レーザポインターを

当てる。


  「ペイジっ!!、、今だ、[目標]をいただくぞ! 引きあげろっv」


 ヨーデルと思われる節にのせて指示をだすイアン・マッスル 、ペイジ は

エアータブレットの『ON』ボタンを押した。


 フィーツ・エルダス は背後で、[黒髪の少年] が音もなく宙に舞い上がり、

空へと引き上げられる姿を、右手の腕時計のガラスで確認しながら、無造作に

イアン・マッスル 隊に向け、左手の "レーザーイヤリングチェーン" を横殴りに

切りつけた。


 鞭のようにしなるレーザー光、隊の右手にいた "ミク・三ツ沢" は

”ナノ・ドローンベルト” を両手で盾にし間一髪で受け止めたが、 

軽く跳ね飛ばされる。


 「うっっv、、、なんて圧力、、」


 イアン・マッスル 隊は跳ね飛ばされた ミク・三ツ沢 を受けとめ

フィーツ・エルダス と10mの距離で向かい合う。

 

 突撃する4人を力で立ち止まらせた、尋常ではないオーラを放つ、

仁王立ち フィーツ・エルダス 。


 「いいね~~♫ ハイレベルなバトル、、あんた、、悪魔的に強いわ~~♫」


軽口を叩きながらも、隙なくフィーツ・エルダス を見据えるイアン・マッスル


 「、、、凸凹なあなた達は、、どちら方面の方々かしら? そして、、私の獲物

を連れ去った、あの魔法は何魔法?」


 こちらも、一寸の隙も与えず、、マジシャンのように、長いタバコを右手の指先

に出現させ”ライター式の手榴弾”で火を付け一服する。さらに反り返る仁王立ち

フィーツ・エルダス。


 「通りすがりの児童保護施設の者です。、、ちょっとした正義の味方ですかね、

、へっへへ」


 イアン・マッスル は [黒髪の少年] の消えた方向を遠い目をしながら見つめる。

噴水の広場で、向かい合う二組、夕暮れはいつしか、夜の暗闇に包まれ、広場の街灯

が5人の影を揺らした。


 「へぇ~~♫ 正義は、見る方向で、全然ミカタが違うんだけれど、、、では、こ

の場合、、どちらが正義の味方かしら?」


 と言いながらフィーツ・エルダスは、右耳のピアスに仕込まれた無線を触りな

がらモールス信号で本部に連絡を取る。


   「テキノセンリョクアナドリガタシ、ミカタノハイビハ、アトドノクラ

イカカルカ?」


  ユーロ[MI11] 本部から即返信が来る

「隊、、現着予定は7分後、1804、1804しばし待たれい」


  フィーツ・エルダス は少々焦れながらも平静を装い、状況を整理する。


 1-この凸凹連中の装備のクオリティーが今のブール諸国にはないシロモノ

 2-[黒髪の少年]を連れ去ったマジックは何?

 3-チビ二人のしざまは!?そもそもこのチビは子供!?、、

 4-鞭を持つ、こいつは、男or 女?

 5-髭ズラの男、、口が、、臭そう

 6-100%こちらの部が悪い


 なぞと思考巡りをしていると,胸の底から、いつものあの

「不快な感覚」が湧き上がる。


 寒気と共に、、恐怖と悪寒と怒りが固まりとなって込み上がる


 『こんな時に、、、』

 ふとした瞬間、、魂は体を抜ける、、噴水広場で、凸凹四人と向き合う自分を

見下ろしている


 『私が、そこに居る、、赤いワンピースが似合ってるわ』。


 などと考えてる瞬きに、幽体離脱した [フィーツ・エルダス] は、とある

修羅場にテレポートした。


『ずっと探している、あいつらを、、私は、、私たちは探している、、

あの憎きあいつらを、、』


=9年モ、探シテルノヨ、、ヒキ肉ニシテ、ハンバーグニシテ、毎晩食ベルツモリ

ノ、アノ外道達ヲ=


フィーツ・エルダス は、ふらつく頭に堪えながらも仁王立ちのまま、

こなれた手つきで、腕時計のネジ巻きを押した。


 「アジス・アベバ、2番地アーリンシャン通り、、紫のマンション屋上

ペントハウス」


 カッと眼を見開き、腕時計に向かって話しかけた。


「・・・何だ?~~ー凄い目、むいて睨んでますが、、俺たちを見てねえな」


 ペイジ が フィーツ・エルダス の口走った住所をエアータブレットで検索、、

衛星データの映像を各々の[ I’s ]に写す。


 その映像は、、年端も行かない少女を、二人の男と女が押さえつけている。


 「・・・何ですか~~!!これは、、女の子を、、レレっレイプしてるんじゃない

ですか!?」いきなり激高する [ミク・三ツ沢]


