若い女性の正体
謝罪相手宅にいる女性について小西と佐鳥がネットなどで調べる、情報をまとめて結論を導き出す間に村崎は再び謝罪相手宅の周辺にいて新たな情報をそこで収集することにした。
村崎は家の前にずっといても本来の目的である代理謝罪に導いていくのに影響が生じてしまう。
そのため情報を得つつ、代理謝罪に影響が少ないようにするためにと考えたときに生活必需品等を購入するために少なくともどこかへ週に一度以上は出掛けていると考えられ、謝罪相手は思うように動くことができないということからあそこにいる女性がしているものと考えられる。ということはここから近いスーパーやコンビニに話を聞きに行けば何かしらわかるかもしれない、そう思った村崎は徒歩圏内のそういう場所をネットで検索した。検索結果は五件あった。
それぞれのお店ではその女性の特徴について述べて何か教えてくれないかということを聞いた。もちろん、職業的に話を聞くのはあまりないことで警察でもないので話させることすら強制力がなくて個人情報なので答えられないと言われればそれ以上踏み込むことができないのである。
一番目に行ったところでは沢山お客さんがいるので分からないと言われ、その次のところでは個人情報だと言われ、その他の二店舗でも同じようなことを言われた。
謝罪相手宅から最も遠いところに店を構える五番目に訪れたところでは有力な情報を得られた。
女性の特徴を言っただけでそれが誰のことか店員はおおよそ検討がついたようだった。
「ああ、地元の名士の須能さんのところのお嬢様ですか。」
薄い記憶の中ではあるが大きい敷地の中の塀のどこかに“須能”という文字を見たような気もする。依頼人との直接の話で相手はこの辺の地域の地主だという話や高校の時に他の人よりも裕福だったように思えるなどの情報があったことも事実である。こういったところから名士であった可能性も否定はできない。一か八かでそういうことにしておくことにした。
「はい、そうです。」
そうやって話を聞いていくと実際に村崎が感じたものと合致するものがいくつかあって地元の名士が謝罪相手なのだろうという考えに至った。
ここで得た情報をまとめるとあの若い女性は謝罪相手である須能さんのお孫さんで彼女のご両親は事故により亡くなってしまい、誰も見ない祖母の面倒を見ることになったということらしい。彼女はここに週に一度程度買い物に一人で訪れるらしい。
ここまでの情報だけで相当大きな有益なものを得られた。謝罪相手との関係が孫であるということと外出頻度とだけでこのあとの謝罪のためになることとなった。
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