第386話 戦後数日経過


◇◇


戦いから3日ほどが経過。

王宮の大広間。


アニム王が重鎮たちとこれからのことについて話をしていた。

ついでのことのように次の帝都ギルドマスターにトリノが任命されていた。

北米のギルドには、ゲートで移動してきていた住民の中でゲブという魔族が任命。

魔族ということは、アニム王とその近隣の人物しか知らない。

ゲブはトリノからの情報で聞いていた。

少し荒い気性だが、面倒見がよく周りの配慮も問題ない。

戦略眼もあり、今回の戦争も予見しておりそのおかげで対処もスムースに済んだそうだ。


次に、以前学校に入校させたデミヒューマンの学生。

デミヒューマン:有翼人がこの星にいるのにアニム王は驚いた。

かなりの時間、この星で暮らしているという。

アニム王の星ですら、数えれるほどの人数しか確認されていない。

雲をカムフラージュにして、ちょうどこの帝都のようなシステムを構築し、この星の上空を漂いながら暮らしているという。

基本、他の種族との交流はない。

過去にこの星の住人と接触することがあったようだが、それでも稀だ。

この星の物語などに天使が描かれているというが、彼らだろう。

アニム王がこの帝都を作ったことに興味を持ったのかもしれない。

デミヒューマンも、なぜ自分たちがこの星にいるのかもよくわからないようだ。

まぁ、それはいい。

彼らは、すべての物事に不干渉らしい。

だから今回の戦争も、邪神教団のもめごとにも干渉しないという。

都合の良いことだ。

ただ、情報を得たいようで学生としてデミヒューマンの子供を送り込んできたが、彼らに戦力は期待できない。


さて、戦後処理で敵対した相手に不都合な扱いがないように、徹底指導をギルドを通じて出している。

相手が素直に従ってくれればいいのだが。

相手の主要な位置ポストにいた人物以外は、アニム王国直轄ギルドに投降する者が多い。

ギルドのある街の発展に寄与していくそうだ。

降伏の意思は示したものの、それを素直に信じることはできない。

相手の国内などにギルドを設置して対処する方向で調整している。


「アリアンロッド、対等の関係を望む者たちには、そのままの自由を許してやりたい」

アニム王が言う。

「はい、そのように各ギルドに指示を出しております。 ただ、我々の背後を強襲されることのないように保険はかけておきたいと思います」

アリアンロッドが答える。

・・・・・

・・・

各ギルドと協力して、今回の敵勢力に対しての処置を協議していた。

最重要項目は、邪神教団の動向だ。

捕虜からの情報では何等有効な情報はない。

ただ、テツが調べに行った街に怪しい人物がいたということはわかっている。

だが、今はその所在すらわからない。

地球人と一緒の場所にいるのかと思えば、この戦争の中、忽然こつぜんと消えたようだ。

「そうか・・今後も邪神教団の動きだけは一層警戒してもらいたい」

アニム王がゆっくりとうなずきながら返答をする。

大広間で協議をしていた者たちは、指示をそれぞれ受け取りその場から去っていった。


「邪神教団・・いや、邪神王。 今度は完成体として現れるだろう」

アニム王は椅子に座り目を閉じる。

ゆっくりと上を向きながら考えていた。


<帝都の街>


戦争が終わり数日が経過。

ギルドの飛行船の発着場。

時間は9時30分頃。


戦争のことなどどこ吹く風で、いろんな人が行き交っていた。

飛行船の入口が開き、人が降りてくる。

独特の雰囲気をまとっている男が降りて来た。

左腕の袖がなびく。 

腕がないようだ。

「いいねぇ、ここが帝都かい」

男がそういうと、続いて女と男が降りて来る。

「ちょっとキョウジさん、もっと前に進んでくださる?」

女が言う。

「おっと、悪りぃなねえちゃん」

「・・何度も言ってますが、小野です」

小野と呼ばれた女が言う。

「まぁ小野さん、いいじゃありませんか」

優しそうな声で話す男が続いて降りて来た。

「しかしですね、泉さん。 この男はほんとに・・」

小野がそういうと、キョウジがニヤッとして言う。

「ねえちゃん、あんたは射程外だから気にすんなよ」

「な、なんですって、射程外?」

小野がキッとなって言い返そうとすると、キョウジが笑っていた。

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