第274話 藤岡のところも順調のようだ
街並みは、ギルドのあるところを中心にして放射状に広がっている。
昔の街並みも少しは残しつつ、基本は帝都の街並みとよく似た構造になっていた。
藤岡のところはギルドからそれほど離れていない。
帝都ギルドでいえば、俺の家の位置よりも少し遠い感じだった。
・・・・
迷わずに歩いて行くことができ、藤岡の家の前に来た。
この街も、新しく作ったところの住居は皆同じような広さの土地で区割りしてるようだ。
藤岡の家の呼び鈴を押してみる。
・・・・
少しして、返事があった。
「はーい」
藤岡の嫁さんの声だな。
ドアが開き、中から藤岡の嫁さんが現れた。
・・・・・
俺の顔を見て少し戸惑っているようだ。
見たことあるが、名前が思い出せないそんな感じだな。
「あの、町田です。 おはようございます。 藤岡、いますか?」
・・・
俺が名前を名乗ると、ああ!! という感じで、顔が明るくなった。
ほとんど会ったことないからな。
「あなたぁ~! 町田さんが来てくれたわよ」
すぐに奥で返事がする。
「町田が来たんか? 入ってもらってくれ」
そういう声が聞こえて奥さんが俺を中へ入れてくれる。
奥の部屋へ通されると、藤岡と子供がいた。
ハル君だったっけ?
大きくなったなぁ。
確か、颯と同じくらいの歳だったと思ったが。
「ハル君、おはよう。 町田です」
俺はとりあえず挨拶をする。
「おはようございます」
ハル君はそういうと、藤岡の方を見つめていた。
「なんや、ハル。 恥ずかしいんか。 まぁ、外で遊んできてもええで」
藤岡がそういうと、ハル君はうれしそうに俺にお辞儀をして、出て行った。
「藤岡、いきなりですまないな。 手ぶらだ」
俺はそういうと、本当に手ぶらだったのを思いだした。
「いや、別にええんよ」
藤岡がテーブルに座るように
俺はアイテムボックスからスイーツを少し取り出して、テーブルに置いてみた。
「これ、俺のところの地元のスイーツ店のケーキだが、どうぞ」
藤岡の嫁さんが、受け取ってくれた。
俺の出すスイーツをみて藤岡が言う。
「そうか、町田のところも街は無事なんやな・・」
それよりも、藤岡はアイテムボックスを見ても驚かなかったな。
かなり慣れてきたんだな。
なるほど。
俺は、藤岡の街も無事で、異世界人と協力して街を運営しているのを確認した。
ギルドができ、帝都との飛行船の交流も始まったことなどを、いろいろ教えてもらった。
・・・・
・・・
・・
「そうか・・もの凄い勢いで進んでるな」
俺は驚きつつも感心していた。
「そやろ。 俺も驚いてるんや。 建物なんて、魔法でパッとできるしな」
藤岡もそこが驚いたらしい。
「それにしても、帝都との飛行船ができてるとは思わなかったよ」
俺がそういうと、藤岡がスイーツを食べながら答える。
「最近できたんや・・うまいな、これ」
「そういえば、藤岡が街づくりにものすごく協力してくれてるって、ギルドのディアナさんが言ってたぞ」
「ほんまか? そんなこと言うて大げさやな。 俺は町田のおかげで初めから結構レベルがあったからな。 それに、街の人たちもすんなり異世界の文明を受け入れてくれたのが良かったよ」
・・・
・・
そんなことを話していると、街にできたダンジョンの話になった。
「町田、この街にダンジョンが出来たときのことなんやが、無茶苦茶美人の女の人が作ってくれたんや。 パッと作って帰ってしもうたけど、あんな美人がおるんやな」
藤岡が驚いていた。
「藤岡、それ、たぶんルナっていう人だと思う」
俺がそういうと、藤岡の目が大きくなり聞いてきた。
!
「なんや町田、知ってるんかいな? あの黒髪の美人さん、話かけれんかったけど、お付きの女の人も美人だったよ。 ただ、これが怖かったわぁ」
藤岡がいう。
ダンジョンは30階層ほどあるそうだ。
俺は黙って聞いていた。
ウルダさんだな。
まぁ、もめなくてよかったよ。
「そっか・・でも、ダンジョンができると街が安定するらしいぞ」
俺が説明する。
魔素の安定と魔物のコントロール。
また、ダンジョンを利用していろいろな可能性があることなど。
・・・・
・・
「そうなんか。 ダンジョンって、単純にレベル上げるだけやなかったんか・・」
藤岡が言う。
「俺も詳しくはわからんが、そういうことらしい」
俺も
実際、よくわからないからな。
「レベル上げと思って、子供と1度だけ行ったことがあるんよ。 すぐに帰って来たけど・・」
藤岡は笑いながら話しているが、俺は無理しないようにと念を押した。
・・・
・・
さて、藤岡の無事も確認できたし、時流に乗って生活できている。
問題ないな。
「藤岡、まぁ無事にやれてるな。 安心したよ」
俺はそろそろお
藤岡の嫁さんにも挨拶して、藤岡と握手を交わす。
「町田、いろいろありがとうな」
「いや、俺は何もしてないぞ」
藤岡が笑いながら見送ってくれる。
「藤岡、帝都との連絡船ができてるんだ。 いつでも遊びに来てくれよ」
藤岡は喜んでうなずいてくれる。
俺は、藤岡の家を後にした。
時間は10時前だ。
藤岡が長い間見送ってくれていた。
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