庭
「はぁ......。」
何回ため息をついたのだろうか。窓からは、夕日が綺麗に見えた。布団の上で、正座をして5時間は、確実に経っているだろう。
もう、諦めよう。悩んだって、結局同じだ。
「よし!切り替えよう!」
頬をペチっと叩く。
切り替えも大事だ。こういう時は、焦らずに少しずつ、進んでいくしかない。
布団から降りる。そして、私の3倍程ある窓から、外を眺めてみる。
窓からは、大きな庭が見えた。全て綺麗に整っていて、逆に不自然だ。雑草一本すら生えてない。色々な花が色鮮やかに咲いていた。
「まずは、この家を探検でもしてみるか!」
顔くらいの高さにあるドアの取っ手を持ち、私の3倍近くはあるドアを開けた。
赤いカーペットが敷かれ、壁が見えないほどに先が続いていた。
多分、誰かに見つかったら、すぐにでも部屋に戻されるだろう。体も思うように動かないから、随分長く起きなかったのだろう。
運が良いことに、廊下には誰も居なかった。
これなら、見つからずに外に出ることが出来る!
心の中でガッツポーズをした。
しかし、ここからどうやって外に出ればいいのだろうか。こんなにも大きかったら、戻ってくる時に戻ってこれない。
いつかは外に着くだろうと信じ、当たり探りに歩いた。
あった......
やっとの思いで見つけた、外に出られるドアは、1番端にあった。私の部屋のドアの半分より小さく、大人ひとりがギリギリ通れる高さだ。周りには、何も置いておらず、花瓶や、絵画が飾ってあった所とは、天と地の差だ。
あまりにもの差に驚いたが、外に出る方が優先だから気にしない。
木製で出来ている思いドアを踏ん張って開けた。
涼しい風が私に当たってきた。金髪の髪をサラサラとなびかせてくれるから、気持ちよかった。
思ってた通り、完璧に整えられている庭は居心地が悪かった。
せめて、雑草一本くらい生えてた方が落ち着くのに。
私の部屋からは気づかなかったが、奥に進むと広い場所に出た。小さな噴水と、白色のベンチが置いてあった。ここから家が見えないから、多分、死角なのだろう。
いい場所を見つけた。
頬が上がる。
「お嬢様ーー!!お嬢様ーー!!居ますかーー!?」
女の人の声が聞こえる。私を探しているのだろう。部屋から居なくなったことが、バレてしまったのだろう。
これ以上、迷惑をかけるわけにもいかない。私を探すために時間を無駄にして欲しくない。仕方なく、その人の所に近づく。
「お嬢様!早くお部屋にお戻りください!なんで、そう、やんちゃなんですか!?目を覚ましたばかりだと言うのに、人が変わったように元気になってしまって......よく分かりませんね」
少し呆れていたが、私の手を掴んでさっさと部屋に連れ戻された。
家に入る時に使ったドアは、私が見つけたドアとは違う、大きなものだった。
あのドアは、私だけの秘密にしておこう。
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