第339話 帝都学校のシステムって、本当によくできてるな
次の階層へ行く入り口を降りていく。
32~38階層辺りにはそれほどレベルの高い魔物は出なかったはずだ。
シルビアがメインで魔物を討伐し、俺が補助する形で進む。
35階層に来たときだ。
ジャイアント:レベル33がいた。
シルビアもレベル33になっていたので、何とかなるだろう。
このエリアになってくると、他の冒険者などとも出会わなくなる。
安心して戦える。
ジャイアントは石などを投げてくる。
それだけだ。
力任せに投げてくるだけで、サイクロプスみたいに鉄球は持っていない。
楽といえば楽だがレベルがあってこそだろう。
シルビアはやはり10本くらい、魔力のこもった矢を放つとしんどそうだ。
魔力量ではなく数が問題なのかもしれない。
シルビアって、こんなに頑張り屋さんだったんだと俺は思ってみていた。
時間は13時前。
「シルビア、一度地上へ戻ってまた明日ここから行けばいいんじゃない?」
俺はそう提案。
あまり無理に進んでもしんどいだけだ。
ゆっくり少しずつ進めばいいだろう。
シルビアは少し考えていたようだが、同意してくれた。
「そうだな。 今日はこれくらいでいいだろう」
俺達は次の36階層をカウントさせて帰路につく。
帰りは全く問題ない。
俺達は地上へ到着すると、フレイアのカフェに向かう。
カフェの入口を開けて中へ入って行く。
「いらっしゃいませ~」
フレイアの声だ。
ん?
誰だ、あの子。
颯くらいの女の子が手伝っている。
一生懸命に食器を片づけたり、カップを運んだりしている。
ルナさんは・・いないな。
シルビアもそれを確認すると俺に話しかけてくる。
「テツ、ルナ様はおられないようだな。 また明日、よろしく頼む」
「あ、あぁ、了解。 また明日の朝、同じような時間にここでな」
俺はシルビアにそういうと、カウンターへ向かった。
席は空いているので勝手に座らせてもらう。
「テツ、ごめんね。 お昼は結構忙しいのよ」
フレイアがそういいながら、テキパキと仕事をしていた。
ハーブティがメインみたいだ。
「ランちゃん、これもお願いします」
「はい!」
女の子が早足でフレイアのところへ行く。
そのままハーブティを運んでいる。
俺の後ろの席に持って行ったようだ。
「どうぞ」
そういうと、横の食器を片づけていく。
俺の後ろの客の会話が聞こえる。
「・・この体調を整えるハーブティだけど、戦闘力が上がる感じがするんだ。 実際、少し力が強くなったような気がするんだ」
「そうだろ? 俺も初めて飲んだ時に身体の傷が治ったんだぜ・・」
そんな会話をしていた。
俺はそんなことよりも、お手伝いしている女の子が気になった。
・・・・
・・
しばらくすると、忙しさも落ち着いて来たようだ。
「ランちゃん、ありがとう。 休憩してね」
「はい、わかりました」
女の子はそういうと、エプロンを外してキッチンへと行った。
「テツ、お帰り。 シルビアはどうだったの?」
フレイアが聞いてくる。
「うん、少しレベルが上がったよ。 明日もこんな感じで行こうかと思っている」
「ふぅん、そうなんだ」
フレイアが横に来て、チーズケーキを食べながら言う。
「フレイア、あの女の子って誰?」
俺は気になっていたので聞いてみる。
「あぁ、ランちゃんね。 学校の生徒よ」
「学校の生徒?」
「そう。 生徒は午前中は勉強をして、午後の授業がない時には帝都のいろんな職場へと行って手伝うの。 給料というか、お小遣いも帝都から出るわよ」
「へぇ、そうなんだ・・」
聞けば、帝都の学生システムみたいだ。
いろんな職場体験が出来て、人手不足も解消させる目論見らしい。
それでいて、事業者は給料は支払わなくていい。
帝都からお小遣い程度のギルが、それぞれに振り込まれるという。
また、1~3か月ごとに更新していろんな職場を体験する。
そのまま就職する場合もあるという。
人手不足のところは大助かりだそうだ。
・・・・
・・
なるほど。
どことも人がいれば助かるよな。
お金もかからないし。
「まぁ、このカフェ気に入ってくれればいいのだけれどね」
フレイアがチーズケーキをほおばりながら言う。
それで2個目だぞ。
俺も残りのハーブティをいただいて、席を立つ。
「そっか。 フレイアも頑張っているんだな」
俺はそう言ってカフェを後にする。
さて、ガルムのおやじのところへ行って、魔石を売っておこう。
魔石を売り、そのまま俺はギルドへ向かった。
ガルムのおやじは、魔石をドワーフ国にも送ったりしているらしい。
ドワーフ国も聖属性の武器の依頼が多いそうだ。
時間は14時。
ギルドへ入って行く。
相変わらず
手首にリストバンドをしている奴等をよく見るようになった。
そう思いながら受付に行く。
アリアだ。
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