 「ドク、、これは、、保護対象です、、直ちに急行しましょうっv」

 「だなぁ~~、、しかし、、この状況で、、」


 と イアン・マッスル がつぶやき終わる前に、人工衛星から発する"レーザーアーム"を呼んだ。


 夜空に一瞬の光が、ミク・三ツ沢 の背中に ”レーザーポインター”の赤い点がと

もり、音もなく静かに夜の空へ、飛び上がる。


 「だよね^~^行っちゃうよね、ペイジあの新米を現場まで着地させてや

れ、、落下して死ぬぞ」


 ペイジは言われるまでもなく、もうエアータブレットを操作している。


 「現着まで3分ってとこか、、間に合うか。。」


 そして、その加害者二人と女の個人データも調べ上げた。


  ムペヤ・キリング(19歳学生)

ムァナ・キリング(17歳学生)

コリンナ・キリング(35歳主婦)

少女ーー不明


 「親子で、幼児レイプ!? 何が何だか」吐き捨てるドク。


 フィーツ・エルダスは相も変わらず、眼を見開き仁王立ちのままだ、怪訝に思う

イアン・マッスルは 自分の鼻に指を入れたり変顔をしたり、、悪ノリ気味に

フィーツ・エルダスを挑発するも、反応が返ってこない事を確認して。


「お姉さーーん、、、僕たち逃げますけど、、、」


 

