光とオーラが合わさる時

「な……なんじゃい、こりゃあ!?」

 老人は自身の体の変化に、目を丸くしていた。

「どど、どうすればいいんじゃっ!?」

 余りにも軽はずみな行動によって生じた変化に、老人は今更ながらに後悔したようだ。

 救いを求めるかのように僕の肩を掴み、体を揺さぶってきた。

「な、なんじゃ、これはっ!?」

「さ、さぁ……」

 そう迫られても、僕だって知るはずがない。

 老人は放心状態になっていた。完全に魂が抜けたように呆然となる。

「ま、まぁ、害はなさそうですから」

 一応、フォローを入れてみたが、老人のショックは大きいようだ。真っ直ぐに立っていることも出来なくなり、よろけてしまっている。

 よろけた老人の肩が、五十嵐にぶつかった。

「おい、じいさん! 気を付け……」

──シュンッ!

 口を開いた五十嵐の言葉が、そこで止まる。


 五十嵐と老人──それぞれの体から発せられた白色の光と黒のオーラが強まる。光とオーラは、二人の体を優しく包み込んだ。

──そして、次の瞬間には、二人の姿はその場から消えてなくなっていた。


「……あら?」

 美紀子が目を丸くし、辺りを見回す。

「どこに行ったんだ!?」

 義史も驚いて、声を上げた。

 そんな二人とは違い、僕はすぐに状況が理解できた。ゴクリと唾を飲み込む。

──死神の能力だ。

 何かしらの死神の能力が働いて、五十嵐と老人は消滅させられてしまったのだろう──。

 原因となったものは何か──。

 考えていると、美紀子から「ねぇ、君」と声を掛けられた。

「はい?」

 美紀子が、僕を指差す。

「体から黒いものが出ているわよ」

 指摘を受け、僕はハッとなった。

 確かに、僕の体から黒色のオーラが発せられていた。小太りの男や老人と、同じものである。

「しまった!」

 こうなったのは、先程老人に肩を触られたのが原因であろう。

 小太りの男から老人にオーラが移ったのと同様、老人から触れられて知らぬ間にオーラを移されてしまった。


 大きな重荷を背負わされてしまい、僕は頭を抱えたのだった。

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