過去
私は、いつも通りの日課を送っていた。
「くそぉ!また負けた!流石にラスボスを一人で倒すのはキツいか」
そう言いながら、テレビゲームと向き合うこと10時間。流石に頭が痛い。
ベットへとダイブする。時計の針は6時を刺していた。開けっ放しのカーテンから光が入ってきた。
私は、ゲームが大好きだ。恋愛ゲームとか、そんな甘っちょろいものじゃない。戦闘ゲームとか、そういう、戦うやつだ。
今やっていたのは、前にお姉ちゃんから貰ったやつだ。
お姉ちゃんは、戦闘ゲームじゃなくて、バリバリの恋愛ゲームオタクだ。
いつも、隣の部屋から「カッコイイ!」とか、「素敵!」とか、そんな声ばかり聞こえるものだから、こちらとしても迷惑でしかない。
そんな、恋愛ゲームオタクのお姉ちゃんから、このゲームを、なんで貰ったのかは覚えてないが、このゲームは、本当に面白いのだ。勝ち進むゲームの中でも、ストーリーがあるから、より楽しい。面白ければ、お姉ちゃんの物だろうと、それでいい。
そして、私は異常な程に「異世界」が好きだ。そして、「転生」を愛している。転生したい!か、ゲームがしたい!としか思っていない。
そんな、オタクの不幸。それは、私にとっての幸福でしかなかった。
「
お母さんが階段の下から、叫んでいた。
今日は新学期でもない、いつもの月曜日。
ん〜......。なんて言えばいいんだ?まあ、いわゆる、引きこもりです。姉妹揃っての引きこもりです。
周りからは、「姉妹オタク」とか言われてたような気が......
昨日、お姉ちゃんと2人して、明日から学校行く!とか言って、お母様の怒りをどうにか逃げきったから、仕方がない。
ため息をつきながら階段を降りる。
目玉焼きを口にくわえながら、黒髪をとかし、まだ新品くらい綺麗な制服に袖を通してから、お姉ちゃんを置いて家を出た。
久しぶりの日差しに少しフラついたが、部屋でのストレッチは趣味だから、倒れるほどではなかった。
駅までの道のりは長いが、スマホゲームをしていれば、すぐだろう。
駅まで、残り数百メートル。少し安心しつつ、スマホに全ての意識が向いてしまった。
青だと思って歩き出した時、私はトラックにはねられた。
一瞬、言葉では現せないほどの激痛がしたが、すぐに楽になった。
「紅葉さん。本当は、もう少し生きれるはずだったのですが......こちらの不違いもありまして、お亡くなりになられました......申し訳ございません......」
目の前には、天使らしき者が現れた。背中に羽がついていて、しかも、宙に浮いているから多分そうだ。
私よりも幼い、可愛い顔立ちをしていた。
「そんなっ!気にしないでください!」
必死の思いで、慰める。
「紅葉さんは、優しいですね。それでは、紅葉さんの願いを叶えて差し上げましょう!」
予想通りの展開になってきた。これは、チャンスだ!!
「それじゃあ、転生したいです!死ぬ前にやったゲームに転生したいです!!」
「本当に、それでいいんですか?」
「出来れば、強いキャラが良いです!」
「分かりました」
心の中でガッツポーズをする。
これで。これでやっと転生が出来る。夢にまで見た転生だ!!強い未練も特にないし、落ち込むどころか、凄く私は嬉しい!
バンザーイ!バンザーイ!
そして、今に至る。
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