第2章-1 小鳥遊 凪
~翌日~
やっぱ学校って苦手だなぁ。中学まではよかったんだけど、授業中の運動部のうるささったらありゃしない。部活も中学でやめちゃって友達もいない。たまに会う中学時代の友達が神様のようだ。そんな憂鬱な毎日を繰り返して1年半、ようやく高校生活も折り返しに差し掛かった。一年間半の心の支えは、両親との会話と、いま私の目の前にいる登下校道途中の猫ちゃんだけだ。これから学校という監獄に何時間も縛られる。こんな生活もあと1年半の我慢だ。あぁ、それにしてもリュックが重い。気分も重い。
こんな朝から何をそんなはしゃぐ必要があるんだと思いながら、高校生の雑踏を通り抜けて、自分の教室である2年2組の教室へ入る。私の席は窓側の後ろから二番目、みんなは寝れるから羨ましいというが、授業はちゃんと受ける(家では絶対勉強しない)スタンスの私にとっては、なるべく前のほうが黒板が見やすくて好都合なのだ。でも前に行きたいなんて言い出すと目立ってしまうから言えない。そんなちょっとしたことにも勇気が出ないくらい私は陰キャを究めている。もはや天職なんじゃないか。気配を消す力に関しては私に敵う人はいないと思う。将来は忍者になろう。
ガラガラ...
「チャイムなってるぞ~おすわり~。あ~ねみぃ、号令はめんどいしいいや。んじゃ今から再来週締め切りの参観・懇談会の出欠の紙配るから回して~。」
私のクラスの担任はどの学年・クラスの人からも羨ましがられるほど、学校一の圧倒的緩さを誇る。朝礼・終礼の号令は、めんどくさいから、という意味で二年生になってから一度もしたことはない。一年の時の担任がきつかったのも相まって、まるで天国のような環境だ。騒がしい生徒は別として。
前から来たプリントを受け取り、自分の分を取り、後ろに回す。後ろの人に回すときは、なんとなく愛想がいいように見える(と個人的に思っている)ように、ちゃんと振り向いて渡す。後ろの女の子は私と似ていて静かな人で、いつもプリントを渡すと、ありがとう、と笑顔で言ってくれる。それを見たら私も自然と笑顔になってしまって、そのひと時が実はすごく好きだったりする。おしとやかで、見た目が可愛くて、お礼もちゃんと言える。女性の私から見ても惚れてしまいそうだ。でも、そんな見た目だからか、彼女はクラスの男子にナンパされがちだ。本人は嫌がってるようだから今日はされないといいんだけど。
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