第283話 シルバーも良好のようだ



ギルドを出て寄り道をせずに帰ろうかと思ったが、ダンジョンへ向かった。

というのは、銃の試し撃ちを1度もしていない。

いきなり本番というのはやめたいし、試すときには誰にも見られたくない。

ダンジョンが一番いい。


ダンジョンに到着し入り口を通過。

ライセンスカードで階層をパパパと見ていく。

確か43階層までカウントさせていたはずだが。

そう思ってカウントを見ると43で止まった。

そのまま階段を降りていく。

階段を降りていくと43階層のフロアに出た。

階段を降りる途中に他の人がいても、飛ばされる階層は間違わないようなシステムになっているようだ。


さて、43階層。

草原のような空間だ。

太陽もないのに青空が広がっている。

きれいな空間だ。

さて、注意して索敵をしてみる。

・・・

ピピピ・・魔物の反応がある。

それほどの高レベルの魔物は近くにはいないようだ。

ゆっくりと移動している。

人の反応はないな。


銃をぶっ放して、ヤバい感じならすぐに引き返そうと考えていた。

そう思って俺は入り口付近に位置している。

銃、シルバーを取り出して見てみる。

赤いタグが付いたままになっていた。

確かファイアーボールだったよな。

俺はシルバーを見ながら思ってみる。

周りに人もいないので遠慮なくできる。

そう思うと狙いなど考えずに銃を構えた。

引き金を引く。 

カチッと軽く引けた。

銃口からは赤い小さな光が飛んで行って、すぐに見えなくなった。

少しすると、やや離れたところで白い光がパッと光ったかと思うと、炎の柱が立ちのぼっていた。

すぐに轟音が聞こえてくる。


ドゴォーーーーーン!!!!

音の後に生暖かい強い風が吹いてきた。

なるほど、ファイアーボール程度なら地形も変形せずにまぁまぁの範囲を攻撃できるな。

さて、次は・・俺はニヤッとしながら魔弾を取り出した。

フレアだ。

太陽の表面を巻き上げる炎。

そのイメージを込めて作った魔弾。


シルバーに近づけると、スッと入っていった。

毎回、弾を込めるのは面倒だな。

!!

そう思って今度はアイスボールやアイスジャベリン、サンダーアローなどいろんな魔弾を入れてみる。

・・・

全部吸収された。

大丈夫か?

シルバーにはタグが表示されている。

青いタグや黄色のタグなど。

青いタグをタッチすると、氷系のようだ。 

ということは黄色は風系か?

どうやって選択するのかな?

そんなことを考えながらシルバーを眺めていた。

とにかく魔法はイメージが大事だよな。

俺のイメージではこの色分けなのか?

人によってイメージが違うしな・・ま、いっか。


とりあえず銃を構えて、アイスジャベリンをイメージして引き金を引く。

ファイアーボールの時と同じように、小さい青い光の弾が飛んでいく。

少し離れたところで着弾したのか、氷の柱が出来上がっていた。

地面に突き刺さっているようだ。

なるほど、俺の思いというかイメージで発射できるんだ。

この魔弾とかイメージを思うとそれが発射されるのかな?

う~ん・・マニュアルはないしなぁ。

結果オーライということでいいだろう。


この後もいろいろ試してみる。

・・・

・・

普通に魔法だ。 

ただ、魔力が減らない。

これは大きい利点だろう。

さて、最後にフレアを撃ってみたい。

シルバーのタグもフレアだけになっていた。

なぜか最後まで残してしまった。

少し言葉にできない不安がある。


よし! 

銃を構えて撃つ。

ファイアーボールの時と同じように赤い小さな弾が飛び出して、すぐに見えなくなる。

少しして白く光ったかと思うと、遠目だがかなり大きな爆発が起こっている。

その爆発がだんだんと大きくなってきた。

!!

俺は急いでシールドを展開。

爆発が広がってくると同時に轟音が響き、地面も揺れている。


ドゴゴォォーーーーーーーーーン!!!!!!


直後に猛烈な熱風が吹き荒れた。

・・・

・・

熱風が収まり、辺りの景色も見えてくるとだんだんと状態が判明する。

一言・・ダメだな、こりゃ。

俺はそう思った。

スーパーノヴァほどじゃないが、周辺はすすけていて廃墟と化している。

黒い大地が広がっていた。

何も残っていない。 

確か草原だったはずだが。


テツは気づいていないだろうが、ファイアーボールは初級魔法だ。

だが、使う人間の魔力やレベルによって威力が異なる。

テツの放ったそれは、中級以上の魔法となっていただろう。

フレアに関しては、最上級魔法に位置していると言っても言い過ぎではないかもしれない。


「かなりの威力だったが、火球程度ならいつでも使えるな。 シルバーも不具合はなさそうだし良好だろう」

俺はそうつぶやくと銃を収納。

ただ、この実験で43階層の1/3はすすけることになっていたが。


帰りは楽なものだ。

俺は移動だけに専念して帰り道を走った。

何の問題もなく地上へ到着。

時間は14時30分になっている。

さて、家に帰ろう。

家に到着し中に入ってみると誰もいない。

フレイアは・・そうか!

おそらくばあちゃんの家だろう。

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