位置情報確認作業

 重荷がなくなり、僕らはいよいよ動き出すことにする。

 先ずは、僕自身の身を守ることも大事である。死神の襲撃に備えて、ひかりの体に憑依しながら進むことにする。

 ひかりを依代にして移動していれば、死神も簡単には手を出してはこれないはずだ。

──まぁ、あの狼はメイドに憑依していた僕に数字を刻んできたし、猪はメイドに憑依した僕を体の外へと弾き出した。

 生者に憑依しているからといって、今回ばかりは油断は禁物である。


 梅宮の現在位置を把握するのに一番手っ取り早い方法は、管理者室に行って索敵することである。

 以前にも行ったことがあるが、管理者室では屋敷全体の監視カメラの映像を見ることができる。それを使えば、梅宮の行方も簡単に見付けることができるだろう。

 既に一度入ったので、管理者室の扉の鍵は開いたままになっていた。

 扉を開けて管理者室に入った僕らはモニターを見詰め、梅宮の姿を捜した。


──南館、東館共にその姿はなし。

──北館一階の書斎に潜む梅宮の姿を発見。

──そんな梅宮の潜んだ部屋へと向かい、廊下を進む狼の姿が画面に捉えられる。


 更にモニターには、西館から北館へとのそのそと移動している猪の姿まで写っていた。

 北館に二体の死神が集結しようとしている。

──恐らく、北館は激戦区となるであろう。

「急ごう!」

 僕は叫んだ。

 急いで走れば、猪が北館に到着する前には梅宮のところに辿り着けるかもしれない。状況が悪くなる前に、梅宮を別の場所へと逃がしたいところだ。


 僕らは管理者室を飛び出して、北館に向かって廊下を走った。

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