第345話 みんな落ち着いているよなぁ
俺もかなり落ち着いてきた。
「アニム王・・今の私の考えですが、何も遠慮することはないと思います。 対等の条件を相手が
アニム王が笑いながら俺を見る。
「フフ・・テツは即断だね。 まぁ、また明日に最後の答えをまとめるし、使者も午後に来る予定だ。 今日は解散しよう」
そういうと、ゆっくりと歩いて行く。
アニム王の背中が疲れている感じがしたが、気のせいではないだろう。
ギルマスも俺に挨拶をして、エレンさんと一緒にギルドへ帰っていく。
俺も王宮を後にして、とりあえず自分の家に向かった。
家に到着し中へ入る。
時間は13時30分。
とりあえずコーヒーを
軽く目を閉じ考えてみた。
・・
戦争になるのだろうか?
戦うとしたらどうなる。
見知った顔とかとは戦いたくない。
まぁ、俺の知る範囲も知れているが、ほとんどはこの王国に属しているだろう。
どうして、今の状況で満足しようとしないのか。
確かに地球のシステムは激変しただろう。
だが、不便かと言われれば逆だ。
魔法やレベルなんてものがある。
素晴しいじゃないか。
そんな余計な力を持ったから欲が出たのか?
しかし、今までの社会システムで戦争を経験した連中は俺も含めていないだろう。
諸外国は違うが。
欲は身を亡ぼす。
あのシュナイダーのおやじなんて、完全に自分のルールを作ろうとしていた。
そんな連中は滅んでもいい。
俺の答えは決まっている。
アニム王の側での存続だ。
明日には最終決定をするという。
俺もその場所に居ていいのだろうか。
そんなことを考えていた。
時間は15時を過ぎ。
冷たくなったコーヒーを飲み干して、魔法できれいにする。
一応、みんなには知らせておくか。
そう思い、まずはばあちゃんの家に向かう。
ばあちゃんの家の前に来た。
呼び鈴を押す。
「はーい」
すぐに返事があり入り口が開けられた。
「おや、テツ。 どうしたんだい?」
俺は中に入らずに、玄関で要件だけを伝えた。
戦争が起こりそうだということと、どうするのかということなど。
・・・・
「そうだねぇ、王宮の方でもそんな話はしてたね。 わたしとしては変わらないよ。 今までの日常を過ごすだけだね」
「え?」
ばあちゃんはそう答え、続ける。
「こんな老人ができるのは日常を維持することだけだよ」
俺には言葉がない。
達観しているというか、落ち着いているというか。
でも、実際にはそれしかないだろうな。
「そうか・・ばあちゃん、ありがとう」
俺はばあちゃんにお礼を言って、立ち去ろうとする。
背中越しにばあちゃんの声が聞こえた。
「テツ、自分の答えに自信を持ちなよ!」
俺は背中で声を聞き片手を挙げる。
そのまま嫁たちに家に向かう。
時間は16時前だ。
嫁たちも家にいるようだ。
呼び鈴を押す。
「はーい」
凛の声だ。
ドアが開いて、凛がにっこりと出迎えてくれた。
「あ、パパ! おかえり~」
「ママはいる?」
俺がそう聞くと、凛が大きくうなずいて一緒に中へ入って行った。
!!
おぉ、ありえねぇ。
嫁がこんな時間に夕食の準備をしている。
衝撃だ!
こりゃ、戦争間違いないな。
そんなことが頭に浮かんだ。
「どうしたの、パパ?」
嫁が食事の準備をしながら聞いて来る。
「うん。 もう知っているかもしれないけど、どうやら戦争になりそうなんだ」
俺がそういうと、嫁が落ち着いて答える。
「あれ? まだ戦争になるかどうかわからないって、学校でも言ってたけど・・」
「あ、ごめん。 俺の早とちりだ。 そう、まだ戦争かどうかわからない。 だが、なった時にどうするのかと思って聞きにきた」
「う~ん・・私にはよくわからないわ。 なるようにしかならないし、この環境を守るくらいには戦うわよ」
嫁・・お前強いな。
「そうか・・ならいいんだ」
俺にはそう答えるしかできない。
よし!
俺は立ち上がり、凛を抱き上げギュッとしてから降ろした。
「了解。 みんなしっかりしてるんだな」
俺はそう言うと嫁の家を後にする。
颯は寝ているようだ。
この調子じゃ、優もレイアも同じような考えだろうな。
後はフレイアだが、とりあえず行ってみよう。
フレイアのカフェの前に到着。
カラン、カランと音とともに扉を開き、中に入って行った。
「・・いらっしゃいませ」
あれ、元気な声じゃないな。
時間は17時前だ。
「あ、テツ・・」
フレイアがこちらを向いて言う。
少し疲れている感じだ。
「どうしたんだ、疲れているのか?」
俺はそう言いながらカウンターへ向かう。
この時間、カフェはもう終わっている。
確か16時くらいまでの営業だったと思う。
「うん・・テツはどうなると思う?」
フレイアが聞いてくる。
当然、アニム王国と外の世界のことだ。
「う~ん・・おそらく戦争になると思うよ」
俺も思いつくままに応える。
「そうよねぇ、そうなるわよね。 どうして対等の付き合いができないんだろうね?」
フレイアはつぶやく。
俺は言葉がでない。
「フレイア・・どのみち、明日になれば決まるよ」
「テツは・・地球の人の側で戦うの?」
俺は驚いた。
「ま、まさか! あんな旧世界、ありえねぇ・・」
フレイアがクスッと笑う。
「そうね、何にしても明日には決まるわね」
フレイアと一緒に俺もうなずいた。
「フレイア、久々にラピット亭に行って食べない?」
俺の提案にフレイアも同意。
・・・・
俺達はいつもの定番、今日のお勧めを食べ明日のことなどを軽く話して帰って来た。
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