第258話 銃の完成


「うん、気を付けるよ。 じいちゃんによろしく」

俺は残りのお茶を全部飲み、ばあちゃんの家を後にした。


自分の家に帰り、もう1度確認する。

フレイアは何もないようだ。

やはり食べ物に関する道具や調味料なんかが俺の頭に浮かぶ。

おっと、コーヒーも入れておかなきゃ。

行き当たりばったりでもいいのだが、基本くらいは欲しい。

「えっと、塩、しょうゆ・・オリーブオイルと・・」

アイテムボックスに入れながら、笑ってしまった。

食べ物ばかりだな。


「テツ、どうしたんだ?」

フレイアが変に思ったのだろう、声をかけてきた。

「いや、持っていくものが食べ物ばかりだから、おかしくなったんだ」

!!

「チーズケーキは忘れないでね!」

フレイアが声を大きくして言ってくる。

「フレイア・・問題ないよ。 そんなに数はないが、あることにはあるから・・何ならはじめにスーパーエイトに立ち寄って行こう」

絶対ねと、念を押された。


そんなことをしていると入り口ドアがノックされる音を聞く。

ドン、ドン。

誰だろう?

ドアを開けてみると、じいちゃんがいた。

時間は15時40分過ぎ。

「じいちゃん! どうしたんだ?」

珍しいな、じいちゃんが来るなんて。

「テツ、前に頼まれていた銃だが・・できたぞ。 それから、外の街を回るんだってな。 少し防具と武器の手入れをする」

じいちゃんがそういって、家に来いと言ってくれた。


銃・・できたのか?

確かレベル40くらいの魔石だったぞ。

じいちゃん、それに近いレベルになったということか?

いったい何をしてるんだ?

しかし、ありがたい。

俺はじいちゃんについて行きながら、銃はどこ? と聞いてみる。

「家だ・・」

持ってないのか。

なるほど・・呼びに来ただけか。


フレイアと一緒に、またばあちゃんの家に来た。

家の中に入ると、じいちゃんが自分の作業場へ行く。

リビングは、ばあちゃんの好きなように改築するが、その横に作業場を作ったようだ。

フレイアは、ばあちゃんのところでまたお茶をれてもらっていた。

飲みすぎだろ、フレイア。


作業場に入ると、服を脱げと言われるので、じいちゃんの作ってくれたベストを脱ぐ。

魔石も要求されたので、アイテムボックスから出してみる。

レベル40くらいの魔石を3つ並べてみた。

じいちゃんが少し見ていたが、その中の一つを手に取る。


いきなり作業が始まった。

キーン!

キーン!

コォーン!

キーン・・・。

・・・

もの凄い澄んだ音だ。

音を聞いてるだけで落ち着いてくる。

まさか鍛治打ちの音で癒されるとは。


そんなに時間がかからずに出来上がった。

同じようなベストだが・・違う!

息をしているような感じを受ける。

「じいちゃん、これって・・」

俺はそれを手に取り、鑑定してみた。

同時に、じいちゃんがまた魔石を手に取り、俺の刀飛燕を打ち始めた。


前のベストの能力と比べてみると

☆:攻撃魔法耐性中→攻撃魔法耐性極大

☆:物理攻撃耐性大→物理攻撃耐性極大

☆:装着者能力向上中→装着者能力向上極大

しかも、

☆:テツ専用防具。

凄いぞ、じいちゃん!


? 

あれ?

じいちゃん、飛燕を軽く持ったよな?

前は引きずっていたのに・・いったいどれだけ成長したんだ?

俺が驚いていると、刀も完成したようだ。


飛燕

☆テツ専用武器。

☆使用者とともに成長可→使用者とともに成長

☆絶対切断→絶対切断+α

武器も成長可から成長に変化している。

絶対切断の「+α」って何?

それに鞘の部分も刀を回復させる能力が強化されていた。


う~ん・・なんと言ってよいやら。

とにかく俺は「ありがとう」と、お礼だけは心を込めて言った。

じいちゃんは別に気にするでもなく、作業が終わるとサッサとリビングへ行った。

俺はあまりの出来事に、実感が湧いてこない。

ただ、おそらく俺の持ってるものは普通じゃない。

それだけはわかる。

本当にありがとう、じいちゃん!


俺もリビングへ行くと、じいちゃんがうれしそうにフレイアのれるお茶を飲んでいた。

じいちゃん・・エロじじぃか!


なんか忘れてるな。

・・

あ!

銃だ。

「じいちゃん、銃は?」

じいちゃんもハッとした顔をしていた。

忘れていたな、じいちゃん。

俺もだけど。

じいちゃんは作業場へ行って、すぐに帰ってきた。


じいちゃんから俺は銃を手渡される。

・・・

とてもきれいだ。

銀色に輝いている。

光で反射してるだけじゃないような感じだ。

手によく馴染む。

まるで持っているのが当たり前のような感じになる。

大きさも、それほど大きくない。 

重さもちょうどいい。

軽すぎず、重すぎず、持っている感覚を感じられる。

銃身は長くない。

俺の中指2本分くらいの長さだろうか。


即座に鑑定。

名称:未設定。

☆:テツ専用銃

☆:魔力制御極大

☆:魔力吸収


魔力吸収?

どういうことだ?

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