第250話 ドワーフのお店?


ギルマスが来るまで、横の席で待っていてくれという。

俺は席を移動。

アリアは次の接客をしていた。

忙しいな、受付は。

少しすると、ギルマスがやってきた。

「やぁテツ君、おはよう。 何かな?」

ギルマスが笑顔で聞いてくる。


「はい、実は昨日のスーパーエイトのことが気になったので、伺いにまいりました」

俺はそう言って聞いてみた。

「あぁ、無事に帝都でお店を出してくれるようだ」

「そうですか」

「今日の午後にこちらに調整にくる予定なんだ」

ギルマスがそう言ってくれる。

店長も行動早いな!

「そ、そうですか、それはありがたいです」

「いや、こちらこそありがとう」

ギルマスはそういうと握手をしてきた。


「後はエレンが場所を整えてくれるだろう」

ギルマスは微笑みながら、立ち上がる。

俺も挨拶をしてギルドを後にする。

これでルナたちにも怒られないで済む。 

俺はホッとした。

帝都の街もどんどんと賑やかになってくる。

すごい勢いだ。

本当にいい世界になったと、俺は思う。

前の社会システムよりも、人や自然にとって優しいシステムのように感じる。

まぁ、そう思わない人もいるだろうが。

あ、ギルマスに聞いてみればよかった。

レベル40くらいの魔石は、いくらくらいの値段なのかと。

ま、次の機会でいっか。

俺はそんなことを考えながら家に向かった。

時間は10時前になっている。


俺の家の前に来ると、嫁とお義母さん、それに凛と颯がいた。

「おはよう」

俺が声をかけると嫁たちが近寄ってきた。

「パパ、おはよう。 あのね、今からダンジョンへ行くの」

凛が嬉しそうに話してくる。

スラちゃんがプルプルと震えながら、凛の腕の中でいる。

う~ん、スラちゃんかわいいな。

「テツ、スラちゃんが怯えてるよ」

颯がすかさず言ってくる。

ごめん。


「みんな気をつけてな。 あ、それから嫁さん、ギルドでお金を振り込んでもらったから、ライセンスカードに入ってると思うよ」

俺はそう言ってスラちゃんをなでなでしてみた。

・・・

また颯に注意される。

嫁はカードを確認して、少し固まったようだ。

「パパさん・・このお金・・」

「あぁ、俺の稼いだギルだが、生活につかってくれ。 俺、そんなに必要ないから」

俺が軽く言うと、嫁はぎこちなく答える。

「う、うん。 ありがとう・・・」

「嫁さん、貨幣価値は、前の社会システムと大差ないはずだよな。 ま、たま~にそうやって振り込んでもらうから、よろしく・・気を付けて行ってこい」

俺はそう言って、嫁たちを見送る。


嫁は言葉を失っていたようだった。

当然だろう。

今まで、金、金、金とうるさかったのが、普通じゃありえない額が振り込まれているのだからな。

初めは嫁に金を渡すのはどうかとも思った。

だが、俺にはそんなに必要ない。 

持っていても仕方ない。

だったらと思って振り込んでもらった。

効果はテキメンのようだ。

だが、あの嫁のことだ。

これが当たり前になるかもしれない。

・・

う~ん・・その時はその時だろう。

俺はもう今までの日本の価値やその世界のルールでは生きていない。

本当に良い世界になったよ。


俺は自分の家に帰る。

「な、なんだ?」

入り口を開けるとすぐにわかった。

変な匂いがする。

薬草の匂いだろう。

少し部屋の中が煙っている。

魔女の館か!

煙の濃い方へ歩くとフレイアの背中が見えたので声をかけてみた。

「フレイア、この匂いって・・」

「あ、テツお帰り。 今、魔力回復薬を作っているの♪」

フレイアは鼻歌交じりで答えてくる。

どうやら、薬草づくりは楽しいようだ。

だが、周りはかなりきついぞ。

・・・

「フレイア、後どれくらい時間かかりそう?」

俺は聞いてみる。

「う~ん、そうねぇ・・午前中あれば大丈夫じゃないかな?」

!!

後2時間もあるのか!

これは耐えれそうにない。

ダメだな。


「そっか・・じゃ、またその時に帰って来るよ」

俺はそう言ってその場を離れる。

家を出て、街を回ってみよう。

2時間もあれば、結構回れるだろう。

ランドマークとなっている白い塔と横のギルドの定期船の発着場を右に見ながら、街を歩いて行く。

本当に、あの数日前までの魔物におびえながらの生活が嘘のようだ。

きちんと人間の生活ができている。

ん?

あれは・・お店の作りがやけに凝っている。

そう思って近づいてみた。

「マ、マジか? 本当にできたんだ・・」

ドワーフの武器屋だった。

看板にドワーフのお店へようこそと、ご丁寧に書いてある。


ドワーフとの連絡船もできたのか?

アニム王、すごい早さで街が作られていくな。

俺はそう思いつつも、店に入っていった。

ドアは手で開けるようだ。

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