謝罪に向けての一歩
家にいる若い女性が謝罪相手との家族関係があることが判明し、外出するタイミングをも分かった。
その外出頻度が分かったことにより謝罪相手のみしかいないときも分かることになる。
女性がいないときといるときとではどちらの方がインターフォンに反応してくれるのかについて正直確実なことは分からないけれども少しだけ謝罪相手しかいないときへの期待を村崎は抱いていた。
ここまでの考察を交えて分かったことを報告しようと佐鳥に電話を掛けて報告をした。
「謝罪相手のお宅にいた若い女性は孫であることが分かりました。それに加えて謝罪相手の家系というのが地元の名士らしいです。」
「お孫さんということは基本的には謝罪相手のお宅に住んでいるということで合ってるかしら。」
「はい、それに加えて生活必需品を購入するために外出する頻度の情報も手に入れることができました。」
「その情報をもとにいない時間に謝罪を試みるという理解で大丈夫?」
「僕はその方針で代理謝罪をしていこうかなと思ってます。」
「一度社長と話をするけど、多分それでいくってことにことになると思う。話が終わったらもう一回連絡する。それまで得られる限り情報を増やしておいて。」
「了解です。代理謝罪に向けて準備を進めておきます。」
村崎はさらに情報を集めるというような話を佐鳥としたものの、五つ行ったスーパーやコンビニの中でも最も謝罪相手宅から遠いところに位置しておりさらに五つ回った足で歩いてきたので疲れていて歩行速度が遅いなどから今から謝罪相手宅に向かっても三十分以上はかかるだろう。
村崎は一度謝罪相手宅の周辺まで戻って未だ聞いたことのない近所の人の須能家に関する話を聞いてみても面白い情報を手に入れられるのかもしれないと思い、三十分はかかる道を進み始めた。
その道中、村崎は本番が近付いてきている代理謝罪に向けて頭の中でどのような展開にするのかイメージを膨らませていた。
謝罪相手が一人になったときにインターフォンを押して出てくるであろう謝罪相手の案内の通りに失礼のないように玄関の辺りで状況を説明した上で謝罪をする、という一通りのイメージをした。
一通りの流れを考えてはみたけれども本当にこれで良いのかと少し不安になってきてしまうのである。
村崎にとって初めての代理謝罪であるためにどのようにするべきかまだ手探りの状態で謝罪に同行したことはあるもののいざ自分が、となると難しくなってしまうのである。
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