第269話 街へ来てみたものの



俺はそう思いつつもフレイアに聞いてみた。

「フレイア・・この城壁って、やっぱり街の壁だよな」

「ええ、そうだと思うわ」

フレイアが答えてくれる。


城壁を右側に見ながら壁に沿って移動してみた。

・・・

・・

結構歩いたぞ。

目線の先に小さな入り口を見つけた。


時間は22時15分。

入り口には3名の武装した人がいた。

レベルは20、21×2。

大丈夫か?

そう思いつつも入り口に近づく。

奥にもう一人いた。

レベル28の男が下を向いて座っている。

俺は門番だろう人たちに挨拶をした。


「こんばんは」

門番はビクッとしながら、こちらを向く。

「な、なんだ、お前たちは・・」

そんなに驚かなくてもいいだろう。

明らかに警戒してるな。

そりゃ、俺たちが見つかりにくいのはわかる。

接触の仕方を間違えたか?


「あ、はい。 私はテツといいますが、帝都からの冒険者です」

俺がそういうと、ライセンスカードを見せろと言われる。

俺とフレイアは言われるままにカードを提示した。

壁にあるパネルにカードを触れさせて、門番が確認していた。

門番が顔を見合わせて、ザワザワしている。

一人が奥のレベル28のところへ駆けて行った。

レベル28の男が起き上がって、一緒に俺たちのところへ来る。


門番の一人が笑顔を作って言う。

「し、失礼しました。 まさかBランク冒険者の方とは思いませんでした。 どうぞ、中へお入りください」

その後レベル28の男が近づいてきた。

「テツ殿、フレイア殿、初めまして。 私は、帝都騎士団第五隊員のメテウスと申します。 この街で警備の教育係を担当しています」

何か、おどおどしている感じがするが、大丈夫か?

メテウスは少し近づいて来て小さな声で言う。

「テツ殿、すみません。 私が居眠りしていたことは、見なかったことにしてください」

・・・

俺につぶやくように話した。


さっき椅子に座っていて、動かなかったのはそういうわけだったのか。

言わなければわからないものを。

俺は黙ってうなずき、サムズアップをした。

メテウスはホッとした顔をしている。

それよりも聞きたいことがあった。

「メテウスさん、ここって帝都との交流があるんですか?」

俺が聞くと、気持ちを切り替えて話してくれる。

切り替えが早いな。

「ええ、最近ですが、帝都の調査隊が発見しまして、住人の方々と一緒に街を拡大して今に至っています」

メテウスがそういうと、上空に飛行船が飛来していた。

・・・・

あっそ。


俺は言葉が出て来ない。

そのまま空を見上げた。

・・・

飛行船に乗ればよかったんですね。

フレイアの方を見ると、あくびをしていた。

ただ、門衛の人たちはフレイアを凝視だが。


「フレイア。 もしかして、定期船があるの知ってた?」

俺は聞いてみた。

フレイアは首をゆっくりと横に振り、俺の方へ近づいてくる。

「テツ、こいつら気持ち悪いぞ」

フレイアが俺の耳元でささやく。

どうやらフレイアも知らなかったようだ。


「メテウスさん、ありがとうございました」

俺も一応返答しいろいろと聞いてみた。

・・・・

・・

ギルドの場所も聞き、俺たちは街の中へと歩いて行く。

カズヤたちの街は、見た目が廃墟みたいだったから見つかりにくいのだろう。

そんなことを考えていた。


そうえば定期船の発着場で、場所の地図とかが表示されると言ってたな。

俺が確認をしなかっただけか。

いや、もし歩いていなければ、あのカズヤ達の場所はわからなかっただろう。

う~ん・・ま、いっか。

さて、まずはどこかで泊まろう。

ギルドで聞けば教えてくれるはずだ。

夜ということもあるのだろう。

街を歩いている人は、ほとんどいない。

街並みはどこか帝都に似ている。


道の先の方に、高い建物が明かりをつけて建っている。

飛行船が横づけになっているところを見ると、あれがギルドだな。

「フレイア、あの建物がギルドだよな?」

俺は独り言のようにつぶやきながら言った。

「そうね」

フレイアは軽く答えて、何か足取りが軽い。

「フレイア、何かうれしそうだな?」

俺が聞いてみると、

「こうやって街が出来てくるのって、何かいい感じね」

フレイアが微笑みながら答えてくれる。

そうだよなぁ。

ほんの数日前とはえらい違いだな。

そう思いつつギルドへ向かう。


ギルドの前に到着、中へ入っていく。

やっぱりどこかの空港のエントランスみたいだな。

なるほど・・ほとんど帝都ギルドが基礎となっているようだ。

よく似た作りだ。

受付カウンターが1つある。


ギルド内にはバラバラとしか人がいない。

まぁ、夜だしな。

受付も一人いるだけだ。

俺は受付に行き、どこか宿泊できる場所を確認する。


「こんばんは、ようこそギルドへ。 どういったご用件でしょうか?」

受付の女の人が丁寧に挨拶してくれた。

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