第264話 帝都騎士団第三隊長



相手は俺たちのいる場所が正確にわかるわけではないようだ。

俺たちの横2メートルくらいのところだろうか、そこに着弾。


ドゴォーーーーン!!!

大きな爆発が発生した。

だが、フェニックスが放ったような炎ではない。

トロウルがメイスを振り下ろした衝撃よりも小さいだろう。

それくらいの衝撃をシールド越しに感じる。


『フレイア、すまない。 今しゃべると、相手に気づかれるかもしれない』

俺はその場でジッとしたまま、フレイアに念話で話す。

『・・・』

俺は息を殺す感じで強くフレイアを抱きしめていたかもしれない。

・・・

フレイアは何も言わずにジッとしている。


炎はもう消えていたが、土埃が大きく舞っている。

無論、俺たちは無傷だ。

俺たちを隠す瓦礫がれきもある。

その瓦礫の陰で俺たちはジッとしていた。


<キョウジ視点>


キョウジは撃った場所をジッと見つめていた。

「いると思ったんだが・・違ったか? 警戒をおこたるなよ」

キョウジはそういうと狙撃手に小銃を返して城壁を降りて行く。


<テツ視点>


『フレイア・・今の魔法を放ったやつだが、レベル28だ。 どうも地球人のようだった』

『・・・』

あれ?

おかしいな、フレイアから返事がない。 

そう思ってフレイアを見る。

耳と顔が真っ赤になっていた。

大丈夫か?

シールドの中って温度が上がるのかな?

おっと、そうだった。

シールドをかけたときに、フレイアをギュッと抱きしめていたんだった。

フレイアを解放。


「すまなかったな、フレイア」

口まで塞いでしまったからな。

「・・い、いや、別にいいんだ・・」

フレイアがぎこちなく答える。

「どうしたんだ、フレイア? シールドの中・・暑くないよな?」

俺はそんなことを思いながらつぶやいていた。

やけにフレイアがおとなしいが、まぁいい。

「アニム王に一応報告しておくよ」

フレイアが黙ってうなずく。

俺はそのままアニム王に念話を送ってみた。

時間は21時を過ぎている。


『アニム王、テツです』

アニム王からはすぐに返事がある。

『やぁ、テツ。 どうしたんだい?』

軽いな。

『はい、実は街を発見したのですが、いきなり攻撃されてですね・・』

・・・・・

・・・

俺は今起きたことをアニム王に報告してみた。

『そうか、了解したよ。 すぐに調査員を派遣するよ』

『あ、アニム王、俺たちのいる場所ですが・・』

俺が場所を説明しようとすると、アニム王が念話を被せてくる。

『テツ、大丈夫だよ。 大体の場所はわかるから・・』

そういえば、アニム王は念話でおおまかな場所がわかるとか言っていたな。

忘れてた。

『テツ、すぐに調査員が到着すると思う。 よろしく頼むよ』

アニム王はそういうと念話を切った。


「フレイア、すぐに調査員が到着するようだ。 このまましばらく待機していよう」

俺はフレイアにそう言って、アイテムボックスからお茶を出した。

フレイアにも渡す。

・・・

10分くらい経過した時だろうか、上空にワイバーンが3体飛来してきた。

帝都から派遣された騎士団員のようだ。

俺たちのところへ接近してきているのかと思うと、遠慮なく街の中へ降りようとしている。

!!

「バカか。 俺達はいきなり攻撃されたんだぞ」

俺の口から思わず言葉が出た。

案の定、攻撃を受けていた。


城壁から銃撃されているようだ。

俺は索敵してみるが、どれもレベル24前後の狙撃手の攻撃なので、ワイバーンが傷つくことはないだろう。

ただ、ワイバーンには着弾しているので嫌がってる感じは見える。

遠慮なく街の上空をぐるりと回り、俺たちの近くへと降りて来る。

途中まで攻撃を受けていたが、ある程度距離ができると攻撃はんだようだ。

ワイバーンが地上に着陸。

俺たちもその着陸地点に向かう。

これで相手にも把握されただろうなと思いつつも、覚悟を決めた。


騎士団員がワイバーンから降りて、俺たちに手を振ってきた。

「お疲れ様です、テツ殿。 それにフレイア殿も」

・・・・

俺は返事ができなかった。

何せ、いきなり知らない街に、しかも銃撃を受けたと報告したのに降りようとしたんだからな。

こいつの頭を疑うぞ。


「おっと、申し遅れました。 私は帝都騎士団第三隊長、メサイアと申します。 よろしくお願いします」

ニコニコとしながら握手を求めてくる。

見た目は可愛らしい女の子だ。

俺も握手をしたが、どうしても小言がいいたくなった。

「メサイアさん、いきなり街に降りようなんて・・無茶ですよ」

「いや、アハハ・・いきなり攻撃を受けたとは聞いていたのですが、まさか本当に撃ってくるとは思ってもみませんでした。 まぁ、ワイバーンですし、魔物と間違われても仕方ないですけどね。 アハハ・・」

メサイアは気持ちよく笑っている。

・・・

本当に大丈夫か、こいつ?

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