モフの宿屋 1号店

 モフ村も大分村らしくなってきた、建物は基本木で建てられており、大工道具一式のおかげで凝った可愛い三角屋根の煙突がついた、人間には少々狭いくらいのメルヘンな家にほとんど変わっていた、モフ達の家が出来てきて街並みができつつあるとあとは居住区についてはそれをただただ増やしていけばいい



 となると次に作らなくてはならないものは



 本来なら女王の城を建てたいところだが、現状では女王は公には出ていない、だったらわざわざここに女王がいますよとアピール必要もない



 それよりも女王がいつでも逃げれるようにしておけばいい



 そして女王の城を建設するうってつけの場所はやっぱりこの神秘の泉の真ん中に建てたい



 となるとまず湖の真ん中を埋め立てて湖自体をその分少し広げて埋め立てた所に橋を架けないといけないんだけど、これからそれをやり始めてもすぐには作れない



 いくら労働力は今後増え続けるとは言ってもすぐには無理、まあだけど埋め立てと拡張工事は始めておこう



「ということで先に人間用の宿屋の建設から始めるコン!」










数日後


「おおお宿がもうできてるぜ、すごいなモフ村は」



 マッチョ商人がやってきて驚いている



「ついこの前来た時はなにもなかったのに」



 モフ達の労働力はやっぱりすごい、昼夜問わず働きつづけられる。まあ働きたくないモフも3割くらいいるけど



そんなのは別にほっといてもただ飯を食うわけもなくウロウロしているだけだから次のモフを生産してもらっていたほうがいいので放置だ



 現状女王はモフ達を生産し続け、なんと働きもののモフ達だけでも300を超えていた




「じゃあ今日はここに泊まらせてもらってもいいのか?」



「いいコン!やっと商人さんにちゃんと泊まってもらう所を提供できるコン」



「俺はぜんぜんいつものモフ達の家で良かったんだが、けどこうやって宿屋が出来てくると、だんだんと町ができているような感じだなあ」


 商人はしみじみという



「それもこれも商人さんのおかげだコン、さあ中を案内するコン」


 そうして宿屋の中に入る



 木造2階建ての宿屋で合計で10組の人を泊めることができる建物だ



 玄関から入ると受付にモフが2モフ待っていた



「いらっしゃいニャー」


「カギニャー」


 速攻カギを渡される、一般モフ達はシンプルな業務だけをするようにされているためである



「おっおう」


 そういって一瞬商人はいきなりのことに少し戸惑ったがすぐにカギを受け取った




「コンコン、 さあ部屋を案内するコン」


コン太はそんなやり取りを見て苦笑している


「おおお、なかなかしっかりした宿屋じゃねえか」




 そこには10畳くらいの広さに大きめのベットが2つと、上着などをかけるところなどがついていた、商人は今までいろいろな宿屋に泊ってきたが、そういった部屋と比べると中の下くらいのランクかと思う、だがここの宿の良い所はモフ達が掃除をルーティーンで行っているのであろう、とてもきれいな所だ、まあ新築ってのもあると思うが




「水回りは全部共用コン 小さいけどお風呂もあるコン」


「風呂もあるのか!それは贅沢だなあ」



「一人ずつしか入れないけど何時でも入れるコンお湯は24時間ずっとモフ達が火をつけて温めてるコン、水は人が入る度に替えて、掃除も定期的にやってるコン」



「すごいサービスだな、人間にはマネできねえなあ」



 マッチョ商人は素直にそう思った、食事が不要なモフ達の労働力はすごい、そして文句も言わず飽きずに黙々と仕事をこなす。まあ睡眠のような休憩が必要みたいだが



「マッチョ商人さんもお疲れだと思うから、どうぞお風呂に入ってコン」



「いいのか?案内の途中だろ?」



「別に大丈夫コン、コン太の仕事はこれからも商人さんと仲良くしていくことコン」



「がははは こちらこそよろしくな、じゃあ入ってくるぜ」



 そうしてマッチョ商人は風呂に入る準備をする



「ああああああ、生き返るーーーー」



 商人は湯船につかっていた、お風呂はいわゆる五右衛門風呂だ



「もうちっとだけ熱めにしてもらってもいいか?」


「ワンワンワン!」」



「ああああああああああああ、いい感じだあああああ、旅先で風呂に入れるのは最高だな」



 風呂に入る習慣があまり無い人でも、何日も野営のみをしてろくに体をふけないとなるとさっぱりと体の汚れを清めたくなるのは当然のこと、しかもいつでも好きな時に入れるとなると最高だった


「お背中流すにゃー」


「おっ悪いな助かるよ」



 背中をモフが流してくれる風呂専属のモフで体を洗うのを手伝ってくれた



 実際これが人ならあまりいい気はしないだろうがモフの前で裸になって風呂にはいるのにはまったく抵抗がなかった



「いやあ、いい湯だったよ、なんか貴族にでもなった気分だったよ」



「ふふふ喜んでくれて何よりコン」



「旅先で風呂に入れるってのはいいなあ、汚れが全部きれいになるってのはやっぱ気持ちいい」



「それは良かったコン!じゃあさっぱりしてもらった所で、ご飯にするコン」



「おっいいねえ、やっぱ風呂の後には飯だな」



 そういって2人は食堂へと移った


 食堂は机と椅子が5セットほどある程度だ、食堂では様々なモフが料理を作っている



 基本的にモフには1つのことをやらせるため、全て流れ作業で行われていた



 肉を焼くもの、焼けた肉をさらにのせるもの、さらに乗った肉に味付けしていくものなどなどで、多数のモフが働いていた



 そのため、食堂ではバイキング形式だ、これなら朝昼晩で別メニューにすることもなく、客も好きなものを食べられ、モフ達もルーティーンで仕事をすることができる



「おお、バイキング形式か、じゃあ俺は肉を多めによそって、いただきまーす」



 そう言って商人は食事を平らげていった



「どうコン?これがモフ達の宿コン」



「いやーすごくいいな、高級ってわけじゃあないんだが、なにからなにまですごく行き届いたサービスでさっきも言ったが貴族様にでもなった気分だったよ」



「良かったコン、何か間違ってたらと思ったけど商人さんにいろいろ教えてもらったおかげコン」



「俺は大したことしてねーがな、ただ人間社会のことを話しただけで、ここまでまとめあげるコン太がすごいんだよ。ところでこれだけサービスの行き届いた宿だ、モフ達の労働力があるといってもいろいろ経費もかかるだろう、1泊いくらでやっていくつもりだ?」


「ただコン」


「へ?」



「無料で提供するコン、もうちょっと詳しく話すと、商人さんみたいに物々交換してくれたりモフ村に良い情報をくれたり、技術指導してくれた人には無料で提供するコン」




「おいおいおいおいおいおいおいそりゃあ無欲すぎやせんか?お金の便利さは伝えたと思うが」




「お金の便利さは教えてもらったコン、だけどモフ達は今は物々交換で十分だと思っているコン、そして当分お金を活用する予定もないコン」




「はあ、分かってねえなあコン太は、よし!今日は俺が夜更けまでお金の便利さや凄さについて、お金の深―――い話をしてやるぜ」



 そうして商人による経済についての講義が始まった

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