第275話 ミランからのメッセージ



俺は特にやることもないので、ギルドへ向かって歩いている。

街の中をゆっくりと歩く。 

この北京都、海は近いし山も背負っている。

それにこの街並みの景観。 

RPGだな。 

しかも、リアルRPGだ。

でもまぁ、みんなほんとに適応が早いよな。

人は強いということか。

・・・

そんなことを考えていると、ギルドに到着。

フレイアはまだ来てないようだ。

まだ10時過ぎだからな。


そうだ!

飛行船がどこへ行けるのか見てみよう。

昇降装置のところにパネルがある。

これでどこに行けるか確認できるみたいだ。

発着場にもあったように思うが・・忘れた。


画面を見ながら、タッチしてみる。

・・・・

・・・

いろいろ操作してみると、地図が拡大されたり縮小されたりしている。

ギルドのあるところだろうか。

放物線のような線で結ばれていた。

縮小していくと、日本全体が見えるくらいにある。

アジアやアメリカも見えてくる。

アジアのところにも放物線がかかっていた。

ドワーフのところだな。 

アメリカにもかかっている。


俺が画面を見ていると、後ろから声をかけられた。

「何してるの、テツ?」

フレイアだ。

「あ、フレイア。 飛行船でどこへ行けるのか確認してたんだよ」

俺が画面を見ながら答えると、フレイアが呆れた顔で俺をみた。

「テツ、こっちを見てみたら」

フレイアの指が、画面の横の丸いホログラムのような球体を指していた。

結構大きい。

俺は、これを見落としていたのか。

意識が画面、画面と思っていたから、見えなかったのだろうな。

・・・

どうやら地球を模してるようだ。


ゆっくりと回転しながら、ギルドのある街と街をつないでいる放物線が立体的に見える。

わざわざ画面で確認しなくても、これを見れば一発でわかったな。

「テツ、その画面は詳細を知りたいときなどの補助操作なのよ。 それに、ライセンスカードでも確認できるけど・・」

フレイアに言われてしまった。

そうなのか・・ライセンスカードにもそういった機能があるとは。

俺って、オールドタイプ?

さて、気を取り直して地球を模した球体を眺めていた。

・・・・

結構、全世界網羅してきているんだな。


まだまだ密な感じではないが・・。

ん? 

南極ともネットワークがあるぞ!

調査団って、かなり活発に動いているんだな。

お疲れ様だ。

俺は本気でそう思った。


俺が球体を眺めていると、フレイアは掲示板を見に行っていた。

俺もすぐにフレイアの横に行き、一緒に掲示板を見る。

掲示板には、冒険者をつのっていたり、素材関係の依頼が多く目立つ。

それを確認していたら、俺に近づいてくる人がいた。

ギルドマスターのディアナだ。

「やぁ、テツ君」

ディアナが片手を挙げて挨拶してきた。

「あ、どうも、ディアナさん」

俺も返事を返す。

「君にミランからメッセージが届いている。 受付で受け取ってくれ」

ディアナがいう。

「メッセージですか? わかりました、ありがとうございます」

俺は一応お礼をいって、受付へ向かった。


受付では少し待つようなので順番をもらう。

パネルにカードを通すと、2番目のようだ。

受付から少し離れて、ギルド内をゆっくりと見渡してみた。

ディアナとフレイアが掲示板の前で何やら話している。

その奥は飛行船の発着場への昇降装置がある。

右の方を見ると、上に登る階段が見えた。

人が結構移動している。

左の方は横に通路ができているようだ。

そんなことを考えていると、俺の順番がきた。


受付へ行ってみると、かわいらしい女の子がいた。

「こんにちは、テツ様。 どうぞお掛けください」

そう言われて俺は席に着く。

早速、帝都ギルドからのメッセージが届いてることを確認してもらった。

「はい、届いております。 こちらにライセンスカードをお願いします」

受付の子がボードを出してくれる。

俺はそれにカードをタッチさせると、メッセージを受け取ることができたようだ。

「ありがとうございます」

俺はそういうと席を立った。

受付の子が、あれ? という顔をしていたが、特に用はないので、軽くお礼を言って移動。

ソファーに腰かけた。


ギルマスからのメッセージを確認してみる。

「テツ君、すまないな旅の途中で。 このメッセージを受け取ったら、一度帝都に戻ってきてもらえないだろうか。 こんなメッセージでは話せない内容が結構あるんだ。 よろしく頼む」

なんだろう?


ちょうどこのギルドから帝都に帰れるしな。 

ま、いっか。

そう思うと、フレイアのところに近寄っていく。

ディアナとまだ話していた。

「テツ君、メッセージを受け取ってくれたかね?」

「はい、いただきました。 ありがとうございます」

俺がそう答えると、ディアナはフレイアに片手を挙げ「じゃ!」と言って、受付の方へ戻って行った。


「テツ、ミランはなんの用だったの?」

フレイアが聞いてくる。

「うん、何か帝都に帰って来てくれって。 内容が大事なことらしい」

ちょうど定期船もあることだし、ここから飛行船で帰ってもいい? と、フレイアに聞いてみた。

「もちろん!」

フレイアが即答。 

ありがたい。


だが、その前に食事するくらいの時間はあるだろう。

このギルドで軽く食事をしてから帰ろう。

時間は10時30分を過ぎている。


「フレイア、少し早いけど、お昼を食べて帰ってもいいかな?」

「ほんと? 私も少し気になっていたの。 さっきからあの通路の方からいい匂いがしていたから・・」

フレイアが嬉しそうに答える。

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