異世界転生が夢だったけど、御令嬢に転生してしまった(泣)

綾綺 瑠梨

転生

 バサッ!


「えっ」


 私にかかっていた布団を蹴飛ばし、周りを見渡した。


 見慣れない部屋だ。

 シャンデリアがキラキラしている。布団もふかふかだ。そして、全てがフリフリしている。落ち着かない、ピンク1色の可愛らしい部屋だ。

 眩しすぎる光が、窓から入ってくる。


 口が開いたまま閉じない。


「こ、こ、ここどこぉぉーー!!!」


 恐怖。恐怖でしかない!こ、これは、逃げなければ。早く逃げないと、自分の身に危険が......


「お嬢様!目が覚めましたか!!」


 異常な程デカいドアが思い切り開いた。執事らしき、白髪混じりのおじいさんが入ってきた。

 そして、何故か、「良かった、良かった」と、オロオロ泣いている。


 ダメだ。タイミングを逃した......


「旦那様!旦那様を呼んでこなくては!!」


 そう言って、さっさと出ていった。


 今だ!!


 私は、異常な程デカい布団を飛び降り、ドアへと走る。ふと、横を見る。壁に着いた鏡が、私を映していた。


「......。え......。ええええ!!!!!」


 は!?な、なんで!?ゲームのやりすぎで、頭がおかしくなったのか?


 ほっぺたをペチペチ叩く。手のひらをつねる。


「夢じゃない......」


 金髪の長い髪に、小さな顔。パッチリとした青色の綺麗な瞳。背も小さくて、可愛らしい。

 鏡に映る小さな彼女は、驚いた顔をしている。


 ヘナヘナと、崩れ落ちる。


「ルイーズ!」


 またしても、ドアが思い切り開いた。

 デブっちょのおじさんが、私を抱きしめた。


「良かった。目を覚ましてくれたんだね」


 だ、誰!?ルイーズって私のこと!?!?この子の名前は、ルイーズって言うんだ......


 今すぐにでも、逃げ出したかったが、今ここで、このおじさんの手をすり抜けて逃げても、怪しまれて、私の本当の正体がバレそうだ。


 逃げたい衝動を、どうにか堪えること、5分。安心したのか、おじさんはやっと離れた。


「それじゃあ、ルイーズ。また後で、仕事が終わってから会いに来るよ」


 そう言って、執事と一緒に部屋を出ていった。


 あのおじさん、悪い人ではなさそうだ。

 少し、ここに居ても良いのかもしれない。


 逃げるのを諦め、ベットへと戻る。


 なんで、こうなったのか。記憶を探り返してみる。

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