第237話 フレイア・・それって、脅迫っていうから


いい匂いがしてきた。

チキンを裏返して後少し待つ。

なんか魔法で便利に焼けないかな?

そんなことを考えてみたが、便利なのは何か落とし穴があるかもしれない。

ま、料理なんてこれくらい時間をかけるのがいいのかもな。

・・・

焼けたようだ。

蓋を開けると、フレイアが言う。

「いい匂いね~」

俺は肉を皿に移して、フライパンなどは魔法できれいにしておいた。

洗わなくていいのが最高だ。

料理はフレイアがテーブルに運んでくれる。


「「いただきまーす」」

俺は迷わず肉にかじりついた。

!!

うまい!

弾力が・・噛みごたえがあるぞ。

おいしい。

肉汁もあふれてくるけど、しつこくない。

バターのほのかな香りもあり、味もさっぱりしている。

いいね。

たまねぎのスライスが口の中をすっきりとさせてくれる。

あ、レモンがあればもっといいかも。

そんなことを考えながら、ほとんど無言で食べてしまった。

・・・・

・・

「ふぅ・・うまかったなぁ」

俺はお腹をポンポンとしながら言ってみた。

「ほんとにおいしかったわね」

フレイアもおいしかったみたいだ。


「テツ、食べるのに夢中だったわね」

フレイアが笑いながら皿を片づけてくれる。

魔法できれいにしていた。

「うん」

俺はそう答えながら続けて言う。

「あのさ、フレイア。 この後、ギルドに寄って地上の街へ行ってみようかと思っているんだ」

フレイアが食いついてきた。

「ほんと? う~ん・・私も行っていい?」

「そりゃ、いいけど・・俺は少し買い物するだけだぞ」

俺がそう言った時だ。

「ああ~!! 思い出したわ。 チーズケーキよ、チーズケーキ!」

フレイアがグッと近寄ってくる。

「テツ、ルナ様にあげたあのスイーツ。 私も食べてみたいの! 当然買うわよね?」

フレイアの迫力が増してくる。

半ば脅迫だぞ、それって。


「ま、まぁ、スーパーエイトに行くけど、あるのかどうかわからないが・・」

俺が曖昧あいまいな返事をする。

「どうして?」

フレイアが食って掛かってくる。

「いや、地上の物流が回復しているかわからないし、スイーツを作ってるところがダメージを受けていたらダメだろう」

「えぇ~?

そんなぁ・・・でも、もし魔物の襲撃で壊れていたなんてことになったら・・魔物は殲滅せんめつね。 ルナ様もきっと同じことを言うと思うわ」

などと、物騒なことをブツブツとつぶやく。

「フレイア、とりあえず行ってみればわかると思うよ」

俺はそういうしかできなかった。

でも、もしなかったら・・怖いな。


後片付けも終わり、俺たちはギルドへ向かう。

家からは近くなのですぐに到着する。

時間は15時を少し過ぎていた。

ギルドに入ると、なかなかにぎわっている。

とりあえず受付だ。

受付に行ってパネルにギルドカードをかざして順番をもらう。

3番目か。

少し時間があるので、掲示板を見てみる。

フレイアも見ていた。


ダンジョンの魔石、薬草を求む。

魔物の討伐及び素材依頼。

パーティメンバー募集。

いろいろあるな。

ん?

近々、帝都学院及び大学院が開校。

学校ができるのか?

颯や凛、優も学校へ通った方がいいよな?

そんなことを思ってもみた。


えっと、こちらはニュースか。


パネルにニュースが配信されている。

デジタルサイネージみたいだ。

テクノロジーが進歩しているんだか、よくわからないな。

なになに・・。

『ドワーフ王国の襲撃犯撃退成功。 国交成立後、定期船就航か?』

なるほど、情報の提示は早いな。

俺がそんなことを思っていると順番が来たようだ。


受付のところへ行った。

アリアだった。

「ようこそギルドへ。 あら? テツ様。 今日は、どういったご用件でしょうか?」

俺は、ギルマスに呼ばれているという内容を伝える。

「確認しますね」

アリアはそういうとギルマスに連絡を取ってくれていた。

すぐにわかったようだ。

「テツ様、ギルドマスターが奥の方へ来るように言ってます」

俺は、アリアにお礼を言ってフレイアと一緒に奥の部屋へと移動する。

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