第241話 ギルマスに報告
フレイアはチーズケーキを食べて満足したのか、おとなしくなった。
いいことだ。
俺は船を待つ間、少し考えていた。
お金のことだ。
昔は・・といっても、数日前までだが。
お金がとても大事なものに思えていた。
確かに大事だ。
だが、魔法やレベルがある世界になり、いろんなことができるようになった。
するとお金の価値が低下しているように思う。
そりゃ、お金をたくさん出せばいろんなものが買えるだろう。
でも、もともと俺は物欲も少ないし、今の世界になってもほとんどお金を使うこともない。
冒険者として動いていれば、自然と言えばおかしいが、お金はすぐに貯まる。
そのお金で武具なども購入できるだろう。
ただ、ここで俺には特別にじいちゃんがいるのが大きい。
何ていうのか、お金や成績というモノサシで計ると今までの世界では人に序列がつく。
その人の内面を無視してだ。
これはものすごく恐ろしいことだろう。
それで価値を決められてしまうからな。
決してそんなはずはないのに。
嫁がいい例だ。
しかし、今の世界ではその判断基準が意味をなさないような感じになってきている。
俺がそう感じているだけなのか?
・・・・
・・
そんなことを考えているとフレイアが俺を呼んでいた。
「テツ! 何ボォーッとしてるのよ、船来たわよ」
「あぁ・・」
フレイアの後を追って飛行船に乗った。
時間は18時前になっている。
飛行船は、やはり振動もなく俺たちを運んでくれる。
この時間になっても普通に人の移動がある。
みんな、いろんな場所に行きたいんだな。
まぁ、数日とはいえ閉じ込められていたからな。
すぐに帝都ギルドの発着場に到着する。
船から降りて、俺はギルマスに用があるからとフレイアに伝えた。
フレイアも待っていると言ってくれたが、待っててもらってもなぁ。
そこで、俺はアイテムボックスからスイーツをたっぷり取り出した。
「フレイア、これをルナさんとシルビアたちに届けて、一緒に食べていてくれ」
!
フレイアは一瞬固まったが、ニヤ~ッとして何度もうなずいた。
わかりやすいな。
ルナたちはダンジョンに住んでいるのかと思ったが、どうやら違うようだ。
街の宿泊所を渡り歩いているとか何とか。
何やっているんだあの人たちは。
さて、俺はスーパーエイトの件をギルマスに伝えないといけない。
昇降装置で受付まで移動。
受付でギルマスを呼び出してもらう。
順番待ちはなかった。
この人確か、ポーラ? ポーネ? さんだっけ?
ま、どうでもいい。
すぐに奥からギルマスが出てきた。
「やぁ、テツ君。 地上はどうだったかね?」
ギルマスが片手を挙げながら聞いてくる。
「はい、街が活き活きとしてました」
俺は軽く会釈をしながら答える。
ギルマスが、こちらへどうぞと手で合図をする。
俺はそれに従って、受付奥のスペースへ移動した。
「で、どうだったかね、地上のお店というのは」
ギルマスはきちんと認識している。
「はい、結論から言えば、よろしくお願いしますとのことです」
俺はそう伝えた。
「そうか。 それはありがたい。 こちらとしても珍しい食べ物はありがたいからね」
ギルマスはうなずきながら答える。
「ギルドマスター、後はどうされるのです?」
俺は気になった。
「そうだね・・まずはエレンに場所の確保と、後は地上のお店の責任者との協議だね。 ま、テツ君がきっかけを作ってくれたので、ここからはこちらの仕事だよ」
ギルマスがそういうと席を立ち、俺にお礼を言って握手をしてきた。
俺も握手を交わす。
「テツ君、報酬をわずかだが振り込ませてもらうよ。 後は、お店が出来たときの売り上げの一部を定期的に振り込ませてもらう」
ギルマスが当たり前のように言った。
「え? 俺、何もしてませんよ、ほんとに・・」
俺は驚いてしまった。
「何を言ってるんだ。 君がコネクションを作ってくれたんだろう。 当たり前じゃないか。 さて、俺も今から出かけるよ」
ギルマスがそういうと身なりを整えている。
そしてエレンさんを呼び出していた。
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