フィーツ・エルダスは、眉間のシワが深く、、目つきが、歌舞伎役者のような

寄り目になってゆく。


「お姉さーーーん 美人が台無しですよ~~♫   野郎ども、、、、よくわかん

ねえが、、ズラかるぞ」

POP は、腰につけたズタ袋から、忍者の使うような煙玉を地面に投げつけ煙幕を

張り、3人は姿を消した。




 25階ビルの屋上、プールサイドの芝生の上で、7歳の少女を羽交い締めにする

ムペヤ・キリングとムァナ・キリング


 「兄貴、、、俺が先だぜ、、」


弟 ムペヤ・キリング がズボンを脱ぎながら気絶している少女の体に

舌をはわす。


 「しょうがないな、、まあ、小さすぎても楽しかねえからな、、

俺サイズに広げといてくれよ、、へっへへ」


  兄 ムァナ・キリング 息も絶え絶え、、盛った野獣そのものだ。その様子を

見ながら母 コリンナ・キリング は下卑た笑い顔で見下ろしている。


 「あんた達は、、老いたのから若いのまで見境がないねぇ、、新しい妹なんだ

から、、長持ちさせてよ」


 ワイングラスを傾けながら コリンナ・キリング は指先で、自分の感じる部分

を弄りだす。

  見上げる空には、下限の月が、女の快感の高まりは月の形になぞって

濡れ溺れる。

 「アンドゥトワー・アンドゥトワー・・新しい家族は、可愛がらないとねえ、、

フフフ、、ハァハァ、、月の下で戯れる男と女と少女が一人」


 鼻歌まじりに言葉に音をつける女、とその時、下限の月光が一瞬遮られた。


 ミク・三ツ沢 は、華麗とは程遠く、、空中をバタバタと、、手足がチグハグ

な、、見えないけれど、多分に涙と鼻水を垂らしてるくせに、堂々とした声で叫びな

がら落ちてきた。


 「ぬおおおおおおおお~~~貴様ら~~~」


 『ズドンvV』着地した、、いや、着地できた ミク・三ツ沢 は涙と鼻水を

そのままに荒い息で言い放つ。


 「お前ら、、ハアハア、、児童虐待、、ハアハア、、現行犯で裁く、、当方は

、アフロ国法外、、の特務権力によりこの国の裁判制度を踏む事なく、貴様らを

裁く権利を持つ、、ハアハア、、さあ、、観念して罰を受けよ、、さすれば命

だけは助けてやろう、、ハアハア」


 少女を羽交い締めにしていた兄 [ムァナ・キリング] が、暇驚いたものの、

目の前の、、空から落ちてきた[細っちい男か女かわからない] 者に余裕の笑みを

浮かべながら、ゆっくりと立ち上がる。


  「おいおい、、ここは、キリング家の家だぞ、、わかってんのか、男女」


 男女と言われたミク・三ツ沢が、、豪快に鼻水を手でぬぐい、息を整えながら言

い放つ。


 『[キリング家]!?、、、エチオピア州 アジス・アベバの闇の世界を司る、

ギャング、臓器売買、奴隷市場、多くの警察や州議員を顎で使う、、この街の汚物集

団、、その響きだけで反吐がでる、、あの[キリング家]の人々発見しました』



 ー心の奥底で、、『赤い炎』が、『青い、、冷たい炎』に切り替わるのが

わかるー


 右の眉が少しピクリと動くミク・三ツ沢。


 ズボンを脱いだ、下半身裸の弟 ムペヤ・キリング が、体に比例してデカすぎる

股間を誇示するが如く、堂々とした仁王立ちで、逆立ちしたムスコの先っぽを

イヂリながら、ワザと低い声音で語り出す。


 「おっほほほ、、天から落ちてきて、、超ヤバイ状況に陥って、テンパってる

男女の尻は俺の好みかも♫」


 頭の悪い、調子っ外れのラップで下卑た笑顔が気持ち悪い。兄弟でハイタッチを

決めるが、ちょっと空ぶる感じもダサきもい。


 その二人の間から、顔を出す母 コリンナ・キリング、二人の股間に、

両手で持った銃を這わせながらミク・三ツ沢 へ銃口を向ける。


  「男なら、尻のア○、女ならオ○○にぶち込んでやればいいんじゃない」


 安いレイプのアダルトビデオの一場面を見てるような、、『デジャブ』にも似たこ

のシュチュエーションにちょっと笑いがこみ上げてくる。

 [コリンナ・キリング]の見た目より、遥かに綺麗な声で、ちょっと『カクッ』とな

りながら、[ミク・三ツ沢] は静かに語り出した。


 「1代目の[キリング家] 当主 [ムザンレ・キリング] は、100年前、、南アフリカから一緒に流れてきた同胞と、この [アジス・アベバ]の地で、後の反重力鉱石

[ジタール鉱石]を発掘、それを、中華国に売って巨万の富を得る、、

 1代にして、この街どころかエチオピア州を、[ジタール鉱石] 発掘権を餌に、

[ブール革命] 前の、多くの大国に利権を与え、アフリカ有数の都市と成した。

 がっしかし、、2代目、そう貴様らの父 [ムレイニ・キリング] は、偉大なる

1代目 [ムザンレ・キリング] の天賦の才を引き継ぐ事なく[ブール革命] 以後、、

ユーロ、北米亜、南米、中東、中華の5大国に、利権を奪われ、、

 そして、5大国の汚物仕事を受ける代償として この街の、裏社会を取り

仕切る特権を得た、なんとも斜陽に照らされる、滅びさる一族、、それが 

[キリング家]っvV」


 『ハア、ハア、、、』最後は、息を切らしながらの熱弁で、、肩で息をする

[ミク・三ツ沢].。


 母 [コリンナ・キリング] は、、「フゥ~」と溜息を言葉にして、語る。


 「あんた、、この状況わかってる、、何処の組織の下っ端かわかんないけどさ

ぁ、、私が、引き金引いたらもう天国なんだ、、、」


[コリンナ・キリング]が語り終わる前に、語り出す [ミク・三ツ沢]


