第347話 この女のグループ、見たことない連中だが
しばらくザワザワしているが、会議らしい会議は始まりそうにない。
人の出入りは結構ある。
むしろ増えてきている。
ん?
あの女のグループは昨日もいたな。
俺は見たことなかったが、誰だ?
その女のグループはアニム王の近くで集まっていて、全員で飲み物を飲みながら軽く食事をしていた。
ドワーフの連中も来ているな。
騎士団もいる。
そんなザワザワした時間がしばらく流れ、9時頃になっただろうか。
アニム王の周りの人たちがアニム王から離れる。
アニム王は、一度場を見渡して声を出す。
「みんな、わざわざ集まってくれてありがとう。 午後1時に使者が来る予定だが、まだ時間はある。 こちら側の回答は変わっていない。 対等な交流なら大歓迎だ。 ただそれだけだ」
アニム王はそういうと続ける。
「まぁ、相手の出方次第だね。 それまで、軽くみんなで食事でもしながら自由に思ったことを発言してくれたまえ」
そういうと飲み物を飲んでいた。
・・・・・
・・・
ザワザワしながら、笑い声が飛び交っていた。
俺も軽く食べ物をつまみながら、壁に背中をあてて場を観察。
気が付くと、フレイアなどもやってきていた。
アニム王に挨拶すると、アニム王の重鎮に囲まれている。
人気者だなフレイア。
そんなことを思いながら時間が過ぎていく。
少しして、俺の視界に入って来る女の人がいた。
今まで見たことなかったあの女のグループだ。
一人の上品そうな女の人に付き従って、5人の女の人が一緒に歩いてきた。
「こんにちは」
先頭の女の人が軽く身体をかがめて俺に挨拶をする。
俺も壁から背を離し女の人に向き合う。
「あ、こんにちは」
俺も答える。
「あなた、テツ様という方でいらっしゃいますか?」
女の人が聞いてくる。
なんだ?
この変なしゃべり方は・・俺はそう思いつつもうなずいた。
「おっと、これは失礼しました。
そういうとにっこりと微笑む。
怖い笑顔だな。
俺はそう思いつつも返答。
「よろしくお願いします」
「いきなり声をかけたので、驚かれたかもしれませんわね。 実は、ルナ様からあなたがこの星の方にしてはとても素晴らしい方だと、伺っておりましたので・・」
レアという女の子はいう。
俺はその言葉を聞き流していたが、どうして俺がそうだとわかったんだ?
俺がそう思っていると、横から声がした。
「レレ、テツが困っているではないか」
ルナだ。
それにレレって?
その手にはチーズケーキを持っていた。
フレイアにもらったな。
俺はすぐにそう判断。
「・・ルナ様、レレではございません。 レア・レイドルドですわ。 それよりもテツ様、少し不思議な感じがしますわね」
レアがそういう。
レアの後ろにいる5人組、さっきからジッと俺を見ている。
完全に上から下まで品定めの目だ。
陳列された商品になった気分だよ。
あの桃色の髪の女の子、とてもおとなしくてかわいい気がする。
赤い手袋をはめた小さな女の子もかわいいな。
う~ん・・どの子も美人なのは間違いない・・しかし、その目線、痛いですよ!
「ギルティ!」
全員がその声の方を向く。
俺もドキッとした。
ココだ。
ココは何でもない顔で、テーブルの方へ向かって歩いて行った。
あのガキャァ!!
心の声です、はい。
「レレよ、前にも言ったがテツに余計な手出しをするなよ」
ルナがチーズケーキを食べながら言う。
「ルナ様、そんなことは致しませんわ。 ただ、どういったお方なのか声をかけてみただけですわ」
レアがそういうと、背中に大剣を背負った女の人が出てきて俺に握手を求める。
「初めまして、私たちはレア様のロイヤルガードです。 以後お見知りおきを」
そういうと、俺の手をギュッと握りしめる。
結構力あるな。
!!
俺がそう思った瞬間、手首をひねられた。
かなりの力だ。
その力に対抗しようとしたが、結構な力がいると判断。
瞬間、その力に逆らわずに俺はその場でゴロンと身体を1回転させて片膝をついた。
俺はそれほど強くはない。
だが、昔から力の流し方、受け方は上手かったように思う。
ルナが一瞬殺気立つ。
「レア!」
すぐにアウラが手を離し、ルナの前に片膝をつき下を向いていた。
「ルナ様、テツ様、申し訳ありません。 悪ふざけが過ぎました。 お許しください」
アウラがそういうと、レアが俺の方へ近寄って片手を差し出し、スッと引き起こしてくれた。
「テツ様、どこかお身体を痛めてはおられませんか?」
レアが言う。
「い、いえ、大丈夫です。 驚きはしましたが・・」
俺は苦笑いしかできなかった。
「本当に申し訳ありません。 これから一大事が起ころうという時です。 アウラに試すように指示しておりました」
レアが素直に謝意を示す。
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