第270話 ディアナ


俺はジッと受付の人の顔を見つめている。

異世界人だろうか、美人だよな。

・・・

「お客様、危険がせまっておりますが・・」

受付の女の人が言う。

「え?」

俺の背中をフレイアが凝視していたようだ。

「いや、あのね、フレイアさん。 どんなギルドか考えていたのですよ」

俺は苦しい言い訳をした。

フレイアは殴るでもなく俺の背中にポンッと、軽く手を当てて掲示板を見に行った。


フレイアが歩いて行くと、ギルドの中で注目を集める。

おそらく地球人だろう人が特にマジマジと見ているようだ。

おっと、それよりも泊る場所を教えてもらわなきゃ。

「ふぅ・・あのですね、どこか泊まれる場所とかありますか?」

「はい。 このギルドの近くに2つ宿泊施設がございますが、どちらにいたしましょう」

受付の人はそういうと、ボードパネルを見せてくれた。

パッと2つの施設が現れて見える。

どちらも感じのいい建物だ。


「この2つ、どう違うんです?」

俺は聞いてみた。

「いえ、別にどうということはありませんが、どちらもギルド管轄の施設です」

「そうですか・・では、お勧めでお願いします」

俺はそう言ってみる。

この俺の回答って、何かのテレビ番組で家電芸人だったっけ?

家電を買う時に、店員になんて聞くとかの企画だったか・・いっちゃんええやつ!

ダメな回答じゃん。

俺がそんなことを考えていると、受付の人が答えてくれた。

「わかりました。 では、こちらの宿泊施設をお勧めします。 朝食も付いておりますのでご安心ください。 あ、失礼ですが、ライセンスカードをお持ちですか?」

受付の女の人が照れながら言う。

忘れてました、なんてつぶやいていた。

かわいいじゃないか、おい!

テヘペロか?


俺がライセンスカードを渡すと、ボードパネルに乗せて確認している。

受付の女の人が驚いていた。

「Aランクですか・・いや、これは失礼しました。 それでしたら、こちらの宿泊施設をお勧めします」

そういって違う建物が表示された。

さっきの2つの建物よりも一回り小さい。 

だが、何か重厚感がある感じだ。

俺はありがたくその宿泊施設をお願いした。

ギルドから宿泊手続きができるみたいで、パネルで受付の人がパパパッとしてくれていた。

当然、部屋は2つお願いする。

!!

そうだ。

俺は、ギルマスにもらったカードを思い出した。

ちょっと試してみるか。

そう思って、カードを出してみた。


「あの・・それとこのカードを見せれば何かと便利になるとかで、帝都のギルドマスターが・・」

おそるおそる俺は言ってみた。

!!

「こ、これは・・少々お待ちください」

受付の女の子は、ガタッと席を立ち奥の部屋へ駆け込んでいく。

・・・

しばらくすると、眠そうな顔をした女の人と一緒に受付の女の子が出てきた。


俺の前に来ると、眠そうな女の人はあくびをする。

「ふぁ・・すまない。 なかなか忙しくてな、ウトウトしていたんだ。 で、君がミランの知り合いという冒険者か・・」

そういうと俺をジッと見つめている。

・・・・

「なるほど・・見えないのだな」

俺に握手を求めてきた。

握手を返すと、その女の人が話始めた。

「私がこの街のギルドマスターのディアナだ」

この女、結構力あるぞ。

俺は握られた手から感じていた。

ディアナはそういうと俺にカードを返す。


「このカードはね、その街のギルマスに優先的に会えるようになっているんだ。 カードの発行元が帝都になっていて、ミランのサインもある」

そういうと、俺を見つめ直して聞いてくる。

「で、何をしにこの街へ来たんだ?」

俺の背筋がピンッとなった。

ディアナは笑いながら言う。

「いやいや、すまない。 驚かすつもりじゃなかったんだが・・」

頭をきながら俺に話してくる。


俺も、ふぅっと息を吐きながら話す。

「いえいえ、問題ありません。 この街に来たのは、私の友人を訪ねて来たのです。 ですが、もう夜も遅いのでどこか宿泊できる場所をと思って、ギルドに来たのですが・・」

ディアナが目を少し大きくする。

「君の友人? 良ければ名前を教えてくれないか?」

ディアナが少し前のめりになり聞いてくる。

別に隠すこともないので、俺は素直に答える。

「はい、藤岡っていう男なんですが・・」

俺がそういうと、ディアナが大きくうなずいていた。

「藤岡君かぁ・・この街を作るのに、一緒によく動いてもらっているよ」

ボードパネルで藤岡の顔を表示。

!!

俺が、そいつです、というとディアナがいろいろ説明してくれた。

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