 「どうせ、貧乏で、生活の為に子沢山になった腐れチ○ポな親から、安く買い

叩いて連れてきた可愛い娘を、性奴隷としてこき使うこの鬼畜変態腐れ親子が、、

貴様らは、地獄のその向こうのまたその向こう側で、毎秒火炙りで死ぬに死ねない

明るい未来が待ってます。。。。」


 あまりの[ミク・三ツ沢] の剣幕に、しばしの沈黙後、、大笑いし出す

馬鹿[キリング]親子。


 「ふっははあハハハアh、、、お前、、、おもろいな、、俺たちが飼ってやる

わ、、ええ三食昼寝付き、、SEX付きでよ~~♫」


 静かに、、そして強かに、、小さく笑う [ミク・三ツ沢]、、顔のパーツが、

下限の月のように不気味に白く光る。

 使い慣れた ”ナノ・ドローンベルト” は、いつの間にか、粉末状態になり、淡い光

を発し、[ミク・三ツ沢] の背中から下限の月を模した翼の如く開いた、、、

そのオーラに見とれる馬鹿親子、、弟はいつの間にか猛々しい自分の息子から

白い液を放った。。。


 とっ その時、鋭い爆音が響いた。


  『ドオウン』地響きと共に、野太い男の嬌声が響く。


「嗚呼~~♫ 私のプリンスチ○コは何処!? 迎えにきたわ~~♫」


 ふっと我に帰る、、向かい合う4人、、ゆっくりと音の鳴る方を見ると、そこに

は、昔のアメリカ映画で観た「ヘルズ・エンジェルス」の様な格好の、マッチョな

皮ジャンスタイルの巨体の男が、20人程おっ勃ってるではないか。。

目をパチクリさせる、敵対していた4人、、空間に広がる今全世界で売れている

香水 [シェヴン no7] の香り。

 体臭と混じった濃ゆい香りにクラッとしながら[ ミク・三ツ沢 ] が問う。


  「あんた達、、どちら方面の方々?」


その掠れた声に反応する、リーダーと思われる男が、踊りながら。


 「そこの、男女のあんた、お疲れ、、この現場は、私達が天国に変えてあげるから、そこの眠り姫連れて、何処へでもおかえりなさい」


 リーダーの舞に、、後ろに控えた男達が続く、、ショーパブのダンサーの如く、

足で刻むリズムだけで、一糸乱れぬ舞をまうその肢体に毒気を抜かれた

[ミク・三ツ沢]、、、その巨体どもの揺らす振動で、意識を戻しそうな、

被害者少女。


  [ミク・三ツ沢]は、天秤にかける

 右天秤→意識の戻らぬ少女をそのまま[ブーレ本部]に連れ去るバージョン。

このくそ気持ちの悪い状況の記憶を取り去レルかも→少女は運が良ければ、

健やかな生活に戻れるかも。


 左天秤→この腐れ親子を地獄の向こうの向こう側に連れてゆくバージョン。

まず、、両手両足を切りとって、、お互いのう○こに顔を埋めさせetc,,,→私、

サドの快感に酔える絶対。。スッキリするわ絶対に!!。


  2秒間の熟慮の結果、、右天秤→”少女を早急に救出する”を選択


 「お兄さん達~~♫、、ここお任せするわ♡ 手数料、、

良かったら払い込むけれど」


 「イヤーン♡ お金払いちゃいタイのはコチラの方♡、、だから、、ま、、か、、

せ、、て 全部♡」


 「。。。。了解でーす、、では、よろシクでーす」


 馬鹿[キリング]親子の肩を気安く叩き、、少女を優しく抱きあげながら、

衛星の”レーザーアーム”を呼び、夜空に舞い上がる。


 「お兄さん達~~♫ 私は~どう見ても~女の子でーす♫」

とっどうでもいいことを言い残し、夜空に消える[ミク・三ツ沢]、、、

それを見上げる[キリング]家の馬鹿親子の目には、、希望は灯はなかった。


  革ジャンを着た20人程の男たち、、、

「へーいブラザー♫、、、ジャーーーンケンポン、、、アイコでショ、、、アイコで

ショ、、」



 ”嗚呼、、蛮行のその先には、、地獄しかなのか!? [キリング]家の

馬鹿親子、、、無事に、地獄にたどり着け” と、、


ミクは腕の中の眠れる少女を見つめながら、微笑んだ。。とさ。


 ここから先は、ポルノ&ホラー映像を各々空想で楽しみたまへっjgw




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