第248話 本当の強さって・・


そういえば、ここまでのレベルになるのはまれだったという話をフト思い出した。

高いレベルの魔物がそれほどあふれていた世界ではない。

普通に冒険していれば、最終到達レベル辺りだろうと思う。

俺がいる世界もゲームじゃない。

ポンポンとレベルを上げて、はい終わりではない。

いや、やっぱりレベルか!!

そりゃ、レベルが高ければ生き残る確率は格段に上がるし、有利になる。

何も困ることはない。


ただなぁ・・。

レベルを上げて俺tueeeって・・その強さって相対的なものだよな?

本物の自分の強さってそういうものじゃないだろ!

いや・・やはりそれもアリだよなぁ。

やっぱ、レベルか?

う~ん・・そんなことを考えていたら、フレイアが呼んでいるのが聞こえてきた。

・・・

・・テツ

「テツ!」

「あ、あぁ・・何?」

「何って・・何度も呼んでるのに」

フレイア、少し怒っているようだぞ。


「ごめん。 少し考え事をしていたから・・」

俺は素直に謝る。

「そう・・それならいいけど。 大丈夫?」

フレイアがのぞき込んできて、俺の状態を確かめていた。

「フ、フレイア。 大丈夫だから・・」

顔が近いぞ!

「大丈夫そうね」

フレイアは微笑んで辺りを見渡している。

「テツ、あの辺りに次の階層へ行く入り口があるみたいよ」

フレイアがそういって指を指した。

俺はそれを見ながらゆっくりと立ち上がり、フレイアと一緒に歩いて行く。


歩きながら、フレイアが話しかけてくる。

まさか俺が魔法で剣を大きくして戦うとは思わなかったようだ。

また、魔法で爆裂させるんじゃないかとも思ったみたいだが。

・・・

「ま、倒せたんだから良かったわ」

半分呆れながら、フレイアは言ってくれる。

俺は笑いながら聞き、次の階層へと向かった。

43階層とライセンスカードにカウントされる。

俺はそれを見てフレイアに言ってみた。

「フレイア・・この辺りで切り上げて、地上へ戻ってもいいかな?」

フレイアは意外そうな顔をした。

「別にいいけど・・どうしたの?」

「うん・・なんか、レベルだけ上げるのってしんどいかなって思って・・」


そう、なんかダルいというか、違うんだよな。

ゲームじゃないんだから。

リアルで生きているんだ。

レベル、レベルってこだわらなくても・・でも低いレベルは怖いよな?

そんなことが頭に浮かんでいた。

もっと外の世界を楽しんでもいいと思う。

まだ、世界も回っていない。

それに遺跡のことなども忘れていた。


いろんなところを巡って、いろんなことを学びたい。

俺の知らないことがいっぱいあるだろう。

新宿のところのフェニックスの領域も、どうなっているのか少し気になる。

藤岡のところも、澤田さんのところも気になる。

日本の各地でも生き残っている街はあるだろうし、この世界がどんな感じになっていくのかも知りたい。

そんな思っていることをフレイアにも伝えてみた。

「ふぅん・・そうね・・確かに私もハイエルフになれたんだし、何も急ぐことはないから。 気長にいきましょ」

フレイアは微笑みながら俺の考えに同調してくれた。


「ありがとう」

俺はゆっくりと頭を下げた。

「ちょ、ちょっと・・べ、別にいいわよ、そんな・・」

フレイアが慌てて手をバタバタさせていた。

いやいや、フレイアさん。

本当に感謝してますよ。

心の声です、はい。


帰り道はフレイアの薬草採取なんかをしながら帰ろうということになった。

帰りは散歩気分だった。

俺たちが無理に動かなければ、敵にも味方にも気づかれることはない。

途中でフレイアがいろいろな薬草を採取していた。

フレイアが魔力回復用だとか、傷回復用だとか説明してくれるが、俺には全部同じ葉っぱに見える。

フレイア、俺に説明してくれても無駄だから。

俺は微笑みながらうなずくだけだ。

でも、こういった採集もいいかもって思ってしまった。

癒される。


20階層くらいになれば、チラホラ冒険者パーティを見かける。

・・・

かなりヤバいんじゃないか?

そう思えることもあるが、そのままスルーだ。

自分の力量を考えずに突っ込んだのなら、自己責任だろう。

それに、ギルドが管理してるんだから救助も来るだろう。

さて、地上へ向かおう。

・・・・

・・・

何の支障もなく地上へ到着。


フレイアはかなり薬草を採取したようで満足していた。

時間は9時を過ぎている。

フレイアは早く薬草を調合したいみたいで、家で作業するという。

完全に俺の家の住人になっているよな。

俺は居ても役に立たないので、ギルドへ行って来ると伝え別れる。

フレイアは軽い足取りで家に向かって行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る