第344話 大広間にて
また、アリアの聞いたところでは、アニム王は丁寧に対応し対等の関係なら喜んでお受けすると返答。
リストバンドの使者たちは、3日後にまた訪れてきちんとした回答をもらうと言って帰っていったそうだ。
・・・・
・・
「なるほど・・」
俺はそうつぶやくと少し考えていた。
だが、アリアの次の一言で考えるのをやめた。
「テツ様、その3日後が明日なのです」
俺はその言葉を聞くと、アリアの顔を思いっきり見つめた。
・・・・
しばらく見つめると、シルビアの振込をお願いしてそのまま王宮へ向かう。
どうして、今まで俺に言ってくれなかったんだ?
まぁ、言ったところでどうしようもないだろうけど・・アニム王、苦しんだだろうな。
アニム王国はみんないい人たちばかりだ。
そりゃ、変なのはどこにでもいる。
あのエスペラント国の異世界人はタイプが全く違う人たちだ。
・・・・・
そんなことを考えながら移動していた。
王宮に到着。
係の人にアニム王に会えるかどうか聞いてみた。
ここで待っていてくれという。
いつもなら、中へすぐに案内してくれるのに。
それだけ警戒しているってことか。
少しして係の人が戻って来た。
「テツ様、どうぞこちらへ」
係の人の後をついて行く。
どうやら大広間に集まっているようだ。
広間に到着し、係の人が軽く会釈をして退出していく。
!!
驚いた。
大勢集まっている。
アニム王が玉座に座り、その周りには重鎮だろう人がかなりいる。
また、両側の壁に広がる感じで、アニム王から右側にギルマス、エレンさん、騎士団長以下隊長クラスがいる。
ルナさん、ウルダさんも並んでいた。
反対側には見たことない女の子が6人並んでいる。
後はわからないが、ギルド関連の人達か・・ええぃ、どうでもいい。
とにかくアニム王のところへ行かなきゃ。
俺がそう思って歩こうとすると、一人の若い人物が前に立ちはだかる。
すぐにアニム王から声が飛ぶ。
「よい、アリアンロッド」
その声を聞くと、スッと通路を開けた。
俺はゆっくりとアニム王の前に向かって歩いて行く。
自分でも何をしているのかわからない。
ただ、何も考えずにトボトボと歩いていく。
玉座に足がかかろうとした時だ。
「そこまでです」
優しい声が聞こえ、先ほどのアリアンロッドと呼ばれた青年が俺の肩に手を置いた。
俺はそのままその場で立ち止まる。
「テツ、大変なことになったよ」
アニム王は苦笑しながら言う。
「明日には回答を用意しなければいけない。 そのことを話していたのだよ。 君にも最後には聞くつもりだったのだがね」
よく透る声が響いていた。
「さて、また明日、最後の判断をしよう。 皆、ご苦労様でした」
アニム王がそういうと皆が姿勢を正し、それぞれに挨拶をして大広間を出て行った。
俺は場違い感を感じつつ、その場でたたずんでいる。
ルナが近寄って来て俺の肩に軽く触れる。
「テツ、シルビアの件、礼を言う」
そういうとそのまま出て行く。
しばらくして、残ったのはアニム王、ギルマス、エレンさんだけだった。
アニム王もいつもの雰囲気を感じさせる。
「テツ、すまなかった。 アリアンロッドは私の政務官付をしている者だ。 護衛も兼ねているので、失礼なことをしてしまったね」
「え? い、いえ・・ただ、今の状況がどうなっているのか、私にはわかりませんので・・」
俺は何を言っていいのかわからなかった。
ギルマスが話しかけてくる。
「テツ君、ギルドに立ち寄ってみたかね?」
俺はうなずき、アリアに少し聞いたことを伝える。
アニム王とギルマスがうなずくと、ギルマスが話してくれた。
地球人の連合国家と反アニム国の転移者が、どうも手を結んでいるという。
連合国家は自分達の意思で結束してると思っているようだが、転移者にうまく当て馬にされているような感じもするという。
返答自体はすでに決まっている。
対等の関係以外にはないということだ。
ただ、その後どうなるか。
衝突するにしても、転移者ならどうとでも対処できる。
だが、この星の住人は利用されているだけかもしれない。
だからといって、手加減をすればこちらがやられる。
そういったことをいろいろ話合っていたようだ。
洗脳などなら解除しなければいけないだろうし、そうでなかったとしたら、どこまで戦うのか。
その線引きがあいまいなままだ。
後、気がかりな情報も手に入れているという。
邪神教団の連中や暗殺者の存在だ。
教団の連中はともかく、暗殺者はどこにいるのかわからないが、確実にいる。
それもかなりレベルの高い
ほとんどが組織に属さず、フリーランスで活動しているらしい。
ただ、それもよくわからない。
前の世界でも、高レベルの3人の存在は確認されていたそうだ。
その中の1人はギルマスが倒したという。
凄いな。
「凄まじく強く、恐ろしかったよ」
ギルマスがつぶやいていた。
・・・・
・・
時間は13時前。
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