第316話 街を発見したものの
俺たちは魔導国方向へ一直線に移動している。
その方向に行けば調査対象の街があるはずだ。
途中、魔物が出るがレベル的には20を超える程度。
軽く瞬殺すると、ココの表情が少し硬くなる。
まぁ、そんな反応は無視してゆっくりとココに合わせて移動していく。
昔の世界地図でいえば、ドワーフ国がヒマラヤ山系のところだ。
それから北西方面。
ロシアとドイツなどの国境があった辺りだろうか?
しばらく移動していくとかなり長い壁が見えてきた。
万里の長城か?
まさかな、俺ってそんな方向音痴でもないだろう。
城壁の端の方は
城壁の近くまで来た。
かなりの高さだ。
電柱など問題にならない高さだな。
もしかすると、送電線の鉄塔よりも高いんじゃないか?
ジャンプすれば飛び越えられるだろうが、侵入者として扱われるよな。
そんなことを思いながら、壁に沿って移動してみる。
・・・・
・・
結構長いぞ。
今までで一番長いんじゃないか?
魔導国なんだろうか・・それじゃ、街はどこへ行ったのだろう?
そんなことを思いながら歩く。
まだ壁に沿って歩いている。
・・・・
・・
小さな入り口らしきところを見つけた。
人が出入りできる程度の入口だ。
扉が閉じられている。
頑丈そうな扉だ。
!
そうだ、街に入る前にココとパーティを組んでおこう。
何かあった時にいろいろ便利だしな。
「ココ、俺とパーティを組んでくれないかな?」
俺は壁を見ながらココに言ってみた。
ココは黙って俺を見ている。
「・・テツ、なんで私とパーティを組もうと思ったの?」
こいつ、面倒なやつだな!
俺はそう思ったが、まぁいい。
「いや、何かの時に役立つと思ったから・・」
ココは俺を凝視している。
・・・
何で俺が緊張しなきゃいけないんだ?
息苦しいぞ。
「まぁ、いいわ」
ココはそう答えると、パーティを組んでくれた。
まさかパーティを組むのにこんなに疲れるなんて・・もう帰ろうかな。
俺たちは扉の前に来てノックしてみた。
手で持ってドアをノックするものがついている。
呼び鈴ではなく、誰かの家に行ったときにこんなライオンの顔のノックするものがあったなと、考えていた。
しばらくすると、カシャッと目の高さの細い
中からこちらを見る。
「何か用か?」
男の声で聞かれる。
「私はアニム王国の冒険者なんですが、たまたまこの街を見つけたので、立ち寄ってみたのですが・・」
俺はとりあえずそう言ってみる。
「少し待ってろ」
男の声でそう言われる。
・・・・
・・・
しばらく待たされる。
横柄な対応だな・・そんなことを考えながら扉の前で待っていた。
覗き窓がまた開いて俺たちを確認。
「入っていいぞ」
男の声でそう言われると、扉がゆっくりと開く。
重そうな扉だな。
俺はそう思いながら中へ入れてもらった。
俺たちが入るとすぐに扉を閉じていた。
俺たちの前に5人の男と、女が2人いる。
「お前たちが冒険者か?」
男の中の一人、俺よりも年配者だろう、スラッとしたおっさんが聞いてきた。
「はい」
俺はそう返事をしてうなずくと相手もうなずく。
「アニム王国とかいうところの住人のようだが、間違いないか?」
俺はもう一度うなずく。
完全に上から目線だな。
「そうか・・」
男はそういうと横の男に顔を向けた。
ややぽっちゃり系の脂ぎったおっさんだ。
その男が言う。
「私は以前アニム王国の隣国にいたものですが、ライセンスカードか何かをお持ちですか?」
俺は服の内側からカードを取り出すふりをする。
実はアイテムボックスから取り出すのだが、まさか初見で見せるわけにもいかないだろう。
カードを見せた。
カード・・臭くならないだろうな。
こんなおっさんに
男が見ていると、周りの男たちも集まって来て見ていた。
「なるほど・・」
「これがライセンスカードか・・」
・・・・
・・
いろいろ話しあっている。
男がライセンスカードを返してきた。
「すみませんね。 確認をしたかったものですから・・」
そういうと少し顔の緊張が緩んだようだ。
「で、この街へはどのようなご用件で?」
男が聞いてくる。
「移動途中に見つけたもので、たまたま立ち寄ったのですが・・」
俺がそういうと、信用してなさそうな顔をしながら俺たちを見る。
「そうですか・・この街は基本、地球の人たちが集まってできた街です。 我々異世界人が魔法の知識や力を提供して、街づくりに協力しているのです」
男はそう説明し、周りの男たちと一緒に話出した。
・・・・・・
・・・・
聞けば、かなりの地球人が魔物に襲われて逃げてきていたそうだ。
集団を作りつつ、初めは魔法などというものはわからなかったという。
軍隊が出動して魔物の対処をしていたが、そのうち近代兵器では対処しきれなくなってきた。
銃なども役に立たない。
一部の人間が魔法らしきものがあるというのに気づき、レベルが存在するということもわかってきたらしい。
逃げつつ、小さな集落を作り人を集めたりしていた。
そうしているうちに異世界人が転移してきたという。
話をしてみると、魔法の使い方などを教えてくれたり、どうにか魔物に対処できるようになったきたそうだ。
そして、街を作って流れてくる人を集めたりしていた。
その繰り返しで街がどんどんと大きくなってきたそうだ。
異世界人の中にはアニム王国の人たちもいたが、どうも折り合いが合わない。
その人たちは、出て行ったそうだ。
この街の異世界人達も、アニム王国のように光の神を一応は信仰するが、それはすべての神の象徴だからだ。
その恩恵は受けつつも、王国のやり方とは違う社会システムで行っているという。
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