謝罪相手の調査
佐鳥は村崎からの連絡をもとに調査をすることとなった。謝罪相手宅で同居している人もしくは出入りしている人について、である。村崎から直接細かい話を聞いたというわけではないが、それを頼んできたときの言葉遣いから代理謝罪をする上で必要不可欠な事項なのであると解釈をすることができた。
この調査は佐鳥の一任で勝手にしようと思えばできることであるが、村崎の初めての代理謝罪をやらせると小西が決めたときから二人の間で村崎から連絡があったら報告することとルールを定めたのでまずは報告から入る。このルールを定めた小西の思惑を佐鳥は理解しており、小さいときから可愛がっている村崎の成長を楽しみにしているいわば親みたいな感覚なのだと納得することができるのだ。
小西のところへ行き、村崎から来たメールの内容を詳細に説明しこれから私はこの事について調査しますと完全に一方向からの会話となったが聞き手である小西はそれに対して何か言いたいことがないようでただ村崎の代理謝罪に対する取り組み姿勢をひしひしと感じていた。
佐鳥は報告が問題なく終了したので求められている謝罪相手宅の同居人及び出入りしている人について調査を開始した。
実際のところこの調査というのはそれほど容易なものではない。謝罪相手についての情報のデータベースはあるがそれは村崎自身が一読しているものなので書いてなかったということになる。データベースは依頼人の持っている情報をもとに作成しているもののため依頼人に聞いても空振りに終わることは明らかである。役所に行って戸籍を確認するという手立てもあるにはあるが同居人までは分かっても出入りしている人は到底分からない。ある意味家の前で張って出てきたときにその人を特定するというのが最も効果的かもしれない。この旨は軽く村崎の耳に入れておくこととする。
残されたものでできる手段は多分あと二つ、インターネットと身辺調査。それぞれにメリット・デメリットが存在する。身辺調査の方が確実性はインターネットと比べると高いが調査をされていることが先方に伝わる可能性がある。一方インターネットは情報が手に入るかどうかは分からないものの先方がこの事実を知ることはほぼない。すぐにどちらにするのか決めることは難しい。それぞれの特徴を精査して結論を導く必要がある。この二つのどちらかを始める前までに村崎から謝罪相手宅にいる人についての話が少しでも入ってくれば話は変わってくる。顔が分かれば調べることもそれほど困難ではない、というのが佐鳥の思うところでどこかに足掛かりをつければ調べることは容易いのである。
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