第249話 ルナからのお礼


余程、薬草などを扱うのがうれしいんだな。

俺はフレイアの背中を見送りつつ、ギルドへ向かう。

ギルドへ到着してみると、結構人がいる。

それらを眺めながら定期船の昇降口をフト見ると、ルナが降りてきていた。

当然ウルダも一緒だ。

一瞬、俺は目をらそうかと思ったが、後が怖いので片手を挙げて手を振ってみた。

向こうも気づいたらしく、こちらへ近づいてくる。


「テツではないか」

ルナが声をかけてくれる。

「おはようございます、ルナさん、ウルダさん」

俺も挨拶を返す。

「うむ、そういえば、この間もらったスイーツな・・礼をいう」

ルナがそういうと、軽く頭を下げていた。

マジですか、ルナさん。

あなたが頭を下げるのですね。

やはり、甘いものの力はすごいな。


「それよりも、ルナさんたちこそ定期船を使うのですか?」

ルナたちは飛べるはずだ。

何も定期船など使う必要はないだろう。

俺は不思議に思った。

「うむ。 実はな・・」

ルナがそういうと、ウルダが横から声をかけてきた。

「ルナ様、ここでは騒がしいので外へ出られてはいかがですか?」

「そうだな。 ではテツ、外へ移動するか」

ルナと俺達はギルドの外へ出た。

俺たちはギルド入り口前、座ることのできるベンチへと移動した。

ルナとウルダが腰を掛け、横の椅子に俺も座った。

俺はすかさずアイテムボックスからシュークリームを取り出し、ルナたちに手渡す。

「おお、気が利くな、テツ」

ルナとウルダはうれしそうに手に取って食べ始めた。

食べながら話してくれる。

「実はな、飛行船で帝都ギルド管轄の街を移動しているのだ。 ダンジョンを作るためにな」

ルナはそう話始めると、いろいろと愚痴ぐちをこぼしたりしていた。

というのも、街への移動は極力定期船を使ってくれとアニム王から指示を受けているという。

いきなり飛んで行くと、住人が敵と勘違いして驚くらしい。

・・・・

・・・

どの街も、20~30階層程度のダンジョンを作っているのだという。

もっと規模の大きいものも作れるのだが、それは帝都だけでいいみたいだ。


都市機能として、帝都に人を集客させたいらしい。

アニム王は言わないようだが。

また、維持するにも現実的に難しいのかもしれない。

そういった政治的なことは俺にはわからないな。

俺はそう思って聞いていた。

・・・

・・

「それは大変ですね」

ルナにそう声をかけてみる。

「うむ。 ま、どうということはない」

ルナはそう答えると、立ち上がる。


「邪魔をしたな、テツ。 これはおいしかったぞ。 また頼む」

ルナはそういって、ウルダと歩いて行こうとする。

「あ、ルナさん。 この帝都に地上のお店ができるかもしれません。 そうしたら、いつでもこのスイーツが手に入りますよ」

俺のその言葉に二人ともが同時に反応した。

「「ほんとうか?」」

バッと二人ともが振り向き、一気に俺の前にきて凝視する。

「た、たぶん・・」

俺は凝視に耐えられず、不安になった。

「なに? たぶんだと・・」

ウルダの声に重みがかかる。


ウルダさん、あんたやっぱ怖いよ。


「いえ、大丈夫だと思いますが、ギルドマスターが調整しているはずですから・・」

ギルマスの責任にしておこう。

「そうか・・できれば楽しみだな」

ルナはそういうと、ウルダと一緒に歩いて行った。

俺も挨拶をしてもう一度ギルドへ戻る。

スーパーエイトの件を確認しなきゃ、俺の命が危ない。


受付に行ってみると、5人待ちみたいだ。

待っている間、例によって掲示板を見に行った。

・・・・

なるほど・・いろいろあるな。

素材集め、多いな。

魔石も多い。

俺の魔石も出してみようかな?

サーペントやゴーレムの魔石なんかがあったけど。

いや、やめておいた方がいいな。

おそらく異世界の定番で、目立ってしまうだろう。

みんなレベル20くらいが基準なんだから、レベル40の魔石なんてダメだな。

そんなことを思っていたら順番がきた。


受付に行くと、アリアだった。

「おはようございます、テツ様。 どういったご用件でしょうか?」

元気いいな、アリア。

ギルマスに用があると告げた。

「わかりました」

アリアはうなずくと、ギルマスを呼び出してくれる。

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