第264話 帝都騎士団第三隊長
相手は俺たちのいる場所が正確にわかるわけではないようだ。
俺たちの横2メートルくらいのところだろうか、そこに着弾。
ドゴォーーーーン!!!
大きな爆発が発生した。
だが、フェニックスが放ったような炎ではない。
トロウルがメイスを振り下ろした衝撃よりも小さいだろう。
それくらいの衝撃をシールド越しに感じる。
『フレイア、すまない。 今しゃべると、相手に気づかれるかもしれない』
俺はその場でジッとしたまま、フレイアに念話で話す。
『・・・』
俺は息を殺す感じで強くフレイアを抱きしめていたかもしれない。
・・・
フレイアは何も言わずにジッとしている。
炎はもう消えていたが、土埃が大きく舞っている。
無論、俺たちは無傷だ。
俺たちを隠す
その瓦礫の陰で俺たちはジッとしていた。
◇
<キョウジ視点>
キョウジは撃った場所をジッと見つめていた。
「いると思ったんだが・・違ったか? 警戒を
キョウジはそういうと狙撃手に小銃を返して城壁を降りて行く。
◇
<テツ視点>
『フレイア・・今の魔法を放ったやつだが、レベル28だ。 どうも地球人のようだった』
『・・・』
あれ?
おかしいな、フレイアから返事がない。
そう思ってフレイアを見る。
耳と顔が真っ赤になっていた。
大丈夫か?
シールドの中って温度が上がるのかな?
おっと、そうだった。
シールドをかけたときに、フレイアをギュッと抱きしめていたんだった。
フレイアを解放。
「すまなかったな、フレイア」
口まで塞いでしまったからな。
「・・い、いや、別にいいんだ・・」
フレイアがぎこちなく答える。
「どうしたんだ、フレイア? シールドの中・・暑くないよな?」
俺はそんなことを思いながらつぶやいていた。
やけにフレイアがおとなしいが、まぁいい。
「アニム王に一応報告しておくよ」
フレイアが黙ってうなずく。
俺はそのままアニム王に念話を送ってみた。
時間は21時を過ぎている。
『アニム王、テツです』
アニム王からはすぐに返事がある。
『やぁ、テツ。 どうしたんだい?』
軽いな。
『はい、実は街を発見したのですが、いきなり攻撃されてですね・・』
・・・・・
・・・
俺は今起きたことをアニム王に報告してみた。
『そうか、了解したよ。 すぐに調査員を派遣するよ』
『あ、アニム王、俺たちのいる場所ですが・・』
俺が場所を説明しようとすると、アニム王が念話を被せてくる。
『テツ、大丈夫だよ。 大体の場所はわかるから・・』
そういえば、アニム王は念話でおおまかな場所がわかるとか言っていたな。
忘れてた。
『テツ、すぐに調査員が到着すると思う。 よろしく頼むよ』
アニム王はそういうと念話を切った。
「フレイア、すぐに調査員が到着するようだ。 このまましばらく待機していよう」
俺はフレイアにそう言って、アイテムボックスからお茶を出した。
フレイアにも渡す。
・・・
10分くらい経過した時だろうか、上空にワイバーンが3体飛来してきた。
帝都から派遣された騎士団員のようだ。
俺たちのところへ接近してきているのかと思うと、遠慮なく街の中へ降りようとしている。
!!
「バカか。 俺達はいきなり攻撃されたんだぞ」
俺の口から思わず言葉が出た。
案の定、攻撃を受けていた。
城壁から銃撃されているようだ。
俺は索敵してみるが、どれもレベル24前後の狙撃手の攻撃なので、ワイバーンが傷つくことはないだろう。
ただ、ワイバーンには着弾しているので嫌がってる感じは見える。
遠慮なく街の上空をぐるりと回り、俺たちの近くへと降りて来る。
途中まで攻撃を受けていたが、ある程度距離ができると攻撃は
ワイバーンが地上に着陸。
俺たちもその着陸地点に向かう。
これで相手にも把握されただろうなと思いつつも、覚悟を決めた。
騎士団員がワイバーンから降りて、俺たちに手を振ってきた。
「お疲れ様です、テツ殿。 それにフレイア殿も」
・・・・
俺は返事ができなかった。
何せ、いきなり知らない街に、しかも銃撃を受けたと報告したのに降りようとしたんだからな。
こいつの頭を疑うぞ。
「おっと、申し遅れました。 私は帝都騎士団第三隊長、メサイアと申します。 よろしくお願いします」
ニコニコとしながら握手を求めてくる。
見た目は可愛らしい女の子だ。
俺も握手をしたが、どうしても小言がいいたくなった。
「メサイアさん、いきなり街に降りようなんて・・無茶ですよ」
「いや、アハハ・・いきなり攻撃を受けたとは聞いていたのですが、まさか本当に撃ってくるとは思ってもみませんでした。 まぁ、ワイバーンですし、魔物と間違われても仕方ないですけどね。 アハハ・・」
メサイアは気持ちよく笑っている。
・・・
本当に大丈夫か、こいつ?
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