第393話 邪神王の胎動
◇◇
<帝都王宮にて>
アニム王のところに使者が来ていた。
魔族の使いだという。
大広間で応対する。
アニム王の前にイシスと名乗るきれいな女の人がいた。
「アニム王、
イシスという女は丁寧に頭を下げる。
「いえ、こちらこそわざわざお越しいただき、ありがとうございます」
アニム王も席から立ち、イシスの方へとゆっくり歩いて行く。
「アニム王、確か邪神王の復活についてのお話があるということでしたが・・」
イシスはそう話を切り出した。
アニム王が来るであろう邪神王の復活に際して、各種族に伝達をしていたのだ。
・・・・
・・
かなりの時間対話していた。
「なるほど・・魔王はそれほど魔力を使われたのですね。 私の方でも転移する際には
アニム王の言葉にお互いがうなずく。
「とにかく、この度の戦争で、この星における邪神王の復活の時期が早まったことは間違いないでしょう。 聖属性の武具の制作をずっとさせておりますが、整い次第魔族国へも運ぶように指示いたします」
アニム王がイシスに言う。
「何から何までありがとうございます。 我ら魔族もきっと邪神王復活の時には力にならせていただきます。 では、急ぎ魔王様にお伝えいたします」
イシスは姿勢を正し、アニム王に挨拶をして王宮を後にする。
イシスを見送りつつアニム王は思う。
協力者を得られるのは心強い。
魔族が力を貸してくれるとなればなおさらだ。
精霊の国はどうだろう。
会話自体が怪しい。
海神の国は、魔族が調整してくれると言っていた。
魔導国シェルファ・・ここは放置しておくしかないだろう。
・・・
テツ、いったい何をしているのか。
早く帰ってきてもらいたいものだ。
念話もどうやら届かないらしい。
アニム王はそんなことを考えながら、大広間で椅子に座り天井を見つめていた。
◇◇
<帝都の街>
戦争のことなど近頃では話題にならなくなってきた。
皆、ダンジョンへ向かったり、外の街の未知なる冒険へと出向いたりと、いろんな冒険譚が話されるようになっていた。
連合国との戦争から半年が経過していた。
テツはまだ帰って来ていない。
テツたちの家族は日常を過ごしている。
颯のバーンがドラゴンに進化していた。
子供のドラゴンだが、連日騎士団の飛行部隊の連中に興味を持たれて颯も大変そうだ。
それに、子供のドラゴンだが、簡単な言葉なら会話できるようになっていた。
嫁には定期的にギルドからテツのギルが振り込まれている。
テツがいないのにどうしてかと不思議に思い、ギルドに行くとエレンさんが教えてくれたそうだ。
ギルドにはテツの功績によるお金が数えきれないくらいあるという。
それを定期的に、以前テツから指示されていたそうで、振り込まれているという。
嫁は少し驚いたようだがそれだけだ。
今日も日常が過ぎていく。
21時頃。
フレイアの家の呼び鈴が鳴る。
「はーい」
フレイアがドアを開けて出迎えた。
!!
フレイアは驚いて動けない。
身体が震えている。
「・・テ、テツ・・」
手を口に当てて、それだけを言葉にするとボロボロと涙を流していた。
ゆっくりとテツに近づいて、ギュッと抱きしめる。
「テツ、テツ! うわぁぁぁん・・テツ~!!」
フレイアは泣きじゃくっていた。
フレイアに抱かれたままテツの右手が動く。
フレイアに当て身をする。
トン!
フレイアが声を出すことなく、そのままテツの肩にもたれかかる。
そこにテツはいなかった。
「これがハイエルフですか。 何とも他愛いのない」
そうつぶやくとフレイアを支える。
あのウルダを倒したアサシンだった。
アサシンは思う。
ここまで来るのに冒険者として信用を得る必要があり、時間がかかりました。
それに時期ときが満ちようとしています。
これで仕事は完成ですね。
さて、宗主様に持ち帰りますか。
「おっと、丁寧に扱わなくて」
そうつぶやきながら、優しく丁寧にフレイアを
そして、そのまま静かに帝都から消えた。
◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます