第353話 先行部隊に追いついた


<アニム王国side>


騎士団の一人がそういうと、近寄って来て説明してくれる。

相手の戦闘機とワイバーンの飛行性能はそれほど変わらない。

そして、聞いていた情報と違う。

使われている魔核はレベル23程度なのはわかる。

だが、攻撃力が違うという。

聞いていたよりも遥かにレベルが高い攻撃がくる。

戦闘機から打ち出される弾。

ワイバーンを打ち抜くほどではないが、集中して撃たれると傷つき羽などがもがれるようだ。

そして、奥の方から近づいて来る大きな戦艦。

艦載砲から発射される砲撃も、直撃すればワイバーンも揺らぎ下手をすると一撃で墜落したりもする。

こちらからの魔法攻撃も、当たれば相手の戦闘機も落ちる。

だが、なかなか当たらない。

ミサイルのようなものまで飛んでくる。

どうやらすべての攻撃に魔法を付与しているようだ。

事前情報と現場との情報修正で、出す指示が後手後手に回っている感じだった。


◇◇

<連合国side>


連合国の戦艦内では明るい声が飛んでいた。

「これは凄いですな。 あなた方が調整してくださったおかげで、攻撃力がものすごく上がっているようです」

艦橋で気分が高揚している男たちがいた。

戦艦の艦長は司令席に座り、冷静に戦況をみている。


異世界人だろう人がニヤッとしながらもうなずいていた。

「いえいえ、我々はほんの少し魔法を付与しただけですよ」

遠くで爆発光が見える。

たまに戦闘機も被弾したりしているが、相手の魔物も落下したりしている。

どうやらこちらが押しているような感じだ。


「このまま押し切っていけそうですかな、艦長」

明らかに楽観的な発言をしている。

艦長はその発言者をジッと見て言う。

「まだ戦闘は始まったばかりです。 どうなるかわかりません」

それだけ言うとまた外を見つめていた。


異世界人も外を見ている。

その周りにこちら側の責任者が3名ほど搭乗している。

どの戦艦にも同じような感じで配置されていた。

連合国家からこの地域に派遣された戦力は、空母型艦艇2隻。

戦艦20隻。

相当な戦力だ。

空母には戦車や装甲車が格納されていて、既に地上へと降下していた。


艦長も戦況を見つつ、悩んでいた。

こんな空飛ぶ艦隊を指揮するのは初めてだ。

海の上でもそうだが、立体的な戦術が必要になる。

今まででも潜水艦や魚雷、航空機などに気を付ける必要があった。

だが今は魔法などというものがある。

それに、人の武技などでも見たことがある。

戦車を平気で吹き飛ばしたりしている奴等がいた。

どうやって戦術スタイルを組めばいいんだ。

とにかく、持てる火力を集中して相手の戦力を削っていく。

そう考えていた。

それにしても、あの行政官の連中は見えているところでしか判断していないのだろうな。

艦長はそんなことを思いつつ、状況を注視する。


◇◇

<アニムside>


この部隊を指揮していたのは、帝都騎士団スバーハ:レベル33という人物だ。

俺とは特に面識があるわけではない。

いろいろ忙しそうに指示をしていた。

「地上にも敵戦力が集まってきているぞ。 右翼が少し弱い・・」

ホログラム映像と現場を見つつ声を出している。


俺たちが近づいたのに気づいたようだ。

「これはテツ殿ではありませんか、それにフレイア殿も。 よろしくお願いします」

挨拶もよろしく、周りに指示を飛ばす。

俺たちのことは知っているようだ。


「申し訳ありません。 ちょうど今が山場のようでして・・」

そう言いながらも、落ち着いている感じがする。

そして、俺の近くに寄って来て耳打ちする。

「どうやら我々は補給部隊の役割のようです。 ミラン殿とこの地点で合流する予定なのですが・・」

そういって、マップを見せてくれた。

俺はそれを見つつ、そこまでしっかりと戦略が組まれているのだなと感心。

指揮官を見つつ、迫って来る敵を見る。

スバーハは落ち着いて指示を出す。

「まぁ、防御壁が破られるようなことはないと思いますが、このままではわかりませんね」

前を向いてつぶやく。

「スバーハ隊長、俺たちも前に出て戦った方がいいでしょうか?」

俺はそう聞いてみた。

「・・そうですね。 お願いしたいところですが、まだ前線の状況がよくわからんのです。 このマップに疑似表示していますが、この戦艦が邪魔でして・・」


戦士一人一人がマップに表示されている。

敵の戦力も一応表示されている。

こちらの戦士はライセンスカードなどの情報から、正確に位置などがわかるようだ。

それを元に戦術を適宜変更している。

見ていると、どうも俺たちから見て右翼、右側が押されているようだ。

地上部隊は魔物を操っている部隊が対処しているという。

バジリスクなどの魔物を使役して戦っているようだ。

・・あの魔物、テイムできたんだ。

俺はその方が驚いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る