第242話 仕事、早いですね


「テツ君、そのお店はまだ営業してるよね?」

ギルマスが聞いてくる。

「はい、夜9時までは営業しているはずですが・・」

「そうか、それなら問題ないな」

ギルマスはそういうと、入ってきたエレンさんにいろいろ指示を出している。

エレンさんがうなずいて、軽く俺に挨拶したらまた奥へと移動した。

「では、テツ君、ありがとう。 俺は早速そのお店・・スーパーエイトだったかな? 行って来るよ」

ギルマスはそういうと、落ち着いた足取りで昇降装置へ向かって行った。

・・・

俺はやや呆然とした気持ちになる。

仕事が早すぎるだろ!

アニム王国の人たちって、すごく仕事早いな!

バンバンと進んで行くぞ。

それだけ現場の責任能力が高く、信用されているということか。

凄いな。

なんか、俺がポツンと受付で残された感じだ。

・・・

おっと、俺も家に帰ろう。

残された俺は一人席を立ち、ギルドを後にする。


家に到着すると、家の明かりはついていない。

嫁の家とお義母さん、そしてばあちゃんの家は明かりがついている。

フレイアはルナたちと盛り上がってるだろうな。

そんなこと思いながら、ばあちゃんの家の方へ向かった。


ばあちゃんの家の呼び鈴を押す。

奥から「はーい」と返事が聞こえる。

しばらくして、ドアが開く。

「おや、テツじゃないか。 お帰り・・どうしたんだい?」

・・・

俺は地上へ行って、スーパーエイトが営業していたことを伝えた。

「そうかい、それは良かったね」

そう言いつつも、俺を中へ入れてくれた。

リビングへ行くと、また何か雰囲気が違う。

またどこかを改築したな。


ばあちゃんがお茶を出してくれた。

俺はお茶の横に買ってきた和菓子を出してみる。

「テツ、この最中もなか・・それにこの芋の餅、残ってるんだねぇ」

ばあちゃんはそういうと、じいちゃんと一緒に食べ始めた。

俺もお茶と一緒に食べさせてもらった。

おいしい。

最中にお茶は合うな。


「あ、それからばあちゃん。 もしかしたら、この街にスーパーエイトができるかもしれないよ」

「ほんとかい? でも、どうやって・・」

ばあちゃんが不思議そうに聞いてきたので、ギルマスの案で地上のお店を持って来ようとしていると伝えた。

・・・

「そうかい、それはありがたいね。 買い物が便利になるね」

ばあちゃんがゆっくりとうなずきながら、次の和菓子を口に運ぶ。

ちょっと食べすぎだろ。


「テツ・・」

じいちゃんがその横で話しかけてくる。

「何? じいちゃん」

「前に頼まれていた銃だが、まだできないんだ。 すまないな・・」

そういえば、そんなことを頼んでいたような・・忘れてた。

「いいよ別に。 そのうちできるようになってからでいいから。 急ぐものでもないし」

俺はそう答える。


ゆっくりとお茶をいただきながら、じいちゃんとばあちゃんの帝都での生活について聞いてみた。

・・・・・

・・・

かなり充実しているようだ。

特に、じいちゃんはVIP扱いらしい。

いいのかな?

ばあちゃんも、王宮でお茶を飲んだりしながら、こんな仕事でいいのかと思いつつも、充実しているみたいだ。

王宮では、ばあちゃんのお茶が好評らしい。

そのうち、帝都でお茶の栽培でもするんじゃないか?

話を聞きながら俺はそんなことを思ってみた。


また、ばあちゃんは冒険者の治療や治療薬の錬成にも役立っているようだ。

二人とも適度に仕事をこなしているみたいで、レベルも上がったという。

本人たちはあまりレベルなど意識してないようで、ほとんどステータス画面など見ないらしい。

俺もちょうどいい機会なので、ステータス画面を確認してもらった。

自分のも確認してみる。


テツ

レベル:41

種族 :人

HP :700/705 

MP :500/510 

力  :608     

防御 :565     

敏捷 :777     

技能 :478     

運  :72      

職業 :賢者8


固有スキル 

罠解除☆

上忍術☆

鑑定☆

アイテムボックス☆

自動回復☆

祝福☆+α

魔法耐性☆

調理3


これって、やっぱり凄いんだろうな。

それに調理レベルが上がってきている。

そのうち激ウマ料理でもできるんじゃないか?

それはそれでありがたいが。

気になるのは職だ。

賢者8とあるが、その上ってあるのか?

そこが気になる。

俺がそんなことを考えていると、ばあちゃんとじいちゃんがこちら見て待っていた。

ごめん。


「テツ、この画面見たけど、よくわからないね・・」

そうですか。

「ばあちゃん、それじゃレベルのところの数字だけ教えてよ」

それだけ聞けば、どんなものかわかるだろう。

俺はそう思って聞いてみた。

「えっと・・レベル、レベル・・32ってあるね」


ブホォ!

俺はお茶を噴いてしまった。

じいちゃんの数字も聞いて今度はむせてしまい、咳がしばらく止まらなかった。

・・・

・・

「テツ、大丈夫かい?」

ばあちゃんが心配してくれる。

「ゴホ、ゴホ・・うん、大丈夫。 むせただけだから。 それにしても、よく成長してるよな・・」

ばあちゃんがレベル32、じいちゃんがレベル36。


アニム王がいろいろ効率よく配慮してくれているのだろうか?

何にせよ、安全な場所で本人たちに心地よい環境で成長している。

最高じゃないか。

これでお金も得ているのだろう?

何も言うことはない。

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