第240話 フレイアさん・・あんた、怖いよ


「あ、店長。 私ですね、今は帝都に移住したのですが、そこのギルドマスターが帝都でもスーパーを出してみないかと言ってますが、考えてみてくださいね」

俺は店長にギルマスの言葉を伝えた。

「帝都ですか!! あの飛行船で行き来してるところですよね? はぁ・・テツさんは思い切ったことをされますね」

店長は即座に反応し、少し考えていた。


フレイアは俺が店長と話をしていると、店の中を見てくるといってひとりフラフラと歩いて行った。


「テツさん、その話・・進めてもらってもいいですか?」

店長、あんた即決だな!!

尊敬するぞ。

「わかりました。 帰ったらギルドマスターに伝えておきます」

「よろしくお願いします」

俺は店長と握手を交わして、フレイアを探しに行く。

それにしても店長さん、すごい商売魂しょうばいだましいだな。

野菜や総菜の生鮮食品のエリアを抜けて左に曲がる。

そのまままっすぐに進んで行く。

左にはそれぞれ調味料や乾物もの、粉ものなどのエリアに分かれて通路が出来ていたが、どこにもフレイアはいない。


最後の通路のところを曲がってゆっくり歩いて行く。

パンや店内で調理したもの、後は冷凍食品と飲み物なんかが置いてあるエリアだ。

・・・

1人目立つやつがいる。

金髪の長い髪でジッと下を向いて動かない。

フレイアだ!

あいつ・・何してるんだ?

そう思って俺は近寄ってみる。

!!

わかった。

目線の先にスイーツコーナーがある。


それにしても、この集中力・・怖いな。

それで誰も声をかけないんだ。

いや、かけれない。

「フレイア・・フレイア!」

フレイアがハッとした感じで俺をみる。

「テツ・・」

フレイアはそういうと、また目線をそのスイーツのコーナーに移した。

「テツ、これよね・・間違いないわ」

指を差しながら、スイーツに目線が固定されている。

怖いぞ、フレイア。


はい、フレイアさん。

それで合ってます。

間違いないです。


「あぁフレイア、それで間違いない。 で、どれが食べたいんだ?」

俺は聞いてみた。

スーパーエイトは、地元の個人のケーキ屋さんと提携しており、結構な種類のスイーツがある。

市内の全部の個人店と提携しているのじゃないかと思うほどだ。

和菓子もある。

フレイアが指を差して、

「このチーズケーキは外せないわね」

力強く言う。

そっか。

言語変換できてるんだっけ。


「でもね、テツ。 どのチーズケーキをルナ様は食べたの?」

結構が種類あるからな。

確かにフレイアの指さしたケーキは同じ種類のケーキだ。

だが焼き方や大きさが少し違う。

また、店によっても違うし。

「えっと・・これだね」

俺は指を差した。

「そう・・」

フレイアはうなずきながら、まだスイーツのエリアを注目している。

・・・・

・・・

はい、わかりましたフレイアさん。

大人買いしますよ。


「フレイア・・このエリアにあるもの、いっぱい買って行こう。 どうせ、ルナさんもシルビアも食べるだろう」

俺がそういうと、フレイアの顔がパァッとはじけて笑顔になった。

「ほんとに~!?」

・・・

一瞬、店の中が静かになったような感じがした。

フレイアが大きな声で答えたので注目を浴びる。

すぐに普通の店内に戻ったが、フレイアは気になどしていない。

頭の中はスイーツのことでいっぱいだろう。


俺は手に持っていたカゴの中に、入るだけスイーツを入れた。

和菓子も一緒にいっぱい入れた。

フレイアにもカゴを持ってきてもらって同じように入れる。

それでも、スーパーエイトのスイーツコーナーはまだまだ在庫はあるようだ。

調味料なんかも欲しかったが、また次でもいいか。

別に急ぐわけでもないし。


さて、レジに並んだ時には恥ずかしかった。

すべてスイーツだ。

俺は軽く下を向いたままレジを通過。

会計を済ませた。

3万ギルを超えていたと思うが、お金はいっぱいある。

アホだろう。

ケーキ類だけで3万って・・ありえねぇ。

俺はアイテムボックスにすべてのスイーツを収納。

それを見ていた他のお客さんたちは、少し驚いたようだが魔法の能力ですというと、案外納得してくれた。

いろいろな意味で便利だな、魔法って。


お店を出て俺たちはギルドの方へ向かう。

向かう前に、とりあえずフレイアにチーズケーキを1個食べさせた。

ものすごく喜んでくれた。


ギルドにはすぐに到着。

定期船はほぼ30分くらい間隔で行き来してるようだ。

すぐに次の船が来るだろう